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ブッダの教え1-23 八正道



私たちはみんなそれぞれ、「自分はこうなりたい!」とか「これをやり遂げたい!」という願いや希望を抱いて生きていますよね。人生、いろんな光を目指して毎日を頑張っているわけです。例えば、「年収1000万!」とか「スリムなボディ!」とか。
でもここでお話したいのは、その願いや希望がどこから来ているのかという点です。皆さんの願いは一体、どんな感情や動機から発せられているんでしょうか?もしもそれが「煩悩」—つまり欲望、怒り、無知から来ているとしたら?なんだか嫌な予感がしてきましたよね。

煩悩のカラクリ

仏教では、この「煩悩」ってやつがものすごく厄介な存在として登場します。欲望、怒り、そして無知。これらは一見、私たちを突き動かすパワフルなエネルギーのように見えます。「欲望のままに生きる!」「怒りで燃え上がる!」ってね。しかしながら、これが人生においてなかなかのトラップなんです。なぜなら、煩悩は「破壊的なエネルギー」を持っているからです。

どういうことかと言いますと、煩悩によって発せられる願いや希望って、私たちを導いてくれる光だと思いきや、実は「炎」になって自分を焼き尽くすことがあるんです。例えば、欲望にまかせて「もっとお金が欲しい!」「もっと名声を手に入れたい!」と突き進んでも、どこかで「こんなはずじゃなかった…」と自分を追い詰める結果になることも多いですよね。

仏教ではこれを「苦しみの原因」と呼びます。つまり、願いや希望が炎となって、逆に自分を苦しめるんです。「え、どうしてそんなことに?」って?実は、願いが実現しても、それだけでは私たちは満足しないんですね。「もっと、もっと!」と終わりなき欲望のループにハマってしまうわけです。

ブッダが説く「正しい生き方」

ここで、我らがブッダが登場します。「みなさん、そんな欲望の炎に焼かれて苦しむのはやめましょう」と言い残して、スッと去る…というわけではなく、ちゃんと解決策を教えてくれました。それが「中道・八正道」です。はい、出ました「中道」。

この中道というのは、一言で言えば「極端を避けましょう」ということです。「快楽主義も禁欲主義もどっちもダメよ」とブッダは言っています。ちょうど真ん中のバランスの取れた道を行くことで、真の幸福にたどり着けるんですね。ここでのポイントは、「欲望そのものが悪いわけではない」ということ。欲望を完全に否定するわけじゃなくて、そこに引っ張られないことが大切なんです。やっぱりバランスですよ、バランス。

八正道という人生のナビ

そして、ブッダは具体的にどうやってこの中道を歩むかについても教えてくれました。それが「八正道」です。これは、私たちが日々の生活で実践すべき8つの正しい行いのガイドラインです。具体的には:

  • 正見(正しい見解)

  • 正思(正しい思考)

  • 正語(正しい言葉)

  • 正業(正しい行為)

  • 正命(正しい生活)

  • 正精進(正しい努力)

  • 正念(正しい気づき)

  • 正定(正しい瞑想)

さて、これらを聞くと「なんだか難しそう」と思うかもしれませんが、案外そうでもないんです。例えば、正語(正しい言葉)は「嘘をつかない」「他人を傷つけない言葉を使う」といったシンプルなことです。

正見(正しい見解)は「世の中の仕組みをちゃんと理解すること」です。つまり、物事を偏った目で見ない、ありのままに受け入れるということですね。「これは良い、これは悪い」と自分の感情に振り回されないことが大切です。

気づきと智慧という強力なコンボ

さて、ここで重要になってくるのが「気づき(正念)」と「智慧」です。「気づき」というのは、自分の内外の状態にしっかりと注意を向けることです。今、この瞬間に集中して、心や体の状態に気づく。例えば、深呼吸をして自分の呼吸に意識を向けることで、心が落ち着いてくることがありますよね。これが「気づき」です。

そして、この気づきが深まると「智慧」が生まれます。智慧というのは、単なる知識とは違います。知識は「本で読んで覚えるもの」、智慧は「体験して理解するもの」。言うなれば、知識はランチで見たメニュー表、智慧は実際に食べたランチの味です。

ブッダはこの「気づき」から生まれる「智慧」を大事にしました。この智慧こそが、私たちを暗闇から導いてくれる本当の光なのです。

煩悩からの解放

ですので、私たちが目指すべきは、煩悩に振り回されることなく、気づきと智慧を高めていくことです。もちろん、一朝一夕でできることではありません。でも、小さな一歩から始めることができます。例えば、毎朝5分間だけでも「今この瞬間」に集中する時間を取ってみてください。それが、煩悩から少しずつ距離を取る第一歩となるのです。

ブッダの教えは、何も難しい修行や壮大な悟りを求めているわけではなく、日常生活の中で自分の心に気づき、バランスを取ることから始まります。私たちの願いや希望が、煩悩からではなく、智慧から生まれるようになると、その願いは本当に私たちを導く「光」となるのです。

最後に

というわけで、皆さんも今日から「煩悩」との付き合い方を見直してみましょう。願いや希望が「光」となるか「炎」となるかは、私たち次第です。ブッダが示した中道と八正道を心に留めつつ、バランスの取れた道を歩んでいきましょう!

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関連小説「煩悩迷宮」

プロローグ

高層ビルが林立する大都会。ビルの影に隠れて、誰も気づかないような古びた小さな寺がひっそりと存在していた。この寺には、町で「カイダン和尚」と呼ばれる一風変わった住職がいた。彼は何かと町の噂の的であり、「悩み相談に行くと人生が劇的に変わる」と、ひそかに信じられていた。

ある日、ひとりの若者がその寺の門を叩いた。彼の名は三浦隆一。夢を追いかけて都会に出てきたが、数々の失敗に打ちのめされ、ついには何が正しいのかさえわからなくなっていた。

「和尚さん、どうすれば僕は成功できるのでしょうか?」

隆一の問いに、カイダン和尚は静かに笑みを浮かべた。

「その答えは、君の中にある。ただし、煩悩の迷宮に囚われている限り、答えは見つからないだろう。」

その言葉を聞いた瞬間、隆一は何かに引き込まれるような感覚を覚えた。

第一章 「欲望の炎」

隆一の願いは一つだった。成功してお金を稼ぎ、憧れの都会で名を上げること。それが彼の生きる理由であり、唯一の目標だった。だが、現実は彼の期待を裏切り続けた。仕事はうまくいかず、上司との関係も最悪。家賃も払えず、ついには親に頼ることになった。

「なぜ、俺はこんなに頑張ってるのに、何も報われないんだ?」

隆一は自問自答し続けていた。そんな中で、偶然に見つけた小さな寺。その寺に足を踏み入れた瞬間、彼の人生が不思議な方向に動き始めた。

「お金が欲しいのか?成功したいのか?」

カイダン和尚の質問に、隆一は強くうなずいた。

「そうです。成功こそが僕の光です。僕は成功して、もっと自由になりたいんです。」

和尚は微笑んで頷いた。しかし、その笑みの裏に何か秘められた意図があるように思えた。

「では、その欲望の炎が君をどこへ導くか、見てみるといい。」

第二章 「煩悩の迷宮」

その夜、隆一は不思議な夢を見た。気づけば、彼は広大な迷宮の中に立っていた。四方に広がる道。どこに進めばいいのかわからない。だが、迷宮の奥から聞こえてくる囁き声に導かれ、彼は歩き始めた。

「もっと、もっと…欲しいものが手に入るぞ…」

その声は隆一の心の奥底に響いた。進むごとに彼の目の前に現れるのは、欲望の象徴とも言えるものたちだった。金、名声、そして美しい女性たち。どれもが手に入りそうで、手の届かない場所にあった。

「おい、俺にもっとチャンスをくれよ!なんでこうなんだ!」

隆一は叫び続けたが、何も得ることはできなかった。次第に迷宮の道は歪んでいき、彼の視界もぼやけていく。

「これが煩悩の迷宮か…」

彼はふと、カイダン和尚の言葉を思い出した。

第三章 「中道への道」

目が覚めた隆一は、朝日が差し込む寺の一室で横たわっていた。昨日の夢は一体なんだったのか。彼の心は混乱していたが、何かが変わり始めているのを感じていた。

その後も寺に通い続けた隆一は、和尚の話を少しずつ理解し始める。「成功」や「欲望」だけを追い求めることが、自分にとっての炎であることを。そして、その炎が自分を燃やし尽くしてしまうことに気づき始めていた。

「煩悩の炎は、自分を苦しめるものだ。だが、それを完全に消す必要はない。大切なのは、その炎に振り回されずに、バランスを取ることだ。」

和尚の言葉は、今までの隆一の考えを根底から覆すものだった。欲望を否定するのではなく、ただバランスを取る。極端を避け、真ん中の道を歩む。

「中道か…」

彼はその言葉を繰り返しながら、徐々に自分の中に平安が生まれていくのを感じた。

第四章 「八正道の謎」

和尚は隆一に、さらに八つの道を指し示した。それは「八正道」と呼ばれる道であった。

「正見、正思、正語、正業、正命、正精進、正念、そして正定。これらを日々の生活に取り入れれば、君は煩悩の迷宮から抜け出せるだろう。」

だが、その教えを一つずつ実践することは容易ではなかった。隆一は現実世界に戻ると、再び煩悩の迷宮に迷い込むかのように、欲望や怒りに振り回される日々が続いた。上司とのいざこざや、友人とのトラブルが次々と襲いかかる。

しかし、彼はもう以前の自分とは違っていた。八正道を意識することで、少しずつ自分の心の状態に気づくようになり、冷静に対処する力がついていった。

第五章 「気づきと智慧」

隆一は次第に「気づき」の重要性に気づき始めた。日々の出来事や、自分の感情の動きに注意を向けることで、感情に振り回されることが少なくなっていった。ある日、彼は深い瞑想の中で、和尚の言葉の意味を悟った。

「智慧とは、ただ知識を得ることではなく、経験から得られる深い洞察だ。気づきが智慧を育て、智慧が私たちを煩悩から解放してくれる。」

その瞬間、隆一は煩悩に囚われた自分自身を客観的に見ることができた。煩悩はもはや炎ではなく、ただの影に過ぎなかった。

終章 「解放」

ある朝、隆一はカイダン和尚に別れを告げた。

「ありがとうございます。僕は今、自分の道を見つけました。」

和尚は笑みを浮かべ、軽くうなずいた。

「君の道はこれからも続く。だが、焦らずに歩んでいけばいい。」

隆一はその言葉を胸に、再び都会の喧騒へと戻っていった。もう、彼は迷うことはなかった。煩悩の炎は消え、彼の心には静かで穏やかな光が差し込んでいた。


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