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小説学校犬タロー物語⑤花子の家への通い婚時代の7年間
タロー、花子の家の川田家の保護を受ける
タローは花子の家の近くの畑の中で寝泊まりし、しばしば花子の家にやってきて餌を分けてもらい、その後、二匹そろって、仲良く女子高校に出かけるという日々が続いたのです。
花子の飼い主である川田家の奥さんは動物好きです。仲良しの二匹の中を引き裂くようなことはしなかっただけではなく、タローの分の餌も用意してくれたのです。
しかし、タローは川田家に住み着いたわけではありません。時々、訪問するだけです。タローは飼い主に従属することを嫌う自由犬であり続けたわけです。
通い婚という形式で花子と夫婦になったわけです。やがて二匹の間に子供が生まれましたが、タローは自由犬という立場を貫き通したのです。
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別々に育った雄と雌の成犬同士が互いに好きになって、いつも連れ添って歩き回るという例は珍しいのではないのでしょうか。このころから、タローの行動パターンは普通の犬とは違っています。
エリザベス トーマスの著書「犬たちの隠された生活」によると、ミーシャとマリアという雄犬と雌犬は相思相愛の中で一夫一婦制を固く守っています。タローと花子の関係もミーシャとマリアと同じであったといえます。
濡れたようなタローのつぶらな瞳でジーと見つめられると、だれでも、面倒を見てあげたいと思うようになるのです。花子は姉さん女房ぶりを発揮して、タローを勝手知ったる女子高校に案内してあげたのです。女生徒から大歓迎を受け、もらえる食料も多くなりました。このことも二匹の間の結びつきを強めたのも確かです。
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女子高校の校舎配置がタローにとって幸運だった
タローが花子と女子高校に出会ったことは幸運でした。もう一つの幸運はこの女子高校の古い校舎及びそれの配置の仕方がタローと花子にとって絶妙だったのです。
広い校地の中に最初は3階建ての校舎、1階建ての管理棟、そして体育館だけで新設されたのですが、生徒急増期にともない校舎が増築されたのです。1階建ての校舎等が必要が生じるごとに建てられたのです。入り組んだ配置で思いがけないところに中庭や空き地があったのです。
正面玄関から入って来た外来者が、校地の一番奥にある社会科図書室棟にたどり着くのは大変なのです。まるで迷路のようになっていたのです。
このことは校地内入り込みたい犬や猫にとって入りやすかったのです。
実際に、校地の一番隅にある卓球場及び卓球部室の近くでマイケルという名の野良猫が飼われていたことがあるのです。この猫が死ぬと卓球部員が自然石を置いただけのお墓まで作ったのです。このことを知っているのは、ごく一部の生徒、職員だけでした。時代の先端を行く機能的な校舎配置だったなら犬や猫が入り込む隙間はなかったことでしょう。
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