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ボーダレスと区別のハナシ

こんにちは。就労継続支援ビルドの秋田です。
久しぶりにトリセツ!の話をします。
実は、新商品の企画開発を進めているのですが……
企画~制作すべて利用者さんと行っていて、作画担当が他の案件に入っていたり、イラストレーターとしての活動もしているという事情から制作時間を十分に取れておらず、商品化に時間がかかっています。
SNSで話題になる度に「こんなのあったらいいな」「こういったものも作ってほしい」と言っていただけているし、できるだけ反映させてどんどん作っていきたい気持ちはもちろんあります。
実際、SNSで上がった声を参考に企画開発中です。
とはいえ、
もともとの企画として当事者が発信するグッズという部分からブレたくはないのでスタッフが巻き取ることはしません。
どうぞ、気長にお待ちください。


もともとの企画の意図としては、老若男女が使えるものを、と考えていたわけですが…

“自分はこんなことに困っているから自分で使いたい。 コンセプトは当事者が発信するグッズ。 大人が使えるもの。 男性でも使えるもの。”

現時点では、ちょっとかわいらしいデザインになっていることは否めない、ですね。

実はこの点も、別のデザインラインで作りたい!という気持ちやアイデアもあるのですけれど、上記と同様の理由からのんびりペースで考えております。どうぞご容赦を。

一方で、販売イベントでリアル販売してみると、障害当事者以外にもリーチできることもわかりました。

実は昨年11月にサッポロモノヴィレッジにもトリセツ!を持っていきました。
屋号は別名義でしたし、ビルドの商品はビルドのクレジットを入れていません。さらに、このときのトリセツ!の説明には障害というワードを入れませんでした。

トリセツ!の写真と、インターネットを中心に人気ですとだけ書いてある
使用したPOP

実際に売れたのは、もともとトリセツ!をご存じのお客様にのみでしたけれど
イベントに来場した、たくさんの人たちが興味を持って、「なるほどね」「おもしろい(アイデア)」とニコニコしながら手に取って見てくれていました。
このやり方には、賛否あろうかと思います。
トリセツ!はSNSで当事者の方にリーチしていますけれど、障害のない人たちが使ってはいけない・関係ないツールではありません。よりたくさんの人に知ってもらう、お届けするためにイベントでは見せ方を変えてみました。

当事者としては「ジョークグッズとして捉えられないか?」という懸念もありますよね。
ヘルプマークが変な感じに話題になってしまったこともあり、特に不安になりやすい部分でもあるのかと思います。

以前のnoteで

枠を決めているのは自分の側だったかもしれない。
本当は、障害があっても無くても老若男女問わずに使えるグッズとして考えていたのに、いつのまにか線を引いていたことに気づかされました。

キャラクターグッズとしてのトリセツ!のハナシより

と書きました。
妊娠期間中の強い眠気に「いまねむいです」がいいかも?というエピソードでした。

たとえば大きな音が苦手、匂いに敏感など感覚過敏の困りごとは障害当事者のほうが強く大きく生じます。
痛みや辛さは人と比べられません。
自分より辛い人がいても、自分より軽い人がいても、自分が抱えている痛みや辛さは自分のものです。自分より軽い人がいても、自分の痛みが軽くなるわけではないし、そもそも軽い痛みが辛くないわけでもありません。
トリセツ!を必要としているなら、誰が使ってもいいし、
「こんなことに困っている」「こうしてもらえると嬉しい」と伝えるツールなのだから、より多くの人が使うことで困りごとが一般化していくことも狙いです。結果的に、たぶん便利な世の中がやってきます。
具合が悪いときは障害の有無関係なく休めたらいいし、病院も気軽に行けるといいし(障害者雇用の合理的配慮で通院日を有給休暇と別途に扱ってくれる会社あるけど、一般雇用でもあったらいいと思う)、障害の有無関係なく自分の得意不得意に合わせて仕事できる(仕事した分の給料の違いがある)のだったら、いろんな人が働く場が広がると思います。

区別すると分断が生じます。
特別休暇を使える人と使えない人がいたり、仕事をカバーしないといけない人にばかり負担がかかると、どうしたって葛藤が生まれます。
通院でも介護でも子供の学校の用事でもリフレッシュでも使える休みがあったら、ちがってきませんか?
この人に便利なら自分にも便利なのでは?という視点で見ていくと、ユニバーサルデザインとかインクルーシブデザインとか難しいこと考えなくてもよくなると思っています。


最近、リラックス・パフォーマンス公演というものを知りました。

パフォーマンスする側も人の親になり、子育てしたり年老いたり、いろんな人たちと接する中で当事者性を持って企画されたものなのかなあ?と勝手に考えています。

静かに集中したい人は通常公演を見たらいいし、そういった環境に緊張があったり工夫が必要な人はこっちを見たらいい。そういった区別も必要なのだと思います。
トリセツ!がかわいらしいから、別ラインのデザインを作ろうということと同様
必要に応じて、みんな一緒が本当にいいのか?ということも考えながら、ボーダレスな企画開発をしていきたいな~と考えていました。

いただいたサポートは利用者さんの工賃に!素敵なヘッダーイラストを描いてくださった皆さんに還元しますね。