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〇〇キャンペーン実施中

私は学生に向けて、ときどき「○○キャンペーン」を実施します。

セールをするわけではなく、苦手なところを強化していくぞというニュアンスを込めています。キャンペーンをすると告げる場合もあれば、こちらが勝手にそう思ってやっている場合もあります。


今開催中のキャンペーンは「日本人のように読めるようになろうキャンペーン」と「設問には正しく簡潔に解答しようキャンペーン」。


前者は自分の発音の癖を知ることと、文字の羅列にしか見えない文章を文単位で捉える練習をするため。

一方、後者は今の勤務先の学生の特徴なのかわかりませんが、文章を簡潔にまとめるのが苦手なため。また、質問に対して単語のみで答える、または読んだ文章をそのまま抜き出す傾向にあります。

要は「長く言えばどこか答えにハマるだろう」という考えがにじみ出ている。

または言葉が出てこないから発話では単語のみで返す。

これでは進学できるはずがないっ!

ということで、今までは「答えの箇所がわかればオッケー」だったものをより自然な日本語にしていくためなのが後者のキャンペーンの目的。


今日はこの後者について。

学生には

「どんなに頭いい人でも、話が長い人、答え方が質問と合わない人は、面接官が『こいつアホ』とか『用意して来た答えを言っているだけなのか』と思って切り捨てる。短い面接時間で沢山の人を見るのに、それは悪印象。面接官は暇じゃない。」

と話してから以下のことに注意させています。


① 質問の語尾に合わせて答える。

「筆者はどうして〜と言っていますか」

という質問では

「〜からだと言っています」

という形で答える。「どうして」と「から」はセット

「どんな小学生を見ましたか」

なら

「〜な小学生を見ました」

基本です。


②丸写しはしない。いらないところは削る。

よくあるのが、読解の筆記で、下手すりゃ段落ひとつ全てを書き写すだけの解答。

これではただのコピー。

「そのまま抜き出せ」という問題ならいいですが、通常は書きすぎ。文体も変。

なので、いらない言葉や表現は削り、必要なところだけを抜き出して文体を整える必要があります。

そこを練習。

③ 文章を要約してみる。

メインはここ。

これは面接の自己PRを見据えて。

「◯分以内で話してください」となると必要な情報を限られた時間で話す必要があります。

多く話すことが美学、みたいな国もありますが、そうは行かないのが日本。

「必要なことを短い時間で相手に伝わるように話せるのが日本の美学。」と伝え、そのためには普段から情報の取捨選択も練習がいります。

そこで、今は「400字程度の文を見たら、半分の200字でこの話をまとめて」という練習をしています。半分の量で必要なことを書かなければならないので言い換えをしたり、例え話を省かなければなりません。おそらくこれからもっと短くして、となるでしょう。

長い言葉をどう言い換えるか、例えは書くべきかそうじゃないのか。本当に必要な情報は何なのか。

これも練習。小論文の練習にもつながると信じてやっています。

学生の反応

この『美しい日本語で書こうキャンペーン』は最近始めたことですが、何度か繰り返していると学生も「先生、これは書きすぎですか」と不安そうにしているのが面白い。笑

板書してみてもらっても、「〇〇さんのは書きすぎ!試験に落ちます!」やら「この言葉は書かないと意味がわからない!アホの答え!」やら言い出して、お互い刺激になるよう。(それでもアホの答えは言い過ぎだろう。笑)


今年はオープンキャンパスや合同説明会も中止になっているところが多いので、他校さんの学生がどのくらいのレベルなのか肌で感じる機会が少ないのが実情です。


つまり、今いるメンバーだけで受験するような感覚になっている学生が多い。いやいや、受験は他校さんもいてね?しかもみんなの相手は世界中からやってきた留学生。相当な人数と相当なレベルの人も来るかもしれないのよ?そんなのと闘うの。しかも、学校はこのコロナ禍でも生き抜いていくようなたくましい人材が欲しいの。


それを少しでも実感してもらうための厳しめキャンペーン。


下のレベルでは

今あげたのは中級のキャンペーンですが、

下のレベルでは

選択問題以外の記述問題も書けるようになろうキャンペーン(記述になると空白にする学生がいる)

読めない漢字は意味を考えてみようキャンペーン

聴解問題聞いて内容を書き出してみよう、長い音・小さい「つ」はどこだ?キャンペーン

などをやっています。

今後やってみたいのは

中国人は作文を全てひらがなとカタカナで、その他の国の人は書ける箇所は全て漢字で書こうキャンペーン

中国人は長音短音、促音が正しく覚えられているかを確認したいのと「ほぼ母語」で字数稼ぐなといいたいから。

その他は言わずもがなです。


ちなみに、「キャンペーン」と聞くとなんだか楽しそうですが、学生はこのキャンペーンがいつまでなのかわからないのが怖いトコロ。( ̄ー ̄)ニヤリ

私+担任の先生が満足するまで続くのが通例なので、これはしばらく続きます。


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