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米ドルの高金利通貨化がもたらす、プラザ合意再来への過程

かつて、米国がインフレ圧力を抑えるため強力な金融引き締めによる高金利政策を指向した時代がありました。オイルショックを背景に1980年をピークにコモディティ価格が急騰。当時のFRB議長であるボルカー氏は、積極的な引締めに動き、FFレートは20%にまで接近。この結果、米ドルが上昇し、貿易収支赤字の拡大と財政収支赤字を伴う、不安定な経済環境がもたらされました。

そして、米ドルの穏やかな調整下落を意図し、1985年9月のプラザ合意により、当時のG5西側中央銀行間の取決め=穏やかなドルの減価(ドル安)への国際協調が実行されたのです。その後、ドル円レートはファンダメンタルズとしての貿易収支黒字を背景に、円高ドル安トレンドを辿って行きます。

さて、2022年9月の今、米国の経済活動は強い成長軌道にあり、CPI(消費者物価指数)は、強い伸びを示し、金融当局としてのFRBは、さらなる引締めスタンスを指向して行くとの考え方が大勢的です。強い米国経済、米国企業への投資行動や、高金利の米ドル、米国債への投資選好が強まるなら、米ドルの一段の上昇は、まさに米国のファンダメンタルズに沿った動きとも言えるでしょう。

米国は債券市場、為替市場には原則不介入の方針を維持しています。この辺りが日本とは最も異なる立ち位置にあるわけですが、その米国が、強力なドル高を経て、202X年のプラザ合意を指向する局面が、再び訪れるかも知れません。為替レートの先行き見通しを自国都合だけで観るのではなく、より米国都合で捉えるなら、円安回避を急ぐ国内世論の限界と財務省の施策限界を、再認識する必要があるのではないでしょうか。

この先、1ドル=150円でも何ら不思議はないファンダメンタルズなのです。

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