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在宅就労に向いている人って?というハナシ

こんにちは。就労継続支援ビルドの秋田です。

ビルドは札幌市にある就労継続支援B型事業所です。

これまで就労継続支援事業所では、【通所利用が困難で、在宅による支援がやむを得ない】場合に限り、在宅での利用が認められてきました。すべては市町村の判断で、札幌市の場合は判断基準がとても厳しく、全介助レベルの身体障害をお持ちの方を対象としていることが多いと言われてきました。(以前勤務していた事業所では身体障害のある方でも事業所との距離などの関係で2回ほどNGになりましたが…)

そんな中!リモートワークが推奨され緊急事態宣言が出て…という社会情勢の影響で特例的に在宅支援が認められてきたのが令和1年度後半~令和2年度の出来事でした。

このほど令和3年度からは、この"特例"が外れて【在宅でのサービス利用を希望する者であって、在宅でのサービス利用による支援効果が認められると市町村が判断した利用者】には在宅利用がOKになったのです!

就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について(令和3年3月3 0日)

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※厚労省の関係通知からの抜粋です。


さて

ビルドでも利用者さんの作業にリモートワークを実施するようになって1年以上が経過しました。(残念ながらスタッフは常に出勤しております…エッセンシャルワーカーなので)

北海道独自の緊急事態宣言が出た2020年2月28日以降、一番多いときで登録の半数くらいの方がリモートワークで作業をされていました。現在も感染拡大状況が継続しているので一部の方がリモートワークで作業され、事務所内が密にならないよう配慮をしています。

ビルド独自の基準として、初心者状態(利用開始から間が無い)の方は原則通所していただいています。スキルの習得状況もありますがスタッフとのコミュニケーションを円滑に行うためには対面でのやり取りがどうしても必要だと考えてのことです。一定期間通所され、双方「相手が何を言っているのか」を把握できるくらいの共通理解・認識ができていることを条件としています。そもそも、在宅では業務、通所でスキルアップトレーニングという使い方の方が大半なので一定のカリキュラムを終了している段階が望ましいですね。

また、現状は必ず週1回以上の通所をルールとしております。※国のルールでは月1回の通所または訪問以外はICT機器を活用したモニタリングでOKです。

1年以上リモートワークを併用してきて

向いている人と不向きな人がいるなあ。

というのが率直な感想です。


そもそもビルドの作業内容自体(デザインとイラスト)は、必要な機材があれば在宅で働くことが十分可能な分野です。

でも、端的に言うとできる人とできない人に分かれる。

じゃあ、何が必要なのか?

秋田は

自律とセルフケア

だと考えています。

じ‐りつ【自律】

じ‐りつ【自律】

1 他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること。「自律の精神を養う」⇔他律。
2 カントの道徳哲学で、感性の自然的欲望などに拘束されず、自らの意志によって普遍的道徳法則を立て、これに従うこと。⇔他律。

自律しているとはつまり、自分でこうしよう!と決めたことを守って行動できること。たとえば「今日は朝6:00に起きてジョギングしてからカフェでモーニングを食べよう」とか「ここまでやったら休憩をしよう」とか「夕方に近所を散歩しよう」と、そういったことを自分で考えて決めて、守れるか?という部分のことです。

よく似た言葉に【自立】がありますが

じ‐りつ【自立】

1 他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに、存在すること。「精神的に自立する」
2 支えるものがなく、そのものだけで立っていること。「自立式のパネル」

こちらは、「誰の助けも借りずに一人でできる」

仕事していて、誰かに相談や質問しなくても完結できるとか、料理や買い物で手伝いを要しないとか、そういうやつですね。

障害者支援のお仕事をしていると、しばしば「自立」という単語が出てきますけれども、

利用されている方は「誰の助けも借りないこと」「相談しないこと(自己解決すること)」「自分で抱え込むこと」を自立だと考えていることが多いです。

介護やリハビリ視点だと、身辺自立…独力で着替えができる、杖をついて歩行ができる、トイレを一人でできるetc...考えやすいのですが

生活する、働く、暮らすと考えたときに「誰の助けも借りない」という孤独が本当に自立だろうか?と思います。

秋田個人的には「上手に人に頼れる」ことも含めて自立だと考えているので、あまり自立という言葉は使わないんですけれどね。

話がそれました。



他者の目が無い自宅での作業で自律的に行動できるかどうか?は障害の有無関係なく難しいことなのでは?という気がします。

特に、仕事と生活の区切りが無くなって、時間を過ぎても作業を続けてしまったりとか、身だしなみや生活リズムといったものを維持することは相当な精神力を要することではないだろうか?と思うのです。

多くの在宅ワーカーの方が、

在宅であっても定時を意識し、着替えをして作業場を分けて時にはサテライトオフィスやシェアオフィスを活用しながらお仕事をされていることを考えると当然だなーと思います。

ビルドでも、通勤の負担が少ないことを除くとそんなに楽でも無いリモートワークを積極的に選ぶ方は実は少ないです。一番は頭の切り替えが難しい点、次に人と話す機会や外出のきっかけが減って精神的に不調になることが要因のようです。

一人暮らしだと誰ともしゃべらないし、ただでさえプライベートでやりとりする友人や家族が少ない方が大半です。実家暮らしなら必要な買い物の機会も無いので終日外に出ない方もいらっしゃいます。どちらも不健康です。

自律という観点でいえば、以下の条件が「リモートワークに向いている人」になります。

1.作業スペースと生活スペースを分けられる、または時間を区切って頭の切り替えができること

2.能動的に運動や外出する機会があること

3.オンライン/オフライン問わず交流できる人脈があること。


セルフケア

リモートワークで条件が揃うとメンタル的に不調になりやすい環境であることをおわかりいただけたでしょうか。

だからこそ必要とされるのがセルフケアです。

ここで言うのはメンタルヘルスケアで言うところのセルフケアで、厚生労働省がe-ラーニング教材を公開しています。

15分でわかるセルフケア

一般にメンタル不調の兆候は単純な肉体の疲労や行動、精神面の変化となって表れます。メンタル不調に陥らないために自分で兆候に気付きケアをする必要がある、という意味です。

■メンタル不調の初期症状の一例です。

身体面:
肩こり、頭痛、だるさ、睡眠の問題(寝起きの悪さ、寝つきが悪いなど)、食事の問題(食欲不振、過食など)、発汗、依存傾向(アルコール、カフェイン、喫煙など)
精神面:
無気力感、集中力の欠如、ネガティブな感情(イライラ、不安、怒り)の増加自責的な考えなど
行動面:
遅刻や欠勤の増加、仕事におけるミスの増加、以前よりも人付き合いが悪くなる、攻撃的な言動の増加など
※2週間~1カ月以上、同じような状態が続く場合は要注意とされています

リモートワーク中心になると、通所している場合よりも第三者の目が届きづらいので、自身で違和感に気づく必要性が高まります。

まずは、自分が肉体的に疲れている、メンタル的に落ち込んでいる、イライラしやすい、思考がネガティブになっているetc...不調のサインを自覚できているか?自身のパターンを把握できているか?がセルフケアの第一歩です。

ビルドに通っている方の大半はどこかしら不調だからビルドに通っているので、いつも不調だけどより不調という、わかりづらい兆候を察知する必要があります。ハードル高いですね。

セルフケアの例としては

十分な休息、睡眠

気分転換できるような活動(趣味活動、運動など)

相談

が定番です。

ビルドでも軽い運動(ラジオ体操や散歩、横になってできるストレッチなど)を推奨しています!通所が一番の運動になるので、そういった意味でも最低週に1回の通所は必要だと思っています。

これらを自主的に行える。または不調であることを周囲に伝えられることが難しい場合、リモートワークを続けていると不調になってしまう可能性があります。最低限、支援者や関係者が状況を把握できていることが前提でしょうか。このような事情もあって、新規利用即リモートワーク導入ということは難しいのです。


というわけで

障害の有無関係なく、リモートワークを効率的に進めるためには自律的な行動を取れることとセルフケアができていることが必要という話でした。



最後に

厚労省の「こころの耳」に気になるページがあったのでシェアしておきますね。

#ポジシェア

セルフケア探偵……気になる……。


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就労継続支援ビルドでは随時新規利用を受け付けております。

気になる方はお気軽にご連絡ください。


いただいたサポートは利用者さんの工賃に!素敵なヘッダーイラストを描いてくださった皆さんに還元しますね。