文徒インフォメーションvol.6

Index------------------------------------------------------
1)【Book】溝口敦を50年ぶりに読むことになった
2)【Publisher】角川ドワンゴ「N高」は〝そこまでひどくない〟のか?
3)【Advertising】サントリー「夜がくる」は小林亜星傑作中の傑作だ
4)【Digital】スマホ時代は素人がジャーナリズムに関与する
5)【Client】人権担当者必読、国書刊行会「膠を旅する」
6)【Magazine】付録は広告ビジネスにとって魅力的な存在
7)【Comic】ツイート漫画「#100日で収束する新型コロナウイルス」は扶桑社から
8)【TV, Radio & Movie】AM局47局中、44局がFM転換へ
9)【Newspaper】京都新聞HDの株主報酬問題、矛盾の根はどこか
10)【Marketing】集英社が試し続けるマンガのビジネスとしての可能性
11)【Bookstore】山陰の「書店員の聖地」と「空港」
----------------------------------------2021.6.14-6.18 Shuppanjin

1)【Book】溝口敦を50年ぶりに読むことになった

◎五所純子の「薬を食う女たち」には期待している。五所がこんなツイートを投稿している。
《『薬を食う女たち』(河出書房新社)6月下旬に刊行されます。
覚醒剤や大麻、睡眠薬……そして現代を生きる女性たちの身に起こるさまざまな事柄、葛藤し抵抗する姿を描きました。
はじめての単著です。よろしくおねがいします。》
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309228242/
https://twitter.com/__gosho__/status/1403276336467091458

◎日刊スポーツは6月10日付で「がん闘病記著者の山口雄也さん死去 23歳 最後のツイートは5月31日」を掲載している。
《がん闘病記「『がんになって良かった』と言いたい」(徳間書店)の著者として知られる京都大学院生の山口雄也さんが、6日に亡くなったことが分かった。23歳。遺族が報告した。》
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202106100000149.html
山口雄也のツイッターに父親が6月9日にこう記した。
《【ご報告】
雄也の父です。皆様に大切なご報告があります。去る6月6日の朝、雄也は父と母に看取られて天国へ旅立ちました。生前は沢山の応援を頂きありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。》
https://twitter.com/Yuya__Yamaguchi/status/1402550448930705411
6月11日、徳間書店一般書籍編集部がツイートしている。
《山口雄也さんは生死の境目においてなお、サイン本プレゼントをご自身で企画するなど、より多くの方に読んでもらうことを望んでおられました。現在、ネット、リアル各書店で品切れが続いていますが、3刷が決定致しましたので、もうしばらくお待ち下さい》
https://twitter.com/tokumaippan/status/1403011247784693769
山口自身による最後の投稿は、5月31日の歩行訓練の動画を添付した次のようなツイートであった。
《今日は午後から、先日いただいたアドバイスも含めて病棟内で歩行訓練というものをしました。一昨日までは絶対に無理だと思っていましたが、何とか踏ん張って歩けて5m以上はしっかりと歩けるようになりました。ここからまた距離を伸ばしていきます。近況報告まで。》
https://twitter.com/Yuya__Yamaguchi/status/1399329675004895236
「『がんになって良かった』と言いたい」を刊行したのは昨年7月のことであった。

◎芥川賞の候補作が次のように決まった。
石沢麻依「貝に続く場所にて」群像6月号
くどうれいん「氷柱の声」群像4月号
高瀬隼子「水たまりで息をする」すばる3月号
千葉雅也「オーバーヒート」新潮6月号
李琴峰「彼岸花が咲く島」文学界3月号

石沢、くどう、高瀬が初のノミネート。千葉と李は二度目。私はくどうれいんこと工藤玲音を推す。工藤のこんな一首が好きだ。
燃えている色の紅葉を踏むときの燃え尽きた音 駅まで歩く
工藤のこんな一句が好きだ。
淋しさを背泳ぎならば追い抜ける
対抗は千葉雅也に李琴峰か。
直木賞の候補作は次のように決まった。
一穂ミチ「スモールワールズ」講談社
呉勝浩「おれたちの歌をうたえ」文藝春秋
佐藤究「テスカトリポカ」KADOKAWA
澤田瞳子「星落ちて、なお」文藝春秋
砂原浩太朗「高瀬庄左衛門御留書」講談社

「おれたちの歌をうたえ」と「テスカトリポカ」の一騎打ちではないのか。甲乙つけ難いんだよね。二作同時受賞でも良いのでは?
https://mainichi.jp/articles/20210611/k00/00m/040/001000c

ここから先は

30,172字
デイリー・メールマガジン「文徒」はマスコミ・広告業界の契約法人にクローズドで配信されている。2013年より月〜金のデイリーで発行し続けており、2021年6月で通巻2000号を数えた。出版業界人の間ではスピーチのネタとして用いられることが多く、あまりにも多くの出版人が本誌を引用するせいで「業界全体が〝イマイ社長〟になっちゃったね」などと噂されることも。

マスコミ・広告業界の契約法人に配信されているクローズドなデイリーメールマガジン「文徒」をオープン化する試み。配信されるメールのうち、出版・…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?