【今日コレ受けvol.008】得意は伝播する
毎朝7時に更新、24時間限定のショートエッセイCORECOLOR編集長「さとゆみの今日もコレカラ」。これを読んで、「朝ドラ受け」のようにそれぞれが自由に書く「遊び」を集めたマガジン【今日コレ受け】に参加しています。
保育園の年少時代に、息子の意外な才能をみつけた。「Laq」という平面ピースを組み合わせて作る、立体パズルがうまかったのだ。しかも手が早い。あっという間に恐竜や虫をつくりあげる。
これだ!
そう思った私は本を買い漁った。さまざまなLaqの設計図が載った本だ。動物、虫、海の生物、妖怪、マジンガーZシリーズなんていうのもあった。どんどん、難易度は上がっていった。
でもいずれも、こともなげにつくりあげ、コンプリートしてくれた。
ふくふくの小さな手が、私では絶対につくれない立体造形を次々に生み出した。そして、完成すると必ず、「すごいでしょ?」と自慢してきた。
すごいね。本当すごい。
学生時代の私は、おそろしく要領が悪かった。
習い事もスポーツも、上達するまでに、人よりかなり時間がかかる。
手を抜いているワケではない。だから余計に始末が悪く、途中で苦しくなる。そして、最終的にあきらめて辞めてしまう。
過去にそんなことを何度か繰り返した私は、息子が生まれてから、とにかくじーーーっと観察していた。
彼はどんな趣味や習い事が得意なんだろう。
向いていることはなにか。
それをさりげなく伸ばしてあげれば、私のようにならないのではないか?
だから彼がLaqに出会ったとき、
これだ! と思ったのだ。
そこから年長さんになって、息子の興味はいつの間にかレゴに移る。
再び、これだ! と思った。
実は、少し前からレゴを組み立てて動かすプログラミング教室をみつけていた。もしレゴ が好きになったら、そこからプログラミングも得意になるといいな…などと夢想していたのだ。
体験教室に行ってみると、案の定、あっという間に複雑な車を組み上げて、ラジコンのように動かして遊んでいた。「ここ、通いたい?」と尋ねると、目をキラキラさせながら「うん!」と言った。
あれから5年がたち、息子は今もプログラミング教室に楽しく通っている。先日の大会では、ロボットに規定の行動をさせてゴールを目指す競技で、失敗と成功を繰り返しつつ、粘り強く修正。クラスで1番の速さでゴールさせたそうだ。
子育てに失敗も成功もないけれど、「息子に得意な趣味や習い事をみつけてほしい」というミッションだけにおいては、成功したのかもしれない。
しかもそのことは、思った以上にいい影響を及ぼしてくれる気がする。
ロールプレイングゲームを解くのが異常に早かったり、新たに習いはじめた空手の型を覚えるのがうまかったり、算数が得意だったり。
さまざまな場面で、あの「失敗と成功を繰り返して徐々に調整する、プログラミングの思考法」が影響しているのでは…と感じることがあるのだ。
そして、そういった場面では褒められたり、「教えてほしい」と友達から頼まれたりすることも多いからか、自己肯定感にも影響している気がする。恥ずかしがりやの性格ながら、きちんと自分に自信がある、と思う。
まあこれは、どこで覚えたのか、「僕はじここうていかんが高いんだよ」と息子が自分で言うからかもしれないが…。
人はひとつ得意なことがあると、水面に立った波紋のように伝播して、ほかも良い方向へ変わっていくのかもしれない。「得意」と胸を張って言える習い事がなかった私には、そんな経験が無かった。
「じここうていかんが高い」彼のおかげで、家事・育児においてはポンコツな母の自己肯定感も、ちょっぴり高めてもらう今日この頃だ。
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