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自立とは…頼る先を増やすこと

※文化時報2021年11月1日号の掲載記事です。

 浄土真宗本願寺派の宗門関係校、龍谷大学(入澤崇学長、京都市伏見区)は10月20日、特別講義「熊本地震における僧侶の活動―住職によるグリーフケアの可能性」をオンラインで行った。2016(平成28)年の熊本地震で被災した筑紫女学園大学の宇治和貴准教授を講師に迎え、災害現場における僧侶の役割や支え合いについて考えた。

 宇治准教授が副住職を務める廣福寺(熊本市)は、震度7の揺れを2度観測した熊本県益城町まで車で10分の場所に立地。4月14日夜と16日未明の地震で、本堂や庫裡(くり)の壁がはがれ落ち、本尊・阿弥陀如来像も大きく損傷した。近隣には、振動で柱がねじれ、屋根から崩れ落ちた寺もあったという。

 一方、廣福寺に隣接する鉄筋コンクリート造の保育園は、5年前に園舎の建て替えを行ったばかりでほとんど被害がなかった。「寺として当然の務め」と考えて被災者を受け入れ、ボランティアの宿泊所としても開放した。

 宇治准教授は、復興を進める上で「寺院や保育園のネットワークに大きく支えられた」と振り返った。本山本願寺(京都市下京区)をはじめ、近隣の教区や宗門関係校から物資やボランティアが続々と到着。保育園の職員も集まり、近隣住民への炊き出しなどを行った。自身も、被災した寺院関係者や門徒らの安否を尋ね、食料や物資の運搬に奔走した。

 こうした経験から宇治准教授は「自立した人とは、一人で何でも解決できる人ではない」と指摘。「網の目のように支え合いながら、相互に依存して生きているのが人間。信じて頼ることができる関係性をできるだけ多くつくることが、真の自立と言えるのではないか」と呼び掛けた。

 講義に参加した大学院実践真宗学研究科修士課程2年の城大真さんは「平時の小さな悲しみに寄り添っていく姿勢が、地域に開かれた寺院の第一歩だと気付かされた」と話していた。

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