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ネイティブライクへの道〈19〉~発音問題はどこへ行く?~

Welcome again to "A Journey to a Native-Like Speaker of English"!

去年の9月12日から始まったこのシリーズは、ELSA Speak という発音トレーニングアプリの効果を調べるとともに、私の英語教員としてのつぶやきを載せています。

このアプリは、Hikaruさんの記事で初めて知りました。

前回の投稿から今までの進捗状況

1月11日(月)84%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音83%, 流暢性88%, イントネーション78%, 強勢99%)

1月12日(火)85%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音85%, 流暢性89%, イントネーション78%, 強勢98%)

1月13日(水)85%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音85%, 流暢性89%, イントネーション77%, 強勢97%)

1月14日(木)86%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音86%, 流暢性89%, イントネーション77%, 強勢98%)

1月15日(金)85%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音85%, 流暢性89%, イントネーション77%, 強勢98%)

1月16日(土)85%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音85%, 流暢性89%, イントネーション76%, 強勢98%)

1月17日(日)86%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音86%, 流暢性88%, イントネーション76%, 強勢98%)

1月18日(月)85%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音87%, 流暢性87%, イントネーション76%, 強勢98%)

1月19日(火)85%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音86%, 流暢性87%, イントネーション75%, 強勢98%)

1月20日(水)86%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音87%, 流暢性87%, イントネーション75%, 強勢98%)

1月21日(木)86%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音88%, 流暢性87%, イントネーション75%, 強勢98%)

1月22日(金)87%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音89%, 流暢性87%, イントネーション76%, 強勢98%)

1月24日(日)86%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音88%, 流暢性86%, イントネーション75%, 強勢98%)

1月25日(月)86%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音88%, 流暢性85%, イントネーション75%, 強勢97%)

1月26日(火)86%ネイティブ「上級者」 (リスニング99%, 発音88%, 流暢性86%, イントネーション75%, 強勢97%)

このアプリは、毎日私のためにトレーニングレッスンを組んでくれるのですが、それとは別に、自分の苦手な発音を集中して練習できるコーナーもあります。自分は問題を感じていなかった発音が、意外とできていなかったり、新しい発見もあって、飽きずに続けられます。

もう4か月以上、ほぼ毎日続いています!

発音問題はどこへ行く?

前回(1/11)の記事に書きましたが、16日に行われた共通テストの英語では、4技能型が導入され、リーディングとリスニングそれぞれ100点満点で行われました。ライティングやスピーキングの点数も必要な受験生は、英検やGTECなどの民間業者のテストを受けるのですね。

4技能型の試験は「英語をどのくらい使えるか」を測る試験です。対して、従来型の「文法・語彙・発音・読解」という観点から作られた試験は、「英語の知識がどのくらいあるか」を測る試験です。(従来型の「読解」はリーディングと違います。)

よって、従来型の試験から4技能型の試験に移行したことで、「文法問題と発音問題がなくなった」と、よく言われます。

確かに、文法や発音の知識を問う問題は消えました。

これを読んで、みなさんは、「じゃあ、文法は勉強しなくていいんだ!」とは解釈しないでしょう。基本的な文法を知らないと、英語を使うのに困るのはすぐお分かりになると思います。

でも、発音はどうでしょう。発音問題を解くような知識が無くても、そこそこ発音できるのではないか、という気がしませんか?

※ちなみに、よく「発音・アクセント問題」と言いますが、単語の強勢(どの母音を最も強く発音するか)を「アクセント」とは言語学では言いません。これは word stress (ストレス/語強勢)と言います。accent は通常は「訛り」の意味です。私は、語強勢を問う問題も含めて「発音問題」と言っています。

実際、今年あたりから、英語の総合問題集(学校向けのもので、以前は文法・語彙・発音・読解がバランスよく扱われていた問題集)から、発音問題が消えています。私は、教材出版社の営業の方にも直接聞いたのですが、これから入試問題では発音問題はなくなっていくだろうという推測のもと、教材も編集されているとのことです。

私は、これはヤバイと思います。理由は2つ。

まず、第1の理由は、私の経験では、発音の知識を問う問題は、英語の知識問題の中で一番実用的な知識問題だと思うからです。私が、上記のELSA Speak で「強勢」をずっと97-100% を維持できているのは、「発音・アクセント問題のルール」というようなタイトルの問題集を若いころに1冊(と言っても、とても薄いものでしたが)マスターしたおかげです。

また、私の若いころはインターネットもなかったので、発音問題で高得点を取るためには、発音記号を主なものだけでも覚える必要があったので、それもとても良かったと思っています。

確かに、「知っている」のと「使える」のは別です。しかし、外国語のスキルを教室の中で身につけようとするとき、「知らない」ものは「使えない」のです。

(帰国子女のように、幼い時に英語圏に引っ越して、英語漬けの生活を送った場合は別です。その場合は文法や発音のルールを知らなくても、英語を使えるようになります。)

大学院で TESOL(英語教授法) をやると必ず出てくる、DeKeyser という学者の説いた Skill Acquisition Theory でも、まずは、はっきり言葉で説明できる知識を得てから、何度も練習して、それを自動化する(頭で考えないでも使えるようにする)、と言っています。

第2の理由は、スピーキングテストでどの程度発音を測っているか非常に疑問ですし、そもそもスピーキングの評価を細かく点数化することに無理があること。例えば、英検は、試験官は日本人の英語教師であることがほとんどです。当然、カタカナ発音にも甘くなると思います。というか、どうしてもその試験官によって、主観による個人差が出ます。

私が大学院で一番尊敬していたアメリカ人教授は、スピーキングテストの評価から主観を排除することは不可能だと言い切っていました。

ただでさえ主観の入るスピーキングテストの評価を、日本人の気持ちが分かりすぎる日本人試験官が行い、それが大学の合否を分ける点数になるとは…。

よく訓練された非日本語話者の試験官がスピーキングテストの評価を、できるだけ科学的に(客観的に)やるなら良いと思いますが、英検でそれは実現できないでしょう。

ということで、私は発音問題が日本の学校の英語教育から消えていくのが非常に悔しいです。

はい、では今日はこの辺で。

よろしければ、ぜひ、前回の記事もお読みになってください。

That's all for now! See you next time! Until then, keep practicing!

私(1970年生まれ、インターネットが登場する前に大人になった)の英語学習歴… 子供英会話教室(当時はまれ)に通ったのがきっかけで、中学生頃から自分で英語漬けの生活を始める(中学校での壮絶ないじめからの逃避願望もあった)。NHKラジオ講座、文化放送「百万人の英語」、FEN(在日米軍ラジオ放送)、アメリカ映画、アメリカの十代向け雑誌など。フツーの公立中に通いながら、中2で英検2級。高校は海外帰国生が全生徒の3分の2という私立高校(ICU高校)で、アメリカ英語の洗礼を受ける。帰国生に負けまいと英会話スクールに通う。高2で英検準1級。高3で英語の先生に帰国生と間違われて内心ガッツポーズ(笑)。大学(ICU)で英語専攻。英会話スクールにも同時に通う。大学2年で英検1級。アメリカ人の教授について卒論も英語で書く。アメリカの大学院に1年在籍、アメリカ史を専攻して挫折して帰国。高校の英語教員になり、25年。その間、TOEIC 980点、通訳ガイド(通訳案内士)、TESOL(英語教授法)修士号(Temple University Japan)を取得。NHKラジオ講座は中学生以来、時々ブランクはあるけれど、聞いている。今は、アメリカのリアリティ番組にドはまり中。Podcast も好き。

「ネイティブライク」という言葉について… native-like という形容詞で、「ネイティブ・スピーカーではないけれど、それに非常に近い」という意味です。

「ネイティブ・スピーカー」という概念について… 応用言語学者の中には、ネイティブ・スピーカー至上主義(native speakerism)を批判する人も少なくありません。私も、ネイティブ・スピーカー至上主義は支持しません。私がこの記事で「ネイティブライクになりたい」と言うのは、発音練習が私の趣味だからです。英語はいろんな文化的背景を持った人たちがコミュニケーションのツールとして、第2言語として使うものですから、その人たちの第1言語(母語)に影響された英語(訛りのある英語)が使われるのは当然のことです。訛りのある英語も、アメリカやイギリスのニュースキャスターが使う英語も、言語として優劣は無いと考えています。世界には、native speaker の英語教師よりも non-native speaker の英語教師の方が、はるかに数多く存在します。私もその non-native speaking teacher of English であることを誇りに思っています。



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