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【野口健’S VOICE】 地熱資源の活用が日本のエネルギー問題を解決!?

アルピニストである野口健氏の様々な活動や取り組みに賛同している文化シヤッターグループ。その野口氏には講演会やボランティア活動などを通じて、従来より当社グループの成長発展に様々な角度からご尽力を頂いています。
この「野口健’S VOICE」は、野口氏が日頃から取り組まれている活動やその原点となった思いや考え方、さらには活動を通じて実感されたことなどを、独自の視点や切り口で綴られた連載エッセイとして当社グループ報に寄稿頂いているものです。なお、当社公式noteではこの連載エッセイを転載しています。

今年の4月、2年半ぶりにエベレストのベースキャンプを訪れたが、驚いたことに近くの氷河が溶け出して大きな川となっていた。その後の報道では、100年近く同じ場所にあったエベレストのベースキャンプの移動を正式に計画しているとの事であった。イタリアでも氷河の融解により登山客を巻き込む事故が起きており、ひしひしと温暖化を感じる。

近年、温暖化問題では大きな動きが起きている。2015年、COP21にてパリ協定が採択され、「世界の平均気温を産業革命前のプラス1.5℃を目標とする」という大きな目標が示された。それに伴い、日本においても「2050年カーボンニュートラル宣言」がされた。カーボンニュートラルとは、大気中に排出された温室効果ガスを実質ゼロにすること。実際には、ゼロに削減することは出来ないため、排出量と同じ量を吸収、削減させなくてはいけない。しかも、中期的な目標としては、2030年に温室効果ガスの排出をマイナス50%としている。

2011年の原発事故の後、老朽化し停止していた火力発電所を慌てて再稼働、再生可能エネルギーに注目されたのは良かったが、全国各地で山林が大規模に伐採されメガソーラー発電所が建設された。洋上風力発電にも注目されているが、日本の海域は海外のように遠浅でないため、まだまだ建設が難しい。

私は以前から、世界有数の地熱資源と地熱発電技術を有している日本に於いて地熱発電を高めない手はないと思っている。地熱発電は、CO2排出量がほぼゼロで、天候などの自然条件に左右されない、最高条件の再生可能エネルギーなのである。

八丈島地熱発電所を視察する様子(2013年)

日本は火山列島であり地熱資源は推定発電は3000万Kw。これは原発20基以上となる。そして日本のメーカーが世界中にある地熱発電所の7割をシェアしていること。つまり日本は、地熱資源は世界第3位、地熱発電技術に至っては世界1位なのである。しかし現在の地熱の国内の総発電量は61万Kw。これは年間発電電力量の2%に過ぎない。何故ならば地熱資源の8割が国立公園内。自然公園法によって公園内の開発には大きな壁があり、また温泉業者からは熱量や質の悪影響を懸念する声も、後を絶たない。

何一つ犠牲のないエネルギーなど果たしてあるのだろうか。エネルギー問題は、すなわち、国家にとっての安全保障問題でもある。そういった観点からも、早急な地熱の開発を心から望んでいる。

(2022年8月執筆)

【プロフィール】
野口 健 氏
アルピニスト。1973年、米ボストン生まれ。亜細亜大卒。
25歳で7大陸最高峰最年少登頂の世界記録を達成(当時)。
エベレスト・富士山の清掃登山、地球温暖化など環境問題、
戦没者の遺骨収集など、幅広いジャンルで活躍されている。

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