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『文化遺産マネジメント』の必要性

文化財保護という言葉がありますが、これには「保存」と「活用」の両方の意味があります。これまで行政はどちらかというと「保存」に力を入れてきたため、中には文化財が地域のお荷物になってしまっているケースが増えてきました。今なぜ、「文化遺産マネジメント」を広めたいのかについて以下の3つの視点から説明します。

【1】今求められていること
「文化遺産」とは、人々の文化的活動によって生み出された有形・無形の所産で、いわゆる文化財といわれる一定の価値を持つものをいいます。私は、伝統文化や芸能なども含んだ概念として使っています。

とりわけ文化財は今日、大変厳しい状況にあります。国は、過疎化や少子高齢化によって文化財が滅失・散逸する恐れがあるため、指定されていない有形・無形の文化財をまちづくりに生かしつつ、継承者を確保し、地域社会総がかりで取り組んでいくための体制づくりが必要である、と言っています。

【2】文化財の現場では
市町村の文化財担当者の多くは埋蔵文化財の専門ですが、その数は市町村合併の進んだ平成15年の4.4千人を頂点としてその後減少に転じています。その他に建築や古文書などを扱う専門家もいますが、その数は微々たるもので、担当以外の文化財の多くは、所有者・管理者にまかせきりか、もしくは放置されているのが現状です。

文化財は、法律に基づいてその多くが公開されています。多数の人が利用できるように見学料も200円とか300円というように安価に設定されています。建物であれば施設を公開し、付属する展示施設であれば資料の展示と解説といった感じです。今から30年くらい前だとそれでも人が入ってくれてペイしていましたが、昨今は利用者も少なく収入も少なくなり、維持管理費の大半は税金でまかなわれているのが実態です。

【3】マネジメントの必要性
こうした環境におかれた文化財の将来は大変厳しいものと言わざるをえません。過疎化、少子高齢化を止めることはできませんし、すべての文化財を守っていくことはできません。限られた人材、予算で何を守り、何を日本の未来に伝えていくのか。その判断と、伝えていく方法を考え、行動するのが文化遺産マネジメントです。

 講座型プログラム「文化遺産マネジメント実践会」
では、12のステップで地域の魅力あるストーリーをつくり、そして運営体制を構築して体験プログラムで集客を図ることを目指します。さらにエリアマネジメントとネットワークの構築で地域の活性化を目指す取り組みを支援します。

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