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留学生の仏教研究に光 曹洞宗・横浜善光寺

 ※文化時報2021年2月18日号の掲載記事です。写真は育英生のカマリド・ドラテさん(左)とリモートで出席の陳菲さん(後方)。

 曹洞宗善光寺(横浜市港南区)が仏教徒の海外からの受け入れや海外への派遣のために設立した横浜善光寺留学僧育英会(理事長・黒田博志住職)は12日、第34回採用者辞令伝達式を同寺開山忌に合わせて行った。育英生となったのは、中国河北省出身で花園大学大学院博士課程の陳菲さん(33)と、ドイツ出身で国際仏教学大学院大学博士課程のカマリド・ドラテさん(36)。伝達式は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて出席者を絞って行われ、京都在住の陳菲さんはリモートでの出席となった。

 理事を務める安藤嘉則駒沢女子大学・短大学長はオンラインであいさつに立ち、「国家や教団の奨学金でなく、あくまで一寺院のご住職、檀信徒の方々の協力により成り立つ特別な奨学金。ご精進いただきたい」と、採用者に呼び掛けた。

 ドラテさんは「来年度は博士課程の最後の年。これで論文を完成させることができる。チベット仏教の分野で貢献できたらと思います」、陳菲さんは「ご支援いただいた皆さまへの感謝を忘れず、優れた研究者として貢献できる人間を目指します」と謝辞を述べた。

 また、山口義男善光寺総代は、「本来なら過去の育英生50~60人とご一緒し、思い出話を聞かせていただく楽しい場。お二人が力を発揮していただくことを楽しみにしている」と語った。

 最後にあいさつに立った黒田住職は「多くの方々に支えられて成り立っている会であることをご理解いただき、おおらかな気持ちで勉学に励んでいただきたい。お互いに精進してまいりましょう」とエールを送った。

 同育英会は、インド仏跡巡拝やタイ留学などを経て曹洞宗開教師として活動し、1969(昭和44)年に中興第2世として善光寺を開いた黒田武志前住職が、84年の開創15周年を記念して設立。「檀信徒が食事を一口減らしてでも」と呼び掛けて浄財を集め、留学僧に奨学金を支給した。以来、武志前住職の逝去に伴う3年間の休止期間を挟み、34回の育英生採用を続け、延べ145人の人材を輩出している。

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