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不動産投資は人生を破滅させる。それでも推す理由。

収益不動産を扱う会社で働いてみて思うこと

 2022年5月1日付で今の会社に転職し、ちょうど一年が経過しました。業務内容はこれまで何度か記載してきた通り「収益不動産の売買・賃貸管理」でありまして、いわゆる収益不動産を活用して個人の資産形成をサポートすることを生業としています。一年経って、率直に思うところを書いてみます。不動産投資、やってる人も興味ある人も多いですしね。

世の中にうまい話は落ちていない

 入社後しばらくの期間は収益不動産(アパート/マンション等)の仕入れの仕事に従事していました。市場に出回る情報や水面下情報など、あらゆる売り情報から適正に販売できそうな水準の物件を仕入れるわけですが、そこで感じたのは当たり前ですが「市場原理は絶妙」ということです。

 この手の投資商品は「期待利回り」を共通言語として語られますが、これはシンプルに物件難易度(リスクの高さ)の指標であるわけですね。

 リスクが小さく手堅い投資の利回りは低く(例えば都心区分所有物件などは4%前後程度)、逆に何らかの課題を抱えているなどリスクのある物件の利回りは高く(東京圏の一棟アパート/マンションで現状6%後半~7%中盤を超えるものは“高い”と思料します)、リスクを最小化してリターンを抑えるか、リスクを取って大きなリターンを目指すか、当然ですが市場原理としてその水準は絶妙な塩梅なわけですよ。
この利回りの物件なら手が届きそうだな、と思って深堀すると見事に課題を掘り当ててしまう、という具合に本当によくできているなと。

 仕入れ担当時には日々膨大な数の物件を査定したり現場確認するのですが、“利回り8%超”などの物件は何か怪しい、9%超えの物件などはまず間違いなく難アリ(⇒例えば遵法性NGか施工会社が〇〇か絶対埋まるはずの無い空室を抱えているか)、という見方になります。
で、買いたい物件はやっぱり絶妙に利回り7%前後程度で競合多し、、、ということで熾烈な価格競争にさらされるわけですね。

 やっぱり数字(利回り)にはそれなりに根拠があるわけで、よく「利回り20%実現!」や「単年度で数千万円の売却益実現!」などの不動産広告を見ますが、世の中にそんなうまい話は落ちていません。そんな話があれば業者自身がやってます。ご存知の通りミスチル桜井さんも「ドラマみたいに上手い話はめったにないけれど」て言ってましたよね(出典:「my life」)。

 不動産は原則、世の中数多ある投資商品の中の位置付けにおいてミドルリスク・ミドルリターンの代物であり、時間がかかるものです。にもかかわらず短期的な利益実現やあまりの高利回りを謳う悪徳業者が何と多いことか、そしてそれに引っかかってしまった投資家のさらに多いことを、この一年で目の当たりにしてきました。次はその実例です。


不動産投資で人生が破滅した人

 仕入れの仕事をしばらく担当したのち、私は現在「賃貸管理業務」に就いています。アパート管理をオーナー様からお預かりして物件価値を最大化すべく賃貸管理事業を行うものですが、桜井さんの言葉を借りると“ドラマみたいに”ヤバい話にいくつも出くわします。
タイトルは少々過激に書きすぎまして人生が破滅した人がいたかは分かりませんが、間違いなく破産まっしぐらという方が弊社のオーナー様だけでも結構いらっしゃいます。

 私の担当オーナー様でも、ある物件を数年前に購入されたものの、
 ・全30戸のうち約半分が空室、家賃収入よりローン返済が多く毎月結構な赤字
 ・屋上+外壁から漏水発生するも、修繕費用が捻出できず手つかず。
 ・残債2億円超に対して買取査定は1.5億円程度で売却もできず
という、結構絶望的な状態の方がいらっしゃいます。

 毎月赤字でどんどん貯金を切り崩してローンを返済していますが、漏水の修繕もできず今後更に退去者が増えて家賃収入が減り赤字が膨らむ、かと言って売却もできず、というもはや詰んだ状態なわけです。

 こうなると残された道は「自己破産」「追加投資で立て直す」の2択しかありません。現状維持ではジリ貧で貯金が尽きるまでの問題の先送りでしか無く、オーナー様には厳しい選択を迫ることになります。
またこの手の多くのケースでは金融機関からの追加融資は原則認められず(デフォルトしそうなオーナー様/物件に追加でお金を貸すわけ無いですね)、そうなると自己破産するしかない、となります。

 幸い、本件については別の金融機関で何とか修繕費用の工面ができそうとなったのですが、私としてもそれを薦めるのは猛烈に勇気が要るわけです。更なる借金を背負わせるからには、是が非でも空室を埋めに行かなければなりません。金融機関とも綿密に打合せを行い、こちら側も相当の覚悟でオーナー様と物件に向き合う契りを交わす。。。

 当然、このような事態になったのはオーナー様の自己責任に他ならないわけですが、目の前のこの人を死なせるわけにはいかないと、もはや単なる賃貸管理業を超えて人助けの領域までが私の業務範囲です・・・。そしてこのようなオーナー様を複数担当している人生コンサル那須でございます。


それでも不動産投資を推す

 このように書くと「不動産投資は危険であり悪」と捉えられてしまうかもですが、決してそういうことが言いたいわけではありません。

 先ほどのオーナー様に関しては、当初は不動産業者がサブリースに入って家賃保証をしてくれるという話だったので安心して買ったものの、数年経ってその業者がいなくなり、その頃には空室だらけ、適切な修繕もされておらず建物はボロボロ、駅から徒歩30分の30世帯ファミリー物件にもかかわらず駐車場が8台しかない、目の前にラブホテル、、、という、もうやってはいけない不動産投資を凝縮したような事例でした。また、その物件を一度も自分の目で見ずに買ってしまった、というのが事の始まりだったようです。

 何が言いたいかと言うと、やはり楽して儲かるようなうまい話は落ちていないということです!勉強して、自分で考えて・見て、トライ&エラーを繰り返して、そうして成功(成長)していくものではないかと。
これは不動産に限らず投資全般に言えますが、特に他の金融商品とは違い不動産は一つとして同じものが存在しない個別具体性が非常に高いものなので、より一層その重要性が高いです。

 但し、私は冒頭にも「世の中にうまい話は無い」では無く「世の中にうまい話は落ちていない」と書きました。落ちてはいないんですが、「無い」わけでは無いんです。相続や資産整理等、あるいは修繕の方法次第で好条件で取引できる事例などもあります。
そういう「掘り出し物」あるいは「スペシャルでは無くても適切な物件」を見つけ出すには、やはり勉強と、悪徳業者に騙されない見識が必要です!

 現に私は当社のオーナー様でしっかり利益実現された方や事前の試算通りの大きな節税(別途記事書きます)を享受され、着々と資産形成を図っている方を数多く見ています。そういう方は人生を主体的に生きていると言いますか、もはや「生活のために仕事をする」という次元を超えて時間とお金を高いレベルでコントロールされています。

正しく取り組めば不動産投資は間違いなく安定収入源として人生の安心を形づくるものだと感じます。なので正しく推したいなと!
今後少しでも有益な情報をご提供できれば幸いです。

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