文徒インフォメーション Vol.20

Index------------------------------------------------------
1)【Book】「鈍器本」だって売れるのだ!
2)【Publisher】やりがい搾取・フリー搾取を克服できるか
3)【Client】電通・新人事制度はどんな企業でもできる「実験」ではなかろう
4)【Advertising】「ハフポスト日本版」のトヨタ記事広告
5)【Digital】ブロックが問題なのか、ブロック批判への言い訳が問題なのか
6)【Magazine】故きを温めるワン・パブリッシング
7)【Marketing】またまた宝島社の意見広告が話題だが
8)【Comic】「ゴールデンカムイ」は全体小説だ
9)【TV, Radio, Movie & Music】日本テレビ、TVerでのサイマル放送開始を発表
10)【Journalism】「サライ」編集者のコロナ闘病記
11)【Bookstore】京都・大垣書店四条店が閉店
----------------------------------------2021.9.21,22,24 Shuppanjin

1)【Book】「鈍器本」だって売れるのだ!

◎私は昔から厚い本が好きだった。へぇ~鈍器本と呼ぶのか。「テレ朝news」が9月16日付で公開している「武器?分厚い『鈍器本』異例【20万部】人気本とは」を公開しているが、ブックファースト新宿店南口店長によれば「「ちょっと凶器になるような大きさ、重さ 内容的にも頭を殴られるような、衝撃を受けるような内容(の本)」を鈍器本というそうだ。
そう武器を買うには勇気が必要だ。鈍器本は総じて定価が高いのだ。私がほんの少しだけ噛んでいる「朝倉喬司芸能論集成 芸能の原郷 漂泊の幻郷」(現代書館)は968頁あって、定価は12,000円+税だ。部数にしても、多くの鈍器本は売れても数千部の世界だろう。そんななかにあってダイヤモンド社から刊行された読書猿の「独学大全」は20万部を突破しているのか。しかも定価も3080円(本体2800円+税10%)と鈍器本にしては思い切って安く設定している。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000229095.html

◎さすが東野圭吾である。「ORICON NEWS」によれば、「透明な螺旋」(文藝春秋)が週間3.6万部を売り上げ、9月17日発表の最新「オリコン週間BOOKランキング」で、1位を獲得した。東野の「BOOKランキング」での1位は、4月19日付での「白鳥とコウモリ」以来、通算10作目。
また同日発表の「オリコン週間文庫ランキング」では、「沈黙のパレード」(文藝春秋)が、週間6.6万部を売り上げ、2週連続1位を獲得。「文庫ランキング」では、通算33作目の1位となり、今年度初となる同一著者のBOOK&文庫ランキング同時1位を記録した。
https://www.oricon.co.jp/news/2207254/full/

◎垣根涼介の3年ぶりとなる長編歴史小説「涅槃」上下(朝日新聞出版)が刊行された。主人公は宇喜多直家。
《もう1つ、宇喜多直家を書こうと思った理由がありまして、彼はその生涯において、勝つ戦を目指しているんじゃなくて、負けない戦をし続けてきたんですよね。》
https://dot.asahi.com/dot/2021091400063.html

◎マイクロマガジン社は、書籍「大人も知らない? ふしぎ現象事典」を4刷重版した。雑学は売れ線なんだよね。別に役に立つわけじゃないんだけれど。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000703.000048095.html

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デイリー・メールマガジン「文徒」はマスコミ・広告業界の契約法人にクローズドで配信されている。2013年より月〜金のデイリーで発行し続けており、2021年6月で通巻2000号を数えた。出版業界人の間ではスピーチのネタとして用いられることが多く、あまりにも多くの出版人が本誌を引用するせいで「業界全体が〝イマイ社長〟になっちゃったね」などと噂されることも。

マスコミ・広告業界の契約法人に配信されているクローズドなデイリーメールマガジン「文徒」をオープン化する試み。配信されるメールのうち、出版・…

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