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天邪鬼の心模様

梅雨が来た。

昔から私は湿気にものすごく敏感。
皮膚がベタつく感覚と心のモヤモヤ。
雨にぬれて髪の毛もうねるし膨らむ。

朝の努力が呆気なく崩される瞬間。

だから梅雨って嫌い。



梅雨のこの期間は
見てわかるようにテンションが下がる。
つらい、梅雨なんて早く終われ!


な、はずだったのに、
最近は湿気と梅雨を味方につけたみたいだ。




雨の不思議

雨の音が好き。
傘に雨が当たって、傘を弾ける音。
これがたまらなく好き。

人の話し声、車の音、
あらゆる音を傘の内側に密閉する。

昼間の街の音は
少し私には大きくて騒がしくて、
頑張っても好きになれない。

だから、移動するのには
いつもイヤホンをつけてしまうのが
日常の動作。




けれど
街の音を久しく聞いてないことに気づいて
雨の日にイヤホンを外してみた。

いつもと違うことをやってみるって
新しい発見がある。


雨の音とたまに聞こえる街の音は
贅沢で不思議で面白い。
風向きが変わると音が変わる。
雨が当たる場所が変われば高さが変わる。

前みたいに、
靴下までびちょびちょになっても、
まーいっかの魔法の一言を手に入れてるから
気にせずに雨の日のお散歩が終わる。


街の音は、
イヤホンの外で
いつも弾けていたらしい。



プチエピソード

ある雨が上がった日。
一人のカッパを着た女の子とその子のお父さんに帰り道に出会った。

車1台が通れるのが限界くらいの道幅。
その道の右端に私。
左端に女の子とお父さんが縦になって歩いている。

この日の午前中はひどい雷雨だった。
雷はゴロゴロしてたし、風も強かった。

おかげで学校までいくのにも
靴まで雨びっちょりになって
「早く帰りたい」
の気持ちでいっぱいだった。



女の子が急に口を開く。

ぱぱ!水たまり踏んだらめ!!

私が言われたようで、どきっとして
目の前にあったほんの小さな水たまりを
大股で避けた。


そして女の子が続ける。

ママがお靴溺れちゃうからだめって言ってた。

という。


ふと、自分の靴をみる。
高校生の終わりに節目として買った靴。

最初は汚れないように大事に大事にしていたのに、気づいたらかかとまで踏み倒しているし
濡れても汚れてもほっといてしまう。

私の靴はもう溺れている。



そして、お父さんがいう。

ごめんね、気をつけるね。

あったかい言葉のお返しに、
暑さも相待って溶けそうになった。


言葉を否定しないで、
”そうだね”で人にお返しする。
簡単そうで簡単じゃない

言葉をありのままに飲み込んであげられるってやっぱり素敵。
私もどんな言葉も愛を持って返せたらなぁ。


イヤホンを外してたから入ってきた言葉。
今日はいい日。




家に帰ってからは、
ちゃんと靴にごめんなさいをした。

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