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樋口一葉『にごりえ』 第ニ章 現代語訳


樋口一葉

第2章の主な登場人物
・お力
・結城 朝之助(ゆふき とものすけ) …… 男。名前が明らかになるのは、第3章。

第2章

ある雨の日の中、退屈そうに山高帽子をかぶった30代の男が、店の前の表の通りを歩いていた。
「あの男性を捕まえなければ、この雨で客の足が止まってしまう」とお力は駆け出して袂(たもと)にすがり、「どうしても行かせません」と駄々をこねた。
男は容姿端麗であった。普通ではない事情がありそうなお客を呼び入れて、二階の六畳の部屋で、三味線はなかったが、しめやかな物語を始めた。

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2,941字

樋口一葉『にごりえ』現代語訳したものです。 現代語訳: 西東 嶺(さいとう みね)

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