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プロダクトの成長サイクルを理解する"Racecarフレームワーク"

プロダクトの成長サイクル回すために、どの要素を今やるべきか?足りてないか?をチェックするのにおすすめ「Racecar」フレームワークをご紹介します。
また具体的にどうやるかのアイデア含めて海外記事の紹介なども入れています。

どうも、ぶんたです。(@bunbuno0
音声プラットフォームのプロダクトVoicyのPMをしています。

今回は特にtoC向けプロダクトのグロースをどのようにしていくかを理解するための良い記事を発見したのでご紹介しつつ、
プロダクトを成長させていくにはどういうことを行えば良いか、それを整理することに役立てられればと思って書きます。

主に「https://www.reforge.com/」と「https://www.lennysnewsletter.com/」の記事から引用・紹介しています。

まずご紹介したい記事は以下。

toC向けプロダクトが成長するのに必要な要素をわかりやすく分類分けをしてくれています。

⚙️ (成長) エンジン
成長のほとんどを促進する自立的な成長ループ (バイラル性、パフォーマンス マーケティング、コンテンツ、販売など)。

💥 ターボブースト
一時的に成長を加速するが持続しない単回限りのイベント (PR、イベント、スーパーボウルの広告など)。

💧 潤滑剤
成長エンジンをより効率的に稼働させる最適化 (顧客変換の向上、ブランドの強化、顧客維持率の向上など)。

燃料
エンジンの実行に必要な入力 (資本、コンテンツ、ユーザーなど)。

https://www.reforge.com/blog/racecar-growth-framework

これを意識するかしないかで大きく認識が変わりますし、それによって戦略が全然違ってくるので、とても良い分類の仕方だなあと思いました。

個人的には「エンジン」と「潤滑油」が特に重要かと思ったので、厚めに書いています。

ちなみに余談ですが、私は英語ができないので、自動翻訳を駆使して頑張って理解しています。
なので、英語ができない方もchromeなどの自動翻訳機能を利用すれば簡単に読めるので、元記事の内容を是非読んでみてください。

日本だとプロダクトマネジメントなどの情報はあまり出てきませんが、本当に海外はSubstackやMediumなどで、現場の、生身の、血の通った成功体験・失敗体験・様々な分析の記事やPodcastがそこら中に落ちているので、色々見てみるのはオススメです。
しかも記事内のリンクから飛んでいけば、様々の方の発信をいろいろ辿ることもできます。

と余談はここまでで、以下本編です。

エンジン(The Growth Engine)

⚙️ (成長) エンジン
成長のほとんどを促進する自立的な成長ループ (バイラル性、パフォーマンス マーケティング、コンテンツ、販売など)。

まず、エンジンが無いと車は走りません。
記事でも紹介ありますが、最も大事なことが「(成長)エンジン」を理解すること。
これはユーザーを呼んでくる仕掛けの様なもの。

この「(成長)エンジン」が確立されることで、持続可能な複利的な成長ループに入っていくことができるということになります。

そしてまた別記事からの引用になりますが、実はこのエンジンの種類は4つしかなくて、toCサービスでいうと3つになります。(セールスがユーザー獲得のエンジンとして経済的であることは稀なため)

引用:https://www.lennysnewsletter.com/p/growth-engines

(自動翻訳を引用)
なぜ成長する方法がこれほど少ないのでしょうか? 考えてみてください。
ほとんどの新製品について知る方法は何通りありますか?
広告を見るか 、オンラインで検索しているときに見つけるか (つまり SEO)、誰かがセールスをするか、または友人からそのことについて教えてもらう(つまりバイラル性)のいずれかです。

さらに興味深いことに、スタートアップ企業の大半は主にこれらのエンジンの1 つだけを通じて成長しています。
たとえば、Tinder の成長のほぼ 100% は口コミ (WOM) によるもので、Calm の成長は広告の成長によるもので、Thumbtack の成長は SEO によるものです。これは、特に最初の頃は、ほぼすべてのスタートアップに当てはまります。

初期段階のスタートアップによくある落とし穴は、一度に多くのエンジンに投資しようとして、どれも成功させられないことです。大規模な市場で勝つためには、主要な成長エンジンで世界クラスになる必要があります。

https://www.lennysnewsletter.com/p/growth-engines

例えば、Facebookは最初は特定の大学しか使えないようにし、うまくコミュニティをうまく作って口コミでどんどん広げていったことは有名な話ですが、
マッチングアプリのTinderも、大学生の誕生日パーティーを開催し、Tinderアプリのダウンロードを参加条件として、大学生の間でとても話題になり、初期グロースを生み出したりしていました。

そのように世界を代表するような数々のプロダクトたちは、グロースサイクルを生み出す渦のようなものを、初期の段階で確立していたりします。

以下記事の中の、「最初の1,000ユーザーを見つける方法」は実際の事例がたくさん書かれていて非常に面白いです。


ターボブースト(Turbo boosts)

💥 ターボブースト
一時的に成長を加速するが持続しない単回限りのイベント (PR、イベント、スーパーボウルの広告など)。

次はターボブーストです。これは一定期間の成長を加速できる戦術ですが、継続的な加速はできません。例えば以下のようなものです。

  1. PR

  2. イベント

  3. ブランドマーケティングキャンペーン

これらは単発で持続可能ではなく再現性が乏しいですが、
一方で、新製品や市場の立ち上げなど、会社にとって重要な転換点において、成長率を加速させるためのツールとして非常に有効な場合があります。

他は具体的な施策としては、
テレビCMや大物インフルエンサーへの投稿依頼などもこの「ターボブースト」に当てはまるのかと思いました。

こちらも以下、いろんな先人たちのアイデアを紹介してくれているのは参考になります。


潤滑油(Lubricants)

💧 潤滑剤
成長エンジンをより効率的に稼働させる最適化 (顧客変換の向上、ブランドの強化、顧客維持率の向上など)。

この部分が、成長ループをいかに滑らかに回せるかの重要な部分。
特にその中でもリテンションは重要なものです。

そして以下記事の中で面白いのが、リテンションは重要であることは皆が思っているが、その重要な意味を分かっていないという点です。引用します。

なぜリテンションが優先されるのかが理解されていないのです。これを理解していないと、人々は間違ったことに取り組み、最大のチャンスを逃してしまいます。
ほとんどの人は、リテンションが非常に重要であると考えています。それは単に、リテンションを行わない場合よりもユーザーを失うことが少なくなるからです。
これは事実ですが、重要な点を見逃しています。リテンションを向上させると、次の 4 つの主要な方法で成長が促進されます。

穴の空いたバケツの話ではないですが、その部分だけに目が行きがちですが、ユーザー損失以外の点も含めて、このリテンションに力をかけることは意味があることなのです。

以下、結構当たり前のようにも感じることではありますが、
改めてリテンションが与える影響が広範囲で、いかに重要なポイントなのかを再認識する意味で、とても重要なように思います。

(自動翻訳)
1. リテンションが獲得を促進する
多くの製品、特にバイラル性やユーザー生成コンテンツ (UGC) を通じて成長する製品では、リテンションは二重の効果をもたらします。
より多くのユーザーを維持すると、それらの追加ユーザーは、共有、招待、口コミ、コンテンツの作成など、獲得を促進する重要なアクションをより多く実行するようになります。
これらの新規ユーザーがより多く保持されると、より多くのユーザーが獲得されます。保持率の向上は、獲得を促進する自己強化サイクルを開始します。

2. リテンションにより収益化が向上
収益化に関して言えば、リテンションの向上によって 2 つの重要なことが起こります。
コホートのより多くの割合を維持することができ、そうすることで、一定期間内にそのコホートからより多くの収益を得ることができ、期間を長くすることができます。コホートが維持し、LTV を向上させます。

3. 維持により獲得競争力が構築される
維持率、収益化、LTV が向上すると、顧客の獲得にさらに多くの費用を支払うことができます。そうすることで、競合他社を獲得チャネルから追い出し、以前は費用がかかりすぎた新しいチャネルを開拓し、より速く成長することができます。

4. 保持により投資回収期間が短縮される
回収期間とは、顧客を獲得するためのコストを損益分岐点にするまでにかかる期間です。また、成長を促進するために買収への再投資をどれだけ早く開始できるかも決まります。定着率を向上させると、投資回収期間が短縮され、成長が促進されます。

つまりリテンションが改善すると、


▶︎ユーザー増える
▶︎そのユーザーがコンテンツ作ったりシェアしたりしてユーザー招待を促してくれる
▶︎使う人が増えればお金を払う人が増える&ずっと使うから払う金額も増える
▶︎その売上でより広告に投資できる&投資対効果もより速く回収できる
▶︎もっとユーザーが増える


というループを生み出すことができる。という話です。

なんか言われれば当たり前ではあるんですが、結構見落としがちな部分が「リテンションを改善することで、新規ユーザーの獲得数も増加する」という点かもしれませんね。

例えばこれ、Pinterestのループがわかりやすい。

https://www.reforge.com/blog/growth-metric-acquisition-monetization-virality

ただ年々いろんなサービスが出てきて熾烈な争いになっているため、2010年代の市場環境よりもこのようなループは回りにくくなっているような気もします。
様々な魅力的な商品がある中で、企業同士では可処分時間の奪い合いの一方、ユーザーの目は肥えていくので、より最初の体験でいかに魅力的な商品かをアピールできないともう一生使ってもらえない。そんな環境になってきているのでしょう。

この記事は続編もありますので、気になった方は読んでみてください。
Why Retention Is The Silent Killer
Retention is Hard, and Getting Harder — Here’s Why


あと潤滑油の話は重要なので厚めにはなりますが、
リテンションの話でいうと、そもそもどう測定して運用するのがベストか?みたいなことは常に考えておきたいところです。

・ステップ 1. 「アクティブ」を定義する
 ex.Spotify:曲かpodcastを聴いた
・ステップ 2. (無料)ユーザーと(有料)顧客を区別する
 ex.Daily active paid users(DAPU)
・ステップ 3. 保持タイプを選択する
・ステップ 4. BI アプリケーションと SQL からのレポート保持期間
・ステップ 5. 定着率の可視化

またどのくらいのリテンション率が良いのか?に関しては以下の記事が参考になります。

ユーザー維持率をサインアップして 6 か月後もアクティブ (つまり、製品の使用、購入、写真の投稿) を続けているユーザーの割合として定義しましょう。

GOOD and GREAT User Retention
Consumer Social(toCソーシャル):
~25% is GOOD, ~45% is GREAT
Consumer Transactional(toC商取引): ~30% is GOOD, ~50% is GREAT
Consumer SaaS(toC Saas): ~40% is GOOD, ~70% is GREAT
SMB / Mid-Market SaaS(中規模事業者向け Saas): ~60% is GOOD, ~80% is GREAT
Enterprise SaaS(エンタープライズSaas): ~70% is GOOD, ~90% is GREAT

単純比較はできないかもしれませんが、自社サービスがどのような基準なのかをみる参考としても使えるかなと思います。

そして、ではどうやってこのリテンションを改善するのか?については、以下がアイデアの参考になります。(途中から有料記事になりますが、半分くらい無料で読めます。)

・ 製品を改善する - ユーザーにより多くの価値を提供する
・ オンボーディングを改善する - より多くのユーザーを既存の価値につなげる
・ 粘り強くする - 価値を諦めにくくする
・ 離脱する前にユーザーを捕まえる - 残る理由を与える
・ ユーザーに価値を再認識させる - より頻繁に価値を提供する
・一度離れてしまったユーザーを呼び戻す - 足りないものを思い出させる。
・ ユーザーを変える - より適切なユーザーをターゲットにする

以上、このパートは長くなりましたが、この「潤滑油」こそがプロダクトのグリップを強める根源なので、細かくご紹介しました。

この部分は本当に難しい部分です。記事内でも以下表現ありましたが、その通りだなと。

保持率を大幅に向上させるのは難しいので注意してください。
何故ですか?そうですね、人々は忙しくて、これ以上お金をかけたくないからです。
マーク・アンドリーセンがかつて言ったように、「人々の時間はすでに完全に割り当てられている」のです。
これが、ほとんどのスタートアップが失敗する理由です。
単に、人々が十分に望むほどのものを結局作ることができていないだけなのです。そして、人々が何らかの欲しいものをたまたま見つけたとしても、それをさらに強く望ませるのは困難です。
とはいえ、これは試してはいけないという意味ではありません。

ただこの状況の中でいかに短時間で興味を持って熱中できる期待をしてもらえるか。
レーシングカーがグングンスピードを上げられるように摩擦をいかに減らしておけるかが、プロダクトの肝であるということですね。


燃料(Fuel)

燃料
エンジンの実行に必要な入力 (資本、コンテンツ、ユーザーなど)。

そして最後、これがなければ、どんなに最適化されたエンジンでも動作しません。
ただし必要な燃料の種類は、実行している成長エンジンの種類によって異なります。

例えば、広告のグロースエンジンを回すには資金が必要だし、SEOでユーザーを呼ぶには多くのコンテンツが必要だし、バイラルするにはユーザー数が必要だよねという話です。

ただここで注意が、燃料を積みすぎると実際に速度が低下する可能性があるということです。

例えば
・マーケティングに費用を突っ込めば突っ込むほど、コンバージョン率やリテンション率が低下していく可能性もある
・コンテンツのボリュームを増やせば増やすほど、それで満足してしまう可能性も出る
・友人紹介などを執拗に進めればバイラリティは増すがユーザー体験が低下し離脱する可能性が出る
のようなことです。

なので、燃料は多ければ多いほど良いというわけではなく、エンジンにふさわしいだけのボリュームで積めるようにしておくことが重要だということです。


さいごに

以上、Racecarの紹介とそれに付随するものの紹介をさせていただきました。Racecarの記事は続編があるので、さらに深く見たい人はこちら。

ただこのモデルも今後どうなるか分かりません。
AIも実用的になって、獲得のチャネルも全く違うものにガラッと変わる可能性も大きいですし、利用者もどんどん変容していきます。
スマートフォンが登場して15年くらいも経ちますし、デバイスも大きく変わっていくでしょう。

という部分もありつつも、現状こういった考え方をするだけで、全然新たな視点や良い戦略が作れるということもあるかと思うので、是非参考になる部分は取り入れてみてください。

今回は気になった海外の記事紹介ですが、プロダクトマネジメントを中心に他にもいろいろnote書いているので是非ご覧ください。

参考になったとか、こういう考えがあるねとか、感想でもなんでも、是非シェア&コメントくださいね!

Twitterはこちら(@bunbuno0)

またこういう内容を一緒に考えてくれる仲間も募集しているので、Voicyという会社が気になる方はぜひ以下も見てみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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