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コロナ疲れ 心に潤い…ライトアップは宗教性前面に

※文化時報2020年10月21日号の掲載記事です。写真は総本山知恩院提供のPR画像。

 浄土宗の総本山知恩院は11月7~29日、毎秋恒例のライトアップを開催する。新型コロナウイルスの感染拡大で疲れた人々の心に潤いを与えることを目指し、平成の大修理を終えたばかりの国宝御影堂をメイン会場に、法話や別時念仏会=用語解説=を行う。
 
 ライトアップは、おてつぎ運動=用語解説=の一環として取り組んでおり、人々にお念仏との縁を結んでもらおうと開催。近年は、「おてつぎフェス」と題して、三門周辺などで太鼓の演奏を行うなど工夫していたが、今年は世相を鑑みて行わないことにした。華やかなイベントよりも知恩院の宗教性を前面に打ち出すという。

 今年の目玉は、御影堂での別時念仏会。参拝者が行えるのは通常、年末に法然上人像のほこりを払う御身拭式のみ。秋の夜間拝観では初めての取り組みで、1日4回行う。

 法話は例年、知恩院布教部の職員が担当していたが、今回は、知恩院布教師会に所属する布教師が毎回登場することになった。期間中に計92回行われる。

 知恩院では通常、毎日の晨朝(じんじょう)法要と日中法要で布教師が法話を行うが、現在は感染拡大防止のため、年末まで法話の中止が決まっている。布教師会としては、久しぶりに活躍の場を得たことにもなる。

 知恩院式衆会による法会も開く方向で調整。昨秋から開始した試みで、堂内に響きわたる声明の美しさを感じてもらい、法然上人の教えの魅力を伝える。

 昨年は、法然上人に「選択本願念仏集」=用語解説=の編纂を依頼した九条兼実公の法要を1日2座行った。今年は、密集を避けるため出仕者数を抑えるものの、開催日数を増やす方向で検討する。

 境内の情景をテーマとした川柳の募集も初めて行う。知恩院が指定した「お題」に沿って詠み、知恩院ホームページの専用フォームから投稿する。このほか、画像共有アプリ「インスタグラム」を活用したフォトコンテストも行う。

 【用語解説】
 別時念仏会
(べつじねんぶつえ=浄土宗)
 時間を特別に設けて念仏をとなえ続ける修行方法。
           ◇
 おてつぎ運動(浄土宗)
 法然上人の教えを人から人へ伝えようとする総本山知恩院の教化活動。浄土宗第2祖の聖光上人が著書『末代念仏授朱印(じゅしゅいん)』で、「秘法を録するの状、手次をもってす」と、手から手へと念仏の教えを伝える姿を示したことに由来する。
           ◇
 選択本願念仏集(せんちゃくほんがんねんぶつしゅう=浄土宗)
 法然上人が記した浄土宗の根本聖典。「選択集」と略称し、真宗では「せんじゃくしゅう」と呼ぶ。一切衆生救済の仏道実践として、称名念仏が浄土往生の唯一絶対の行であることを示している。

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