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彼は「生きる」ことを「踊る」と歌う


先日、会社の後輩に誘ってもらって星野お源さんのドームツアーに行ってきた。

どうかこの時間よ終わらないで・・・!とここまで心臓がきゅうううんと苦しくなったライブもなかなかない。


源さんのライブは今回で2度目。一昨年、なかよしの友達に「ひつまぶし食べがてら一緒に行かない?」と誘ってもらって名古屋まで行った『Continues』以来だった。

周りの人たちによって、着々とポップなウイルスに感染させてもらって有難い限りなのである。


源さんの音楽を聴かない友達に、「星野源の何がいいの?」と聞かれる度、「曲と、あと人間性かなぁ・・・うにゃむにゃ」としか答えられない自分がふがいなくて。

会ったことも話したこともないのに人間性なんてわからないだろうと思いつつ、やっぱり「ファン」になる所以はその人が作る曲だったり、言葉だったり、その人が演じる演技だったり、その人が「生み出すもの」が好きなことには違いない(スーパードライが好きでアサヒファンになるのと一緒だと思う)。

それはそうなのだけれど、源さんの魅力をシャワーのように浴びて、ライブ終演後、この感動を、源さんの魅力を、言語化したい欲求にかられたので整理させてください。


※一部ライブ内容のネタバレになってしまうので、10日の福岡に参戦予定の方はゴーバックをお願いします…!!※


①ダメダメな人も、みーんな許してくれる

源さんが作る曲は、聴いてると勝手に体がゆっさゆさしてきて踊り出さずにはいられないダンスミュージック(Week Endとか桜の森とかが始まった途端、みんなで体ぐにゃんぐにゃんにしてスウィングガールズなるの、ほんと最高だよね)。

ポップなのに、じわじわ泣けてくる。この感覚が不思議でクセになる。

歌詞にじっくり耳を傾けると、源さんが言いたいことは変わってないのかなぁと価値観の根っこに触れる瞬間がある。

源さんは「生きる」ことを「踊る」と歌う。


まずは個人的にマイベスト5に入る『Week End』。

今を踊る すべての人に捧ぐ 君だけのダンスを 世間のフロアに出て叫べ
今を生きる すべての人に捧ぐ 俯いた貴方と 靴を鳴らし 昔を飛べ

ダンスを踊っている途中で、足が絡んで転んでしまうこともあるかもしれない。

それでええじゃないかと。足が絡まっても、踊り続ければいいのだと。


運動センスがゼロに等しい私は、中学時代、吹奏楽部で踊っている時「動きがロボットみたいになってるよ!!」と指摘を受けたことがある。それはダンスに限ったことでない。失敗を恐れるがあまり、思い切った行動ができずに、あたい、まじめすぎてつまらないなーと思うことはたまにある。

それでも「君だけのダンス」でいいんだと言ってもらえると安心するし、心のどこかで、私にしか踊れないダンスがあると信じたいんだろう。


生声で聴くのを楽しみにしていた『Pair Dancer』なんて、山あり谷ありであろう夫婦の道のりをめちゃくちゃ素敵に歌ってて・・・結婚を夢見る全女子に聞いて欲しい。

錆びた日々の片隅で 二人きりでダンスを踊ろう 悲しい嬉しい苛立たしい 何もかも間違えて踊ろう
雨の日にも 叶う時も 側にいてよBaby 駄目な時も悪い人も 諦めて
褒める君も 泣いた声も 側で舞うBaby 間違う隙間に 愛は流れてる

こんな曲を結婚式で歌ってもらえたら、メイク全部落ちるほどぐっしゃぐしゃになる!

全力で「間違う」ことを肯定している。その優しさがすき。


②努力を感じさせない努力家である

源さんはコンサートの中で、こんなことを言っていた。

冒頭で歌った『歌を歌うときは』は、25歳の時にひとり部屋でギターで弾いていた時と、今日ドームで歌った時、同じ気持ちで歌っていたと。

昔何かのインタビューで言っていたけれど、今となってはマルチタレントといわれる源さんも、昔は音楽も演劇も文章も、すべて周囲からは「やめた方がいい」と止められたという。

それでも「すき」というピュアな気持ちを殺さず、他人に何を言われようが「でも、やりたいんじゃい」という気持ちを貫き続けた結果、世間を味方につけることができた。

「かつては普通の青年だった」というところに、凡人の私もスッと感情移入できちゃうんだろうな。


「あの人はいつも楽しそう」「運がいい」と言われている人は、これはもう絶対的に裏で努力しているに違いないと確信を持っている。ひとりで曲を作る時間なんて、いうなれば「孤独との闘い」なんてこともあるだろう。

それでもやっぱり、「たのしーーっ」って笑いながら歌う源さんには、どうも「努力」って言葉が似合わない。

夢追い人はかっこいいけど、夢を叶えた人は100倍かっこいい。

これが最近のひそかなマイテーマです。w


③人間くささが半端ない

完全に個人的な嗜好だけど、人生楽勝だぜぇ!というネアカよりも、人生や人間の心のままならなさを理解した上で、現実と理想のギャップを埋めるべく明るく生きる後天的ポジティブな人に惹かれる。


こんな曲たちは、源さんの闇をどっぷり感じられてこれもまたいとをかし。

『地獄でなぜ悪い』←これ聴きながら夜中散歩するとめっちゃよくて、ライブで流れた瞬間テンアゲだった

無駄だ ここは元から楽しい地獄だ 生まれ落ちた時から 出口はないんだ
嘘で何が悪いか 目の前を染めて広がる ただ地獄を進む者が 悲しい記憶に勝つ

『ばらばら』

気が合うと 見せかけて 重なり合っているだけ 本物はあなた わたしは偽物
世界はひとつじゃない ああ そのまま 重なり合って ぼくらはひとつになれない そのまま どこかにいこう

源さんは、笑いながら永遠の孤独を叫ぶ。

私たちはどうしたって重なることしかできなくて、永遠に分かり合うことはできないのだと、何度も自分に言い聞かせるように歌う。

そんな歌を、5万人の目線を浴びながらドームのど真ん中で熱唱しているのだ。


「歌詞のここがいいよねぇ」とか「おいしいねぇ」とか、そんな小さな感動を共有することで私たちは「ひとりじゃない」を必死に確認しているのかもしれない。

やっぱり「共感」は気持ちいいものだから、本能的に孤独から逃げているのかもしれない。

喜びは倍に、悲しみは半分こにできたとしても、100%分かつことはあり得ない。

けれどその事実は絶望というよりむしろ、どんなにミーハーで大衆の嗜好に流されようが、私以外私じゃないのの証明であり、希望だと思う。


「寂しい」と叫びながら全力で笑わせようとしてくるエンターテイナー源さん。

国民的スターになってもなお、プンプンに人間くささを纏っているから、どうしてもまた来年もライブに行って顔を見たいな、と思ってしまう。

ライブに誘ってくれたさーや、本当にありがとう!


それにしても、ライブ後に3時まで飲むのはあきまへん。

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