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樋口一葉『にごりえ』 第六章 現代語訳

主な登場人物
・お力
・結城朝之助

第六章は、お力が、父親・祖母・自身の過去などについて打ち明ける話です。

第六章

「十六日に必ず待ってます。来て下さい」と言ったことなんかも忘れ、今まで思い出しもしなかった結城朝之助に意外に出会ってしまい、アレと驚いた顔つきが普段の姿に似合わないその慌てふためく様子がいかにも滑稽で、カラカラと男が笑うのでお力は恥ずかしく、
「考え事をしながら歩いていたから、突然の出会いで慌ててしまった。よく今夜は来てくださりました。」
と言うと、
「あれほど約束して、待ってくれないのは不誠実だ」
とせめると、
「何でも言ってください。言い訳は後でします」と手をとって引き連れて行くと、
「野次馬がうるさい」と注意する。
「どうとでも勝手に言わせましょう。こちらはこちら」と人ごみを分けて連れ出した。

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3,547字

樋口一葉『にごりえ』現代語訳したものです。 現代語訳: 西東 嶺(さいとう みね)

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