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高校教科書「公共」宗教記述に濃淡 4月から必修

※文化時報2022年3月1日号の掲載記事です。

 4月から高校の必修科目となる「公共」の教科書を巡り、宗教に関する記述が割れている。終末期医療や困窮者支援など、社会課題と関連付けて積極的に取り上げた教科書がある一方、宗教自体にほとんど触れていないものも。こうした濃淡は公立校での宗教知識教育や宗門校での「宗教」の授業に影響しかねず、注目が必要になりそうだ。(主筆 小野木康雄)

 「公共」は従来の「現代社会」に代わり、2018(平成30)年告示の高等学校学習指導要領で新設された必修科目。「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指し、社会課題から「主題」や「問い」を設定する学習などを求めている。宗教に関しては、伝統や文化などと共に、現代社会が成り立つ背景として扱われる。

 教科書は主に高校1年生が使うもので、文部科学省に申請のあった8社12点全てが検定に合格した。各都道府県が設置する教科書センターで閲覧でき、今後は学校に納入する書店などで購入可能になる。

 東京法令出版「公共」は、終末期医療と宗教の関係について紹介した。「仏教でも、死をむかえる人々の精神的な苦しみを緩和する、ビハーラとよばれるターミナルケアを実践する施設がある」と記述。グリーフ(悲嘆)ケアを宗教が担うことへの期待にも言及した。

 数研出版「高等学校 公共 これからの社会について考える」は、「生活のなかの宗教」というコーナーを設け、浄土宗安養寺(奈良県田原本町)に事務局のある「おてらおやつクラブ」の活動を写真入りで紹介。「日本では子どもの7人に1人が貧困状態にあるという」と記した。

随所で工夫 項目なしも

 宗教において「主体的・対話的で深い学び」を試みたり、宗教を身近な話題に引き寄せたりと、工夫する教科書もあった。

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