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コタツ

寒い冬の夜、ぬくぬくとこたつに入り込んでいた。

外は吹雪、
吹きさらしの寒風が家を揺らしている。

けど、こたつの中は暖かい。
私はリラックスして本を読んでいた。

突然、こたつの下から微かな音が聞こえた。

最初は空耳かと思った。
けど耳を澄ませると、確かにこたつの下から聞こえてきた。

それは、まるで誰かが苦しんでいるかのような呻き声だった。

正直、怖かった。
足を突っ込んで温まっているコタツの下から呻き声が聞こえたのだ、怖くないわけがない。

私は恐怖を感じながらも、こたつの下を覗き込んだ。

けど、何も見えない。

その時、こたつの中から怪しい光が漏れ始めた。

私は驚きながらも、興味本位でこたつの中を覗き込んだ。
すると、そこには薄汚れた布が散らばり、その下に何かが埋められているのが見えた。

私は身をコタツに入れると、布をめくるった。
すると、そこにはベニアの板が置かれていた。

コタツの下にベニア板。
どう考えてもおかしい。

そこで私はコタツをどかし、ベニア板を剥がすことにした。

べりべりべり。

軽い音とともに剥がれるベニア板。
その下には、掘りごたつのように穴が空いていた。

恐る恐る覗き込むと……白いなにかが見えた。

ホコリ?
にも見える。
いや、骨?
かもしれない。

怖くなった私は、そこから離れようとした。
けれど、それは出来なかった。

なぜなら、体がしびれて動けなかったからだ。

金縛り、とても言うのだろうか。

私は必死に抵抗した。
だが、体が言うことを聞かない。

それどころか、どかしたはずのコタツが元の位置に戻ってきた!

ますます逃げ場が無くなっていく。

気がつくと、私の体はコタツの中にスッポりとおさまっていた。

そして、体を温めるはずのコタツが、私の体温を奪い始める。

少しづつ、少しづつ体温が下がり、気がつくと、冷凍庫のように冷え切っていた。

もはや逃げることも、動くことも出来ない。

意識も遠くなってくる。

そして……。
最後に見えたのは、コタツの中で微笑む骨だった。

〈了〉

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