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チューリップラジオ

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自作小説まとめ2
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#大学

チューリップラジオ3

私はいつも勤務中ぼーっとしている。多分誰よりもぼーっとしている。お客さんに声を掛けられてはっとする。
「すみません。」
私はマスクの中で急いで笑顔を作った。
「お決まりでしょうか。」
「あの、ショートケーキ一つと。マスカットケーキ一つと、プリンを二つで。」
お客さんは女の人で、クセのないアナウンサーのような声だった。
「お会計が、1390円になります。」
私はこの顔に見覚えがあった。
「あの、和歌

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