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小噺②ーあるいは物語の始まりのようなー


一度手に入れた幸せを手放すことは耐え難い。ましてやそれが他人の手で為されるのならば尚更だ。

だが現実は非情だ。こちらの事情なんてお構いなしにやってきては奪い取っていってしまう。無力を嘆いても、非力を恨んでも、全ては無意味。誰が想像できるだろうか。
長年探し求めていたプレミアディスク、偶然リサイクル店で見つけて喜び勇んで興奮のあまり天にかざした瞬間、空から謎の物体が現れるなんて。
あれは鳥か、飛行機か、いやUFOか。そんな阿呆な。それが奴らの合図だったのか、偶々反射光に惹かれてやって来たのか定かではないが確実に言えるのは、思わず手を離してしまったディスクが宙に浮かんで吸い込まれてしまったということだ。
この話をしても誰も信じてはくれないし、自分でも夢だったのかと思う。
もう一度あのUFOが目の前に現れるまではーー

降谷白久

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