56モモちゃんとトカゲ

わが家の猫生活【その十七/やめてほしい恐怖のお土産】

モモちゃんは、相変わらず家と外とを行ったり来たり。ゴマちゃんのことがあってからいろいろ考えたけれど、わが家では結局猫の本能を生かす暮らしを選んだ。今もそのことに後悔はない。

しかし本能の向くままにさせていたら、ギョッとするようなお土産を持って帰るから恐ろしい。(猫を飼っている人ならおわかりですね?)

狩人(猫)・モモちゃんは、獲ってきた獲物をいつも家族に見せびらかした。ネズミ、小鳥、ヘビ、トカゲなど。「オレ、獲ってきたぜ! 褒めてくれ!!」と言わんばかりに、差し出すのだった。

「お願いだからほんとやめて!」と青ざめる家族。全員、ちびまる子ちゃんのザーザーした顔になった。片づけるのはこっちなんだから、勘弁しておくれよーー!!

モモちゃんはそんなのお構いなしだ。

家の中で猫様がウオーーーン!と騒いで何事かと思えば、風呂場の窓や玄関のサッシにへばりついたピンクの奴ら(ヤモリ)。モモちゃんは、毎度毎度ガラス戸に前脚をのばして捕獲しようとした。しかしヤモリはガラスの裏側にへばりついていて、表側からだと当然捕獲できないのだった。

本人(猫)、そのことに気づいているのかいないのかわからなかったけれど、懲りずにいつも必死。10年ぐらい、ほぼ毎日やっていた。学べよ、お前!

34ヤモリ

そういえば、モモちゃんが庭で大きなヘビと対峙しているのを発見したことも。ところが私が近づいたら、ヘビが逃げてしまった。その後の彼の落胆といったら(笑)。取り逃がした先の石垣一点だけを見つめて、かたまっていた。

「ヘビもバカじゃないんだから、もう来ないよ! だから家に戻ってごはんを食べようよ!!」

そう話しかけてみるも、「オレの獲物! オレのおもちゃ!!(←たぶんヘビのことをこんな風に思っていたのではないかと) 絶対逃がせん!!!」という執念からか、微動だにせず。それから2時間もの間、ただじーっとスフィンクス座りをして、ヘビが再び姿を現すのを待ち続けた。


ヘビ、来なかったけどね。諦めが悪いな!

モモちゃんの狩りは、一定の歳になるまで行われた。そのお蔭で(?)、家からネズミがいなくなったことは良かった。そもそも、当時の田舎で猫を飼うことには、ネズミを追い払うという確固たる目的があった。わが家も押入れや倉庫のものをかじられて困っていたのだ。自分は動物の中でも特にネズミが苦手で。『ハーメルンの笛吹き男』がそれを助長したんじゃないかと思っている(苦笑)。『パンをふんだ娘』と共に、完全に幼少期のトラウマ!

まあそれはさておき。

ただ、毎年やって来ていたツバメが、猫を飼い始めた翌年から来なくなったのは残念だった。これは仕方ない。命あるものは子孫を残すために危険を遠ざける。こうしてグルグルと生態系がまわっていくんだと、身を以って感じた。(つづく)

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