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ノベルメディア『文活』参加作家紹介④:左頬にほくろさん

読者の生活に、月にいちど物語をおとどけする文芸誌『文活』。参加作家紹介の4人目は左頬にほくろさんです!

※文活とは
noteの小説家たちで、毎月小説を持ち寄ってつくる文芸誌です。生活のなかの一幕を小説にして、おとどけします。価格は390円。コーヒー1杯ぶんの値段でおたのしみいただけます。詳細は以下の紹介記事をご覧ください。
https://note.com/bunkatsu/n/n16565e0a2b10

元来書くことが好きな、ドラマやエンタメをこよなく愛す関西人。己の想いを取りこぼすことのないほくろさんは、noteで自己表現が止まりません。また、江國香織さんを「お姉さん」と呼ぶほど敬愛されております

そんなほくろさんが紡ぐ作品は、ドラマチックでありながら、どこか繊細さももちあわせています。

目の前でことっ、とグラスを置いたちいさな音。熱っぽい視線を感じながら、オフィス系モテネイルの指先を揃えて宝箱をそうっとひらく。
( 『 0.8カラットの星 』より)
会話は、ぽつりぽつり、決して激しくはないけれどゆるやかに流れてゆく。お腹を抱えて笑うことはない代わりに、目くじらを立てて怒ることもない。ありがとう、ごめん、ほんまそれ、あほちゃう、冗談やん、お腹すいたなぁ。私たちが手にする単語帳は年々薄くなった。
( 『 あの街、あいの街 』より)

情景に溢れたシーンがひときわ目立つのは、本人がたくさんの脚本に触れているからでしょうか。しかし物語は劇的であるだけでなく、キャラクターの心の機微が痛いほど、ずんと、伝わってくる。ほくろさんの作品は、ゆるやかに過ぎ去ってしまう日常のような、安心感とせつなさがあります。

過去のおすすめ作品

以下、おすすめの小説をご紹介します!ぜひ読んでみてくださいね。

✎ おすすめ作品①『 約束のエアハイタッチ 』

ビールが大好きなカップル、陽太さんとひかりさん。2019年夏、そんな彼らにビアガーデンを模した夏の結婚式を提案した「私」は、半年後に大流行する疫病の存在を知る由もなかった。臨場感たっぷりで描かれた、まばゆいこの物語は、希望と約束を忘れなかったわたしたちに贈られたよう。「#また乾杯しよう」投稿コンテスト・キリン特別賞作品。

✎ おすすめ作品②『 routine. 』

”月曜日から金曜日までずっと、あたしの5メートル先に存在するひと”、筒井。彼の行動は、”チェックリストをこなすかのよう”である。”我儘言う子はうちの子じゃありません”と、母の声が響きつづける「あたし」の渇望のその先には──。不確かな安らぎを描いた、過不足のない男女の物語です。

左頬にほくろさんからのコメント

ほくろさんから、読者のみなさんへのコメントをいただいています!

ぬるめの湯船、15分以上座れる電車、病院の待合室。いずれもわたしが物語に触れたくなる、たいせつなひと時です。情報過多の社会、辛く厳しい現実、そんな日々のなかで皆さまはいつ「目の前の生活」から切り離された「物語の中の生活」に、そっと意識を預けたくなるのでしょうか。誰もが等しく与えられた24時間という毎日の、たとえば、たったほんの5分。きっとすべてを忘れることは難しいけれど、その5分が皆さまの心をすこしだけ解くような、そんな温度のある物語を紡ぐことができればと思います。食事や睡眠、仕事に家事。生きてゆくのに必要なことはいつも溢れるほどあって、わたしは時折途方もないそれらに嫌気がさしてしまいます。だけど読書は、必ずしもすべきことではありません。それでも時として、その不要なものこそが懸命に必要をこなしてゆくうえで欠かせないものになることを信じて。稚拙で独りよがりかも知れませんが、心を込めて毎月お届けしてゆきたいです。

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以上、参加作家紹介で、左頬にほくろさんでした!文活創刊号の刊行までは【あと3日】。ぜひぜひおたのしみに!

※文活は以下の購入ボタンから定期購読いただけます。
※この下はオマケです!12月の創刊号に掲載される、左頬にほくろさんの小説の冒頭を公開しています…!

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