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BUN-1グランプリ2024作戦会議その2

『むらさきのスカートの女』今村夏子 朝日新聞出版


第2回は、『むらさきのスカートの女』の魅力について書店員さん、朝日新聞出版の方々と語り合いました。物語にグイグイひきこまれながらも、なんとも不思議な読後感が残るこの小説。皆さんはどう読まれているのでしょうか。

朝日新聞出版 味岡さん
この作品はオードリーの若林さんがテレビやSNSでこの作品をとても面白いと言っていただいたことから、幅広く読んでいただくようになってきました。TikTokでも大変話題になりました。
この作品の魅力は、読んだ人それぞれで解釈が違うので、ひと言では言い表せないのですが、「何も起こらないのがむしろ怖い」といった魅了があるのかな、と個人的には思っています。
読者はやはり女性が多いですね。

朝日新聞出版 前田さん
そう、いろいろな解釈ができる本だと思います。
読み進めていくうちに視点が急変するのですよね。
あるタイミングで、「あれ?」という違和感が出てきます。
もしかしたらホラーに近い感覚なのかも。淡々と読み進むうちに、「あれ、めちゃめちゃ怖い」
また、いろいろなフックがあるので、本を読み慣れていない人でも読みやすいと思います。

大田丸書店員さん
私のお店は広島なので、最初は地元の方という興味で手に取りました。
皆さんと同じで、読み進むうちに「え?」となりました。
そしてこんなお話を、淡々と感情を抑えた筆致で書いているように思わせる今村夏子さん自身にもとても興味を持ちました。
実際にお会いしてみたら、とても普通の方。この方ががこれを書いたのか、と改めて驚きました。誰が読んでも何かしらの違和感を感じさせ、また読み返したくなる本だと思います。ぜひ男性にも読んでほしいです。女性の真に怖いところを知って欲しい。海外でも高い評価を受けているのも納得です。

内田剛さん
今村作品はどれもハッとさせられ、ザワザワする違和感が魅力。
『むらさき色のスカートの女』は、読みながら読んでいる自分までもがストーカー行為をしているような気にさせられました。
例えて言うと、ボールを投げたら、それが自分の後頭部にあたったような衝撃でしょうか。

芥川賞選考時も解釈が分かれたと聞いています。それくらい斬新なところがある作品なのでしょう。小川洋子さんが「読書会に最適」とおっしゃっていましたが、読み手によってさまざまな解釈や気になるポイントがある作品なので、その通りだと思います。
今村さんといえば傑作『星の子』も含め朝日新聞出版社さんから出ていますね。こちらも絶対読んでほしい。


今年のBUN-1グランプリノミネート作は奇しくも今村夏子さん、今村翔吾さん、今村昌弘さんといまの小説界を轟かせる「3大今村」が揃い踏みしましたね。  
「今村」を読んでいれば間違いない。

BUN−1事務局
”迷ったら「今村」を読め!” ですね。
みなさま、本日はありがとうございました。


若林さんコメント



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