お寺で食べる「ごはんの日」
浄土宗徳源寺
※文化時報2021年9月23日号の掲載記事です。
月に1度、地域のみんなで〝お寺ごはん〟をしませんか―。滋賀県甲賀市の浄土宗徳源寺(西山厚之住職)で5年前に始まった「ごはんの日」が、地元で好評だ。緊急事態宣言のため先月は開催されず、世代や地域の違いを越えて再開を待ち望む人は多い。料理の腕を振るうのは、西山亮哲副住職の妻、綾瀬さん(38)。「気軽に来てもらえるよう、頑張り過ぎずに続けたい」と話す。
越える 世代も地域も
「普段は作らないような料理が出てきて、毎回楽しみ」と近所に住む女性が言えば、「お寺さんは普通の人とは違うと感じていたのに、気さくに触れ合ってくださる」と檀信徒の一人は喜ぶ。「ごはんの日」の影響力は大きい。
原則毎月第3金曜の昼に開催。海鮮パエリアやチキンピラフなど、一つの鍋でできる料理を綾瀬さんが作り、全員に振る舞う。1食100円。無料だとかえって遠慮して来ないから、ほんの気持ちだけ頂くことにしたという。
餅つきやバーベキューなど手間の掛かるメニューのときは、集落の人々がこぞって手伝いに来る。綾瀬さんが気付かないうちに、きねと臼が準備されたり、バーベキュー用のまきが積み上げられたりしている。10月の芋煮鍋用にと、春から里芋を作付けする〝つわもの〟も現れた。
こうした地域のイベントでは、中心となるボランティアに任せるのがセオリーだが、綾瀬さんは最初から「スタッフを置かない」と決めていた。
「地域には消防団などがあり、お寺にも婦人会や総代会があって、どこかで何かの役員をしている人は多い。『ごはんの日』だけは、義務感で来る人をなくしたかった」。お寺から足が遠のくことだけは、避けたいのだという。
さまざまな地域の老若男女が交流する
人が寄らない寺だった
徳源寺がある甲賀市信楽町下朝宮地区は中山間地域で、寺院収入だけでは生活できない。
西山住職はお寺を護持するため、京都市内に住みながら一般企業で働いており、お寺に通って法務に携わっている。
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