見出し画像

みんな大好き,エナガの “バードウォッチャー的見どころ”はここ

Auther:BIRDER

 BIRDER2月号の特集「まるごとエナガ」が好調だ。書店からは追加注文が次々に入り,「入手困難」なんて報告さえある。改めてエナガの人気を思い知らされた形だ。本誌でも紹介したが,エナガブームはこれまで何度か来ているらしい。でもそれとはまったく関係なく,エナガは私が常に気にしている鳥の1つだ。その理由は簡単,「妻が好きな鳥」だから。まだ結婚前のこと,自分がバードウォッチャーであることを明かし,一緒にバードウォッチングを楽しんでもらおうと図鑑を見せたとき,彼女が「かわいい」といちばん好印象を抱いた鳥,それがエナガだった。

 それまでは「冬に混群で見られる小鳥の1つ」程度だったエナガへの私の関心は急上昇。自分で撮ったエナガの写真を見せたくてフィールドを探し回ったり,外を歩いているときはいち早くエナガの存在に気づいて教えたり——そんな暮らしを続けていた。その努力の結晶が,2月号の18ページ「みんなが会える,鳥界のアイドル エナガのプロフィール」として形になったといっていい。私にとっては北海道にしかいないシマエナガよりも,身近で妻に見せられるエナガのほうがより親しみのもてる存在なのだ。シマエナガは確かにかわいいが,エナガだって十分に魅力的。そこでここからは2月号18ページから「エナガ」の魅力を改めて紹介しよう


【エナガってこんな鳥】

◎日本最小クラスの鳥
 大きさ(全長)は14cm,体重6〜8g。全長はスズメと同じくらいだが,その約半分は尾羽なのでかなり小さく見える。体重ではキクイタダキ(3〜5g)に次ぎ,ヒガラ(6〜10g)と同程度の日本最軽量クラスの鳥。雌雄は基本的に外見で見分けられない。

◎日本にエナガは4種類いる!?
 人気者のシマエナガは,分類でいえば本州で見られるエナガの亜種という位置付け。「亜種」とは簡単にいえば地域ごとのバリエーションみたいなものだ。北海道のシマエナガ,本州のエナガのほかに,四国と九州にキュウシュウエナガ,対馬(長崎県)にはチョウセンエナガと4亜種いるが,シマエナガ以外は外見の差はほとんどなし。

◎どんな暮らしぶり?
 渡りをしない留鳥なので一年中見られる。見られる場所は主に森林のような木の多い環境。主に昆虫食で,子育てのときはヒナにチョウやガの幼虫をよく与えている。また,菌類や木の実なども食べる。子育ては小鳥の中で特に早く3月には始める。一夫一妻で卵は6〜11個,巣立ちは4〜5月。


【エナガの“バードウォッチャー的”見どころ】

◎エナガも顔が命
 エナガは顔で大人(成鳥)と子ども(幼鳥)を見分けられる。幼鳥は顔全体が黒っぽく,成鳥は眉のような黒いラインが目立つ。ちなみに人気者のシマエナガも,幼鳥のときは本州のエナガと見た目は同じだ。さらにこれは双眼鏡や写真じゃないと見づらいが,眼の上の皮ふが成鳥は黄色で幼鳥は赤色をしている。

◎子どもがぎゅーぎゅーに集まる
 エナガには変わった習性があって,それは巣立ったばかりの幼鳥が,親から食べ物をもらうとき1か所に集まって並ぶ,通称「エナガ団子」をつくることだ。10羽くらいのかわいらしいヒナが,一列に並んで親を待つ姿は微笑ましい。エナガ団子は4〜5月の巣立ち直後の短い間だけ見られる期間限定の行動なので,この時期にエナガの声が聞こえてきたら,木を見上げてみよう。


BIRDER2022年2月号

購入はこちらから↓
文一総合出版(通販)
富士山マガジン

Author Profile:BIRDER
文一総合出版BIRDER編集部所属。副編集長。2008年からBIRDERの編集を担当する。前職では奄美野生生物保護センターのスタッフとして希少鳥の保全や普及開発に携わっていた。鳥見は趣味で好きな鳥はルリカケス。二児(♂,♀)の父。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?