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核戦争防止へ バチカン3度目の挑戦
寄稿 佼成新聞バチカン支局長 宮平 宏
※文化時報2022年4月12日号の掲載記事です。
2月24日にロシア軍がウクライナに侵攻して以来、欧州の人々が耳にしたくない一語が語られるようになった。世界的規模で感染が拡大していった新型コロナウイルスと2年以上にわたって闘い、心身共に疲れ果てた人々が、拒絶反応を示す言葉だ。
ローマ教皇フランシスコは3月16日、バチカンで世界各国の信徒たちと会う水曜日恒例の一般謁見の席上、その「禁断の言葉」に挑戦して言った。
信徒たちを前に教皇は、現代人が二つの相反する潮流の間で悩んでいると説いた。一方では驚異的な技術の進歩によって、知能の高いロボットが「永遠の若さ」と「死なない」ための解決策を提供してくれるが、他方では、私たちを絶滅させる究極的な大災害へと、私たち自身の思いが傾いていると指摘した。「核戦争」のことである。
「ゼロから出発するために、全てを破壊する」という願望が、私たちの潜在意識で強くなってきているというのだ。
教皇の言葉は、ウクライナ戦争を通して浮かび上がってきた、核戦争や原発事故におびえる人々の姿を描写している。ロシアのプーチン大統領は2月27 日、戦略的核抑止部隊に「特別警戒」を命じ、ラブロフ外相は3月2日、「第3次世界大戦は核戦争以外にない」と発言した。北大西洋条約機構(NATO)側もウクライナ戦争が核戦争となることを恐れ、ウクライナへの軍事介入と、同国上空を飛行禁止区域にすることを避けている。
キューバ危機 回避の立役者
現代史の中で、バチカンが核兵器を地平に置いた危機や紛争、戦争の調停のために外交活動を始めた例は、今回で3度目だ。
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