本日の「読了」
志垣民郎著 岸俊光編『内閣調査室秘録 戦後思想を動かした男』(文春新書 2019)
日本学術会議問題つながりで斜め読み。昭和世代には懐かしい? 学者やジャーナリストの名前がでてくる。金の授受も記録されている。
職業人第一歩の職場でよく耳にした(何度かは会った)人物が、内調の学者人脈作りに貢献したということを本書で初めて知った。本書の中では「雑誌ヅラ」と評されているが、思い出せば「政治家ヅラ」した人物だった。
個人的なことはさておき──、
学術会議に参加していようといまいと、権力は学者を利用するし、学者も積極的に利用されるものなのだ。学者、とくに人文系学者は、持論を聞いてくれればうれしいものだろうから。
だからこそ、今回の「たかが学者」の名簿外しは不可解ともいえる。
反政権的言動をとったからとか、政権が変貌したというよりも、内調が変質したと言えるのだろうし、内調が会議の在りかたになにか危機感を持ったのかもしれない。
もっとも、そんな深慮遠謀なことではなく、内調関係者が推薦名簿の身元調査の段階で意見を聞いた学者の「嫉妬」や「個人的怨恨」という線もある。
本書を読んで思いついたのは、日本という国の質を劇的に変えようとするならば、東大法学部およびその人脈を解体することだということかな。[2020.10.27.ぶんろく]
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