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文芸批評研究会
2015年11月28日 12:50
≪何を演じているのか≫ 自分にはどうしようもないことに対して――そしてありえたはずのもう一つの自分の人生が手に届かないことに対して――鬱屈としていた発電所に閉じ込められた人々は、これらの絶望を遺物に転化させていることに長けている。 すなわち、これから待ち受ける搾取と必然的な殺害に満ちた絶望的な未来をすでに自分のあり方として遺物化させ、そのあり方にのせて「ありえた自分像」を永遠に演じているのだ。