太田喜二郎家住宅見学会と座談会
2022年10月29日土曜日、上京区烏丸今出川上る、太田喜二郎家住宅見学会と座談会を開催しました。古材文化の会企画部会の主催、ぶんぶんカフェのイベントです。
今回は10名の方にご参加、個人のお住まいなので最適な人数として上限を決めました。建築家・藤井厚二設計のアトリエ兼住まいです。
改修工事が終わり、設計を担当した中田貴子さん哲さん(好日舎+中田哲建築設計事務所)にご案内いただき、所有者さんも交えての見学会&座談会を企画しました。
洋画家・太田喜二郎
まずは、洋画家太田喜二郎の紹介と足跡をお話いただきました。
明治16年生まれの洋画家で黒田清輝に学んだ後、ベルギー留学の後に京都で活躍されました。
2019年と2021年に京都文化博物館にて太田喜二郎に関する展示がおこなわれています。
太田喜二郎と藤井厚二—日本の光を追い求めた画家と建築家—
近代文化人ネットワーク―太田喜二郎の周辺―
太田喜二郎家住宅主屋兼アトリエ
建築家・藤井厚二による設計で大正13年に建築された住まい兼アトリエです。2021年に登録有形文化財(建造物)に登録されました。
太田喜二郎家住宅主屋兼アトリエ-文化遺産オンライン
京都を彩る建物や庭園-太田家(旧太田喜二郎アトリエ)認定
京都市 景観重要建造物・歴史的風致形成建造物 指定
藤井厚二は、大山崎の聴竹居が有名ですね。西洋の技術を取り入れながら日本の気候風土に合う住宅を追求しました。太田家は藤井の初期の住宅作品でもあります。
詳細な太田家調査のこと、藤井厚二建築について、いずれのお話も興味深くうかがいました。
2018年にNPO法人古材文化の会で“京都を彩る建物や庭園”制度の認定調査を実施しました。
翌2019年に京都文化博物館で「太田喜二郎と藤井厚二」展が開催され、これをきっかけに所有者さんは復原工事をご決断されたそうです。
復原改修工事をするにあたり、中田さんは詳細な実測調査を行い、所有者さんと古写真を何度も確認し復原についての考察をされました。
古材文化の会だけではなく、聴竹居倶楽部、京都市文化財博物館、目黒区美術館、京都市文化財保護課、京都市景観政策課、その他たくさんの方々の協力があって実現したプロジェクトです。
所有者さんのお話
所有者さんが生まれ育ったおうちでもあり、幼い頃のご家族や建物の写真なども見ながらのお話しは、積み重ねられてきた暮らしの思いが感じられます。おうちも家族もとても大切にされてきた様子が、今のこの住まいをあたたかいものにしているようです。
住まいの見学
そして邸内の見学、こだわりが随所に!素敵です。
過去の改修工事で改変されたところはできるだけ元の姿に復元しつつ、イマの暮らしを大切に考えられた改修計画は所有者さんと設計者の信頼関係がみてとれます。
歴史的な建物だからといってハードのみを保全するのではなく、住まいとして生きる、暮らしに優しい建物のよい改修事例を見せていただけました。
もちろん、こだわりポイントでは建具の線の細さ、かわいい金物、どれもかわいいのです。
暮らしながら活用する道
引き継いだ建物を、また次世代へただ保全するだけでなく、快適に住まいながら活用していく道を模索されています。
見学会も小規模で、無理のない範囲でポツポツ考えておられる様子。
所有者さん、中田貴子さん、哲さん、貴重な機会を設けていただきありがとうございました。
ご参加のみなさまからもたいへん好評でうれしく思います。
みなさまありがとうございました。
これからもこのような機会を作っていこうと思いを新たにできる会となりました。
主催・認定NPO法人古材文化の会(企画部会)
この催事は(一社)京都府建築士会・まちづくり地域貢献活動の補助を受けています。