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社説で振り返る2020年 社会と宗教が変容

※文化時報2020年12月19日号の掲載記事です。

 文化時報は4月から毎週土曜日号に社説を掲載してきた。取り上げたテーマを俯瞰すると、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で社会と宗教が大きく変容した一年だったことが分かる。

 当初は「緊急社説」と銘打ち、節目に宗教の役割を考察した。「『今こそ祈りを』」(3月4日)は2月27日の政府による一斉休校要請を、「『まなざし』を向けよ」(4月11日)は4月7日の緊急事態宣言を受けた。毎週掲載になって以降は、主にコロナ禍を巡る宗教界の対応の是非を論じた。

 オンライン法要・葬儀に対しては、「画面の先が見えない」(5月16日)や「オンラインで参列できるか」(9月26日)で疑義を呈した。終末期のがん患者や福祉施設の入所者が家族との面会を許されず、死してなお十分な別れができない現状には「遺体を怖がる僧侶」(5月30日)、「弔いの意味を考えよ」(6月27日)などで繰り返し警鐘を鳴らした。

 命の問題への対処も求めた。京都市内のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の女性に対する嘱託殺人事件を機に、安楽死への議論を深めるよう、3度にわたり要望した。「SNSに正義はあるか」(6月6日)では、テレビ番組の出演者が会員制交流サイト(SNS)での書き込みを苦に自殺した事案を取り上げ、誰もが加害者になり得ることに気付かないというSNSの闇を指摘した。

 平和についてもさまざまな論点を提示した。「戦後75年の特殊性」(8月8日)では、戦前の政府の不合理な政策決定が現在の新型コロナ対策にも通じていると強調。「核廃絶への努力続けよ」(10月31日)、「大統領選の分断越えよ」(11月21日)などで世界にも目を向けた。

社説を振り返る表

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 発行日の変更に伴い、社説は年明けから毎週月曜日号の掲載となります。読者の皆さまにおかれましては、来年は社説に対するご意見を、新聞掲載を前提とした寄稿の形でお寄せくださるようお願いします。良識ある批判なら、反論でも掲載します。そうした双方向性が、新聞と読者を結び、社会と宗教をつなぐ紙面づくりになると信じています。
(主筆 小野木康雄)

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