【オープンデータでデータ分析】農林業センサスデータから見る石川県の農業・農家の特徴
おつかれさまです。
石川県のシビックテック団体Code For NotoのBee.B.です。
民間企業で働きながら、石川県のデータアナリストをしている者です。
今回は、オープンデータを活用して、石川県の農業・農家の特長を分析していこうと思います。
令和6年能登半島地震が発生し、自主避難所で避難をしている人の中では、
自分たちの育てているお米や野菜を避難所に持ってきて、みんなで分け合っている映像がメディアでも流れておりました。
また、ものを貰ったら、ものを贈り返すという物々交換の文化がいまだに根付き、「珠洲市にいたら、現金なんか使わなくても豊かに暮らせる」という噂を耳にするほど、贈与経済も機能しています。
そこで、農林業センサスのデータをマップ上に可視化することで、そこから見えてくる石川県の特長を見つけていこうと思います。
扱うデータ
今回は、国土交通省の公表している国土数値情報 農業センサス2020 メッシュデータ(1kmメッシュ)を使用して、マップに落とし込んでいきます。
マップにはいつも通りLooker Studioを用いていきます。
Looker Studioでメッシュマップを作成する手順はこちらです。
全メッシュコード分のポリゴン形式のデータを作成するのは、まあまあ骨の折れる作業ですので、以下のデータをダウンロードすると、すぐに作業に取り掛かることが出来ます。
マップ
農林業センサスには、いくつかのデータセットが用意されていますが、今回は、農家数及び、農産物販売金額1位の部門別経営体数の2つのデータを使っています。
分析
花き・花木
まずは、マップの使い方も兼ねて、花き・花木のマップを見ながら、能登の美しいキリシマツツジを紹介していきます。
みなさんは、能登の花と言えば、何を思い浮かべますか?
私は石川県に移住するまでは、能登の花と言われても何も思い浮かびませんでした。
しかし、移住後すぐにキリシマツツジに出会いました。
5月連休中、奥能登に行く道中、なにやら道の両端や、民家に「燃えるように赤い花」が咲いていたのです。それがキリシマツツジ。
マップを見てみましょう。
穴水町の西側に赤いメッシュがぽつんとありますね。こちらは越渡の我山ツツジ。
少し文章を引用します。
私自信、キリシマツツジは知っていましたが、どこに生産農家さんがいるかは知りませんでした。
このようにマップを見てみると、今までモノは知っているけど、どこにあるかは知らない。というものは意外とあるものです。
次は、能登半島地震で心配されていた石川県のブランド牛の「能登牛」について。
食用牛
このようにマップで見てみると、食用牛、能登牛がどこにいるか。が俯瞰してみることが出来、
そこで被災された方は、牛さんがいるから、2次避難が出来ず、自主避難状態になっている可能性が高いです。
また、断水が続けば牛舎の維持も難しくなってくるため、支援物資も変わってきます。
このように、まずは業種別の農家さんがどこにいるかを確かめたうえで、詳細な経営主体を特定していけば、きめ細かな支援に繋がっていきます。
稲作
能登の稲作と言えば千枚田の棚田をイメージする方も多いのではないでしょうか。
奥能登地域は多くは山間部であり、広大な平野がないため、先人たちは山を切り開いて棚田を作りました。
また、標高差が大きく、山から海に水が流れてしまうため、水を貯めておく「ため池」も多く見れるのが奥能登地域の特徴です。その影響で、ため池の中に多様な生態系が住み着いています。
次は、農家数を見てみましょう。
総農家数
奥能登地域は特に沿岸部に農家さんが多いことが分かります。沿岸部のわずかな平地に田畑を作り、農作をしている様子が分かります。
では、販売農家はどのくらいいるのでしょう。
うち販売農家数
農家数の画像と比較してみると、奥能登に行くほど、赤みが薄くなっていきましたね。
逆に、作ったものを売らずに自分たちで消費する「自給的農家」を見ていきましょう。
うち自給的農家数
能登半島の先端の珠洲市では、赤いメッシュが多いことが分かりますね。
自分たちで作ったものを自分たちで消費する農家さんが多いのです。
これが地域の贈与経済の根源でもあり、災害時に自分たちで自給自足で野菜を食べられた肝になったわけですね。
また、珠洲市の岩礁では隆起した関係でサザエが取り放題になったようで、自分たちの農作物とサザエを取って、新鮮な食べ物を被災地でも食べられたのは、「能登人は強い」と呼ばれる所以ですね。
このようにマップで俯瞰してみると、地域の特徴が見えてきます。
みなさんの地域でも同じように分析してみてくださいね。
うちの地域でもマップを作ってほしい。ということであれば、ぜひCode For Notoにご依頼いただければと思います。
おつかれさまでした。
それではまた!
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