見出し画像

補講をして気付くものもある。

今日は春季講習の研修でした。若い先生方のなかにおばちゃん1人(私)。ベテランから授業評価を受けることはありますが、瑞々しい方々の率直な感想や、日本人相手ということでの言葉の回し方はいい刺激になった。(小学生相手に「これから皆さんしていただきます問題は〜」など、すごい上級の言葉でも伝わるってすごーい!と思ったアホです。)


あ、言いたいことはこれではなくてですね。本業の方。日本語学校の方。


授業は13日で終わりとなりましたが、16日から19日までは出席日数の足りない子たちだけを集めて補講という形を取ることになりました。(日本語学校の補講は成績もさることながら、出席率の補填という側面が大きいです。特に今回のような本人たちの意に反する休校の場合。)

いろいろなレベルの子を2クラスに分けて行うので、基本的に授業という形ではなく、担任の先生が用意した課題を各々がこなし、監督している私ともう1人の先生が随時採点していくというシステムです。

この採点なんですが、N4(初級後半)からN2(中級)までは答えがなくてもこちらも自力でサクサク解けますが、N1(中級〜上級)はさすがにこちらも考える😅

それはさておき、この補習ですが、学生がそれぞれの足りない日数分だけ来ることになっているので、初日が一番人数が多く、その後徐々に減っていきます。

初日はこちらも採点に追われたり、質問があってもその学生1人にかかりきりになるわけにも行かず基本的に1人で頑張ってもらうしかありません。(もちろん聞かれた質問には答えますし、分からなければ簡単になら教えます)

しかも、その日の補講をもってして卒業という子もいるので、せっかく課題をしたのに結果がわからないと本人も不完全燃焼になるので、その子たちの課題を最優先に採点する必要がありました。

しかし、3日目4日目となると人数はホント数えるほどです。少人数制の語学学校みたい。というか、近所のおばちゃんが近所の子たち集めて勉強教えてるみたいなかんじ。小4の算数を見てるかと思いきや、隣では小6の子が国語をやっているような。

その中で、最後になって色々なことが見えてきた子たちがいました。

そもそも、補習最終日まで来なきゃ行けないほど休むってどんなんやと言えばそれまでですが、理由は様々です。

本気でサボった子、体調不良が長引いて学校に来れなかった子(噂のあいつじゃないです。盲腸とか古いもの食べたとか)、寝坊遅刻が嵩んで欠席回数が増えた子…(笑)

理由はそれぞれですが、人が少なくなるにつれてこちらも目が行き届くし向こうも話しかけやすかったのでしょう。

今まで「この子ちょっと…一筋縄じゃいかないかな」と心配していた子の本音が見えた。

ベトナム人のおおらかさと反りが合わず常に喧嘩腰だったガリ勉中国人2人が、自分たちだけになるとこちらにたくさん話しかけてくること。すごく大人しいと思っていた子が本当は喋りたくてたまらなかったこと(しかし文法がぐちゃぐちゃ過ぎて意図が読めず。笑 残念)

授業中、いつもボヤーっとして、「起きてる?寝てる?」と心配になるような感じ、質問しても「あ、はい」しか言わなかった、テストの点もいつも最下位争いだったベトナム人の男子1人が、最終日の午後、私と2人きりになったときはカタコトですが、「先生、わからない、これ、なんで?」と質問してくるか、こっちがみていると懸命に答えを考えるとか、採点した課題を見せ、一つ一つ一緒に考えると最後まで自分に必要なレベルの問題がきちんと解けたこと。


当たり前と言えば当たり前ですが、大勢に埋れて見えなかった、または浮いていた子にだって個々の能力があって、その子のペースに合わせればできることを再確認。

そう言えば私も塾とか集団授業が苦手で、ずっと個別指導とか家庭教師とかでした。数学は壊滅的だったので、塾さえ無理じゃね?ってことで近所の元数学教師の友達のお母さんにその友達と2人で習っていました。塾に行ったのは受験対策のためだけの中3と高3の2学期以降だけ。


クラス授業で、しかもビザという期限つきで勉強するとなると、どうしても掬いきれない子たちが出てきます。さらに進学を目標としていると尚更です。なるべく落ちこぼれないそように配慮はしていますが、限られた時間とカリキュラム内でそれをこなすのは無茶が出る時もあるし、贔屓と取られることもあるので難しい。

後者のベトナム人はもう卒業しちゃいましたが、前者の2人は来期もいます。来期はもっともっと2人の個性を伸ばしてあげたい。

おそらく出席日数は足りていたので補講参加義務はなかった子や補講が前半で終わった子たちの中にも彼らのような子はたくさんいるはずです。

もっともっと学生を見てあげたらよかった。

非常勤なので、契約外である個別授業はできないけど、もっと個の能力を伸ばせる活動、出来たんじゃないかな。



もともとは私が

「休校になると次の給料が、いつも給料から天引きされてる社会保険とか厚生年金の額にも届かないんですが、そういう場合どうなるんですか?翌月以降にまとめて引き落とされるんですか?」

という素朴な質問をしたことを受けて事務員さんが本社経理課に確認、

そして校長が「話聞いたわ。確かにその通り。じゃあもし出席足りない学生の補習、先生がやったらその額くらいは補える?」

「はい。」

「やる?やれないとは思ってないけど、やれる?」

「やります!」

「じゃあ、そうできるように本社に掛け合うわ。もう1人K先生も同じくうちで社会保険入ってるからどうするか聞いて、先生もすると言えば2人で分担、無理ならknk先生1人で補講してもらうので、いいね?」

で、することになった補講の担当。(のちに、社内規定として社が決定した休校の場合、それを補填するための補講はそもそも非常勤が担当するものと明記されていることが判明。笑)

最初はこのように給料の心配から始まった補講ですが(邪心…)、結果やってよかったです。

今まで関わりのなかったクラスの子たちとも接点が持てたし、前述のように学生の埋れていた個性もみれた。採点しながら、どの子どのレベルの子がどの単元が弱いのかも見えたので、翌日の課題やまた来期のカリキュラムにも取り入れて強化してあげたいと専任の先生に相談もできた。(うちは専任の先生が非常勤の声もきちんと聞いてくださるのでありがたいです。今回も相談したらすぐに翌日以降の課題に組み込んでくださいました)


そして卒業生の最後の1人までちゃんと見送れた。

学生は来なさいと言われたから来ただけかもしれないけど、私には大きな収穫のある1週間になりました。


恵まれない日本語教師に愛の手を…!いただいたサポートは更なる教材研究に使わせていただきます。