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翻訳のために第一次世界大戦の本を読んています

第一次世界大戦というと、なんだかとても古い時代のことのように思えてしまうのですが、小生はその関係の本を翻訳しようとしております。

内容は、イギリスがドイツに仕掛けたプロパガンダ戦争の内部記録で、そのタイトルを「Secrets of Crewe House: クルーハウスの秘密」というものです。この英国秘密宣伝本部の活躍で、第一次世界大戦の最終段階でドイツ軍は内部崩壊を起こし、敗戦にむかってなだれ落ちていくのです。

なぜこの本を見つけ出したかというと、かつて私がデキンボーの広告会社社員だった頃、手当たり次第に読んだ広告、広報、宣伝関係の本の中に「プロパガンダ戦史」池田徳眞:著 という本がありました。その中で、英国の巧みなプロパガンダ技術の精髄が詰め込まれた本ということで、紹介されていたのです。

さらに、この本が中公文庫となるに当たり、佐藤優がこの「クルーハウスの秘密」を絶賛し、「あらたに日本語に翻訳されれば、ロングセラーとなり、わが(日本国の)インテリジェンスの水準を底上げすることになると思う」と書いています。

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それに付随して、第一次世界大戦の基本資料を読まねばなりません。基礎知識がなければ、その本の出版された背景もわからず、個々の用語や事実関係もわからず、頓珍漢の迷訳になってしまうからです。

その関係の本は少しずつ出版されているのですが、最近読み終えた「日本人のための第一次世界大戦史」板谷敏彦:著 は秀逸な本でありました。複雑怪奇な第一次世界大戦を、前後の事実関係から周辺情報、日本との関係などなどを、見事に解き明かした名著です。

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なぜか今まで私が翻訳してきた映画の本、GAFAの本、オペラの本などについて、翻訳作業をしていると、その関連の本が相次いで出版されるというような不思議がありました。これもその本の一つです。

きわめて現在進行中の政治経済の歴史をかんがみると、心ある人々の間では、今が第一次世界大戦前夜と酷似しているという認識があるようです。第一次世界大戦は、新興国ドイツが既存の列強に戦いを挑み、ボッコボコに敗北していった歴史です。それも第一次、第二次と続いた世界大戦は対ドイツの戦いでした。

今は、対中国なのです。かつての植民地戦争華やかなりし頃の英国が仕掛けた卑劣なるアヘン戦争のおかげで、劣等国の地位に叩き落された中国が経済的軍事的な力を付けて、かつての20世紀のドイツのように、列強に対して挑戦している・・・、という図式です。

翻訳原稿は、アメリカ在住のマダムMAとの協力で、第1稿がほぼ完成し、これからきちんとした推敲にかかろうとしています。出版するのは本郷にある緑風出版から、であります。



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