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”ChatGPT”があれば「読解力」や「記述力」はいらなくなる?

みなさんこんにちは!
”ぶんトレ”代表の泉名亜樹(せんみょう あき)です。
 
今、「ChatGPT」という対話型AIがホットな話題になっていますね。
情報漏洩などの懸念から対策に乗り出している国もありますが、日本国内では自治体によって対応がさまざまなようです。
 
ただ、やはり大変便利で使いやすいツールであることは間違いありません。無料でも利用できるので私も試しに使ってみていますが、日常会話からアイデアの提案、文章の作成、添削、要約、翻訳など、他にもたくさんの場面で活用できます。

教育現場での懸念について

 
日本の、特に教育現場での懸念としては「児童や生徒、学生が作文や小論文、レポートの作成をChatGPT(AI)に書かせたのか、自力で書いたのかの判別が難しい」ということが挙げられています。自分で書くことをしなくなれば「思考力が低下するのではないか」ということも指摘されています。流行に敏感な大学生の中には既にレポートをAIに書かせて提出している人もいるようですから、この懸念は当然です。
 
しかし、やり方次第でこの懸念はある程度払拭できるのではないかと、私は考えています。 


【ChatGPT(AI)に書かせたかどうかを判別する方法】

①「ChatGPT」の開発元であるOpenAIが開発・公開した判定ツール「Classifier」を利用する
ただし、このツールはまだ改良中の段階で、判定は確実というわけではありません。「本当はきちんと自分で書いたのにAIが書いたと判定されてしまった」という”冤罪”を生む可能性もありますので、注意が必要です。
 
②提出された文章に関して対面でいくつか質問をする
この方法が現時点では一番現実的ではないでしょうか。本当に自分で書いたのであればそれなりにプレゼンできるはずですから。
また、入学試験(推薦入試・総合型選抜試験など)や採用試験は作文・小論文に加えて基本的に面接が課されますから、自分が書いた内容について答えられなければ合格できません。
 
③事前提出ではなくその場で書かせる
「判別」ではないですが、その場で書かせればそもそもの懸念が無くなります。入学試験や採用試験で課される作文や小論文はこのスタイルが多いですね。試験中はスマートフォンの持ち込みあるいは使用を禁止にして自力で書かせれば良いわけです。


ChatGPTがあれば「読解力」や「記述力」は必要なくなるのか


 
さて、利用者の中には「AIが文章を書いてくれるのであれば、読解力や記述力はさほど必要なくなるのではないか」と考えている方もいるかもしれません。
 
しかし、使ってみて現時点(2023年4月現在)で私が出した結論は”否”でした。
理由は下記のとおりです。
 
①AIに自分が意図する文章を書かせるには「的確な指示文で詳細に命令する」必要がある

指示が曖昧であればあるほど、作成された文章の内容は精度が低くなります。「的確な指示文」とは「論理的かつ端的な文」ということです。そのような文を書くためには、「記述力」が必要となります。
 
また、レポートや論文などの場合は「どんな結論にするか」を始めに指示しておかなければ、自分の意図していない内容の文章になってしまうこともあります。日本語として正しい文章ではあっても、その内容は「一般論」でしかなく、「個別に最適化された文章」にはならないのです。
 
「結論を決めておく」ということは、そもそも論文テーマに関する何らかの文章を「自分で読解し、考え、自分なりの意見を持つ」というプロセスが必須です。
 
それに、自分の名前で提出する文章の責任は自分にあります。仮にAIがネット上の誤情報も文章に含めてしまったり、何か社会的に問題があるような内容を書いてしまったりしたとしても、その責任は自分にあるのです。内容を必ずチェックすることは当然として、内容を正しく理解できる「読解力」はやはり必須なのです。
 
それから、「的確な指示文」を書く際には、「指示にどんなワードを使用するか」ということも重要となります。自分でも色々と試してみましたが、文に含めるワードを少し変えるだけでも、作成される文章はかなり変わりました。このスキルも、「読解力」や「記述力」を鍛える過程で培うことができるものです。
 
②「感想文」や「物語」を書かせることは難しい
 
試しに、AIに夏目漱石の『坊っちゃん』の感想文を書かせてみたのですが、こんな始まりでした。
 
”夏目漱石の小説『坊つちゃん』は、明治時代に生まれ育った青年・信治の成長と人生の転機を描いた作品である。の変化や、人間の成長について深く考えさせられた。”(原文どおり)
 
「信治さん」て、誰ですか?(笑)
二つ目の文は「の変化や」と途中から始まっていて、日本語としてもおかしいですね。
 
少し条件を変えて書かせてみたのですが、主人公の名前が「宮本武蔵」「田山十七」など変化し、人物像も小説とはまったく違いました。
 
指示文によっては正しい内容で書かれる場合もあるのかもしれませんが、児童や生徒が読書感想文の課題を、本を一切読まずにAIに書かせた場合、このような感想文が提出されるかもしれません。自分で書いていないことは一目瞭然ですね。
 
また、小学校3年生に読ませる物語も書かせてみましたが、「あらすじ」としては良いものの、「物語」としては表現が稚拙で描かれた心情も浅く、ところどころ日本語も間違っていました。
 
アイデアのヒントをもらうには良いですが、ネット上の間違った情報が混じっていることもあるので注意が必要だと感じました。
 
AIには感情はありませんから、オリジナリティー溢れる文章や感性溢れる深みのある文章を書かせるには、より詳細な指示文で命令をしたり、使い込むことでAIのディープラーニングを補助したりする必要があるようです。
 

まとめ


ChatGPTは使い方次第で大変便利なツールですが
 
・個人情報は入力しない
・誤情報が含まれている可能性があるので必ずチェックする
・教育現場では利用に関するルールやチェック方法を明確にする
・使い込むことでAIを育てる必要がある
・望む内容を書かせるために自身も「読解力」や「記述力」を鍛えておく

 
などの注意点を頭に入れておく必要がありそうです。
 
現時点(2023年4月)で活用されているAIは「当たり障りのない一般的な内容の文章」を書くことは得意ですが、「独自性のある文章」や「感性溢れる文章」は苦手です。
 
人間が書いた文章かどうかの判別も含め、ここが現時点(2023年4月)での「AI」と「人間」の棲み分けのポイントになるのではないでしょうか。
 
そういう意味では、人間にはよりハイレベルの「読解力」と「記述力」が求められるようになったと捉えることもできるのかもしれません。


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