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代表の仕事は存在目的を語ることにある

はじめに

今春より我がチームは新体制に代わった。新代表陣は春のリーグ戦への参画のとりまとめをはじめ、これまで担当したことがない業務に携わったことで新しく学んだこともあろうかと思う。
私自身も昨年度までチームの代表陣を務め、今春からメンバーという立場でチームに参画することで、新たに見えてきたことも多くあった。
それを踏まえて、代表の仕事とは何か?と振り返ったことをここに述べようと思う。

存在目的とは何か

「存在目的」とは、「このチームは何のために存在するのか?」「我々は数ある野球チームの中から、なぜこのチームに参画しているのか?」「このチームとして成し得たいことは何なのか?」という問いに答えるものだと考えている。
具体例としては「勝利を追求する」「経験も実力も関係なく、全員が成長でき活躍できる」などになるだろうか。
チーム全員が心から納得することは難しいかもしれないが、チーム全員がその存在目的に何等か合致したモチベーションを持ってそのチームに参画していることが必要だと考えている。(一切合致しないもしくはある個にとって最も大事な価値観がチームの存在目的とずれてしまうのであれば、チームを去ることになるだろう)

存在目的がない・それを代表が語らないとどうなるか

これまでの人生経験において、存在目的がない・それを代表が語らない組織と、それがある・それを代表が語る組織に在籍した経験を踏まえて考えてみる。
存在目的がない・それを代表が語らない組織について
組織とは何らかの活動を行っている集団という前提で考える。組織の活動の方向性や内容、その前提となる組織としての目標やコンセプトというのは、すべて存在目的がベースになると考えている。
つまり存在目的がないと、目標やコンセプトは立てられないし、それに基づいて考えられるはずの活動の方向性や内容も考えられないことになる。
一方で、存在目的が明確にはなくとも、活動はなされる場合はあるが、それはこれまでの慣習的に取り組んできたものにならっているものであったり、代表の中では存在目的があるがそれが組織に語られていない(理解していない・浸透していないも含む)ケースであると考えられる。
ただメンバー側からすると、なぜその活動をしているのか、なぜその方向性で運営しているのか理由が見えてこない。野球の試合で言えば、日々の練習内容、試合の戦略とオーダーなどが該当する。我々からするととても不確実な事象に感じてしまい、不確実性を嫌う脳の性質によって、フラストレーションを感じることとなる。結果的に衝突が生じたりモチベーションが低下する。
存在目的がある・それを代表が語る組織について
常日頃もしくは折にふれて代表が存在目的を設定・見直したり、メンバーと議論したり、それを発信する組織では、その組織が目指していることが明確になる。それによって活動の内容や方向性が定められ、目標やコンセプトが決まることは、脳にとっても確実性を感じることができると考えている。もちろんそれによって全員が全く同意見になることはありえない。全体としては合意だが詳細なところでは違う意見もあるかもしれないし、まったく賛同できない場合は組織を去ることもある。だが、組織としてはそれが健全だと考えている。コンフリクトが生じることはあれど、上記にあげたようなフラストレーションの積み重ねやモチベーションの慢性的な低下は避けられるためである。

存在目的を語れないのはなぜか

そもそも存在目的がない、と言い切れる場合は、まずどのような仕事よりも先にチームとしての存在目的を考えるべきである。
一方で、存在目的を語れない場合もあると考えている。大きな要因の1つに、ポジションをとることへの恐れがあると考えている。
存在目的を語るということは、何らかの自身のオピニオンをもってポジションをとることになる。そのポジションに対しては、賛同者もいるだろうが、反対者もいる可能性は高い。反対の意見に直面することに対して脅威を感じてしまうのである。自分の立場が代表だったとして、メンバーの方から反対意見を言われると、メンバーに対して自分の方が正しいことを言わねばならないとか、メンバーに対して代表としての姿勢を見せねばならないだとか、チームとしての活動や方向性をより良くしようという方向とは別の感情が働いてしまうこともあるかもしれない。
もしくは、自身に自信がない場合、他者に対して自身の考えを発信することのハードルが高い可能性もある。自分よりも年齢や実力や経験が上の方々に対して発信するとなると、なおさらそうかもしれない。
こういった脅威をどう克服するか。方法はいくつかあるが、一番適切だと思うのは自身の代表という定義の捉え方を変えることだと考えている。以下に述べる。
代表という仕事は1つの役割に過ぎない。メンバーよりも正しい意見を持っている必要もないし、メンバーに対して勝つ必要もない。年齢・経験・実力もメンバーより上回っている必要もない。全員の中からチームをより良くする意見を取り入れてチームを良くすることが自身の役割である。

終わりに

これらは代表を退いてみて改めて振り返ることで見えてきたことであり、自身の代表としての仕事としてうまいことできていたことではない。なのでこの記事は現代表陣の抜け漏れを指摘したいという意図ではない。
また、現代表陣の今春の運営体制は移行直後で混乱もあっただどうし、運営で手一杯であったことも理解できる。そして運営という面に関して言えば、滞りなく回せたことは1つの大きな成果なのだろうなとも思っており、心から感謝を伝えたいと思っている。
ただ1つ明確に言えることは、代表業務として最も大切なのは、活動運営を滞りなく回すことではなく、存在目的を考えて発信することである。チームとしての目標は「勝つ」にせよ「出場機会を確保する」にせよ、そもそもこのチームはなぜ存在するのかを考えてみてもらいたい。そこには代表自身の大事にしている価値観を盛り込んでもらって大いに構わない。複数年チームに参画している以上、このチームとして何を大事にしたいか、という想いはきっとあるはずである。そういった想いを言葉にしてみて、ぜひ発信をしてもらいたい。様々な人生経験を積んでいる先輩方から、きっと素晴らしい意見をもらえるはずである。その意見を”活用して”、このチームの存在目的をブラッシュアップさせてもらいたい。

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