【後編】ボーダレス・ファーム代表川北さんにインタビューしてきました!
こんにちは、Buddy's編集部です!早速後編を見ていきましょう。
前回の記事では、どのようにして川北さんがミャンマーで仕事をするようになったのか、そしてハーブ栽培の実際についてなどをまとめました。
インタビュー|チームの重要さ、信頼関係、誇りについて
新藤:やっていて何が一番嬉しかったですか?
川北:農家さんが、「生活が安定してきたとか、学校に行けるようになった、安心して暮らせるようになったよ」って言ってくれるのはもちろん嬉しいです。
でも、個人的にはスタッフが変わっていったことがいちばん嬉しかったです!
最初はスタッフとの感覚が合いませんでした。衛生管理も、何を報連相するにしても・・・。
例えば、工場立ち上げの時、じゃあ今日はここからここまで穴を掘ろうとなって、「じゃあ担当はあなた。任せるね!」って言ってもやってない。
何となくあっちの方から掘りはじめてみました!って言われて、なぜ!?ってなることが結構ありました。
チームでなかったからだと思います。自分もそうだし、現地のスタッフどうしもそうでした。
自分が任された仕事はそれなりにやればいいというスタンスで現地の人が働いていました。1人1人がバラバラでした。
ですが、今はスケジューリングやホウレンソウがスムーズに進むようになってきました。共通認識がみんなの中で出来上がってきたのだと思います。
井上:自然と歯車がかみ合ってきた?
川北:そうですね。
新藤:大変でしたね。ところで、ミャンマーでは何語が話されていますか?
川北:基本的にはビルマ語。農家の方々はパオ語。日本語を話せる現地メンバーもいたのでその人を通じてコミュニケーションをしていました。10年前に日本語研修を受けたきりでしたが、だんだん成長してきました。日常会話から、抽象的なビジネス会話ができるようになりました。それに付き合ってくれたメンバーに感謝しています。いまは、普通に日本語で会話できるようになっています。
新藤:成長が見えるのが嬉しいですね。
川北:信頼関係が出来上がったのがうれしい。お互いに信頼しあえています。
新藤:ストーリーを知って飲むとおいしく感じました。
川北:そこが会社の強みです。おいしさの判断はいくつかあります。数値的な判断なのか、ストーリー的な判断なのかなど。農家さんたちは手作業で栽培しています。例えば毛虫は手作業で取り除いています。とうがらしから作った防虫剤を使用したりもしています。
とても苦労しているけれども、それでもおいしいものをお届けしたいと考えています。また、ちゃんと試飲しておいしいものだけをお届けするようにもしています。こだわりをお届けして、それを知ってもらって飲んでもらいたいですね。
井上:現地の方々は自身のハーブティーを楽しむことはありますか?
川北:例えばタンポポコーヒーをよく飲んでいるみたいです。栽培はミャンマーですが、焙煎は日本で行っています。日本で人気があることを伝えたら、実際に飲んでみたいと言って、農家さんは囲炉裏で焙煎して飲んでいます。
タンポポコーヒーのデトックス効果を実感しています。体調がよくなったと実感しているようです。
井上:農家さんたちは、栽培に誇りを感じていますか?
川北:タナペとは違って自分たちの生産物が日本人たちに薬のように飲んでもらっていることに喜びを感じています。仏教文化の影響もあるかもしれません。だれかの健康に役立つものを提供しているという実感を誇りに感じています。
新藤:日本での口コミを伝えていますか?
川北:伝えています。年に一回日本のメーカーさんを現地に連れていくツアーを行っています。毎年2月に収穫祭を開いており、メーカーと農家さんの交流会を開いています。メーカーたちの売る熱意にもつながっています。
新藤:ちゃんと設計されていることがすごいですね。
川北:将来的には農家さんたちもみんなで日本に来られたらいいなと思っています。
井上:日本に行ってみたいという方もいますか?
川北:います。ですが、良い面も悪い面もあるだろうなと感じています。
井上:悪い面?
川北:日本とミャンマーの農村部の生活はあまりにも違います。日本の月給が、現地の一年間の生活費になります。その差を見た農家さんが、家族と農村で暮らす生活を捨てて、出稼ぎばかりを望むそうになってしまわないか、少し心配です。
井上:いい面は?
川北:単純に飲まれている光景をみせてあげたい。それはハッピーなことですね。
井上:実際に見せるのはいいことですね!
川北:例えばお菓子に使っている事例があります。実際にお菓子を持って行きました。作っている現場や、楽しんでいる場面を見せたい。そういう実例をみせてあげられると、農家さんのほこりにもますますつながっていいなと思います。
新藤:今後の目標は?
川北:ゆくゆくは、ハーブティー以外も展開していきたいです。日本は成長しきった国。いかにおいしいか、とかいかに素晴らしいパッケージか、という話だけでは状態になっています。そこだけではなくて、商品のバックグラウンドも求めるような状態になっていると思います。
商品の機能だけでなく、つくられた背景をみせていけたら。誰がどんなふうに作っているのか知りたい人たちが増えています。
ちゃんとした背景を持った商品を仕入れたい人たちにとって選択肢を提供する会社でありたい。
だから、価格についてもシビアに考えています。選んでもらう為に、高級志向のようにしたくない。みんなに選んでもらえる状態を目指していきたい。限られた人だけが選べるような状態はさけたい。思いのこもった商品を仕入れたい人たちに寄り添いたい。みんなが選択できる状態を維持していきたいですね。
井上:我々もライト層に向けて、SDGsを展開していきたいと考えています。だけど、その選択肢が少ない。それを増やしていきたいですね。世界レベルの取り組みなのに、選択肢が少なくみえる現状です。
川北:現場でいちから取り組まなくても、私たちを通じて取り組みに参加できればと思っています。だから、ハーブにも限らないし、ミャンマーにも限らない。私たちの強みは信頼関係だから。私たちとスタッフの信頼関係、農家さんたちとの信頼関係が築けていることが強みです。
例えば、以前ジンジャー栽培でこんなことがありました。他のハーブと違って、ジンジャーはミャンマー国内にも市場があって、農家さんたちはそこで売ることができるんです。でも市場は安定していない。そのため私たちは高い時の値段でジンジャーを仕入れるようにしていました。
そうした中、去年ジンジャーの市場価格が私たちの仕入れ価格よりも高騰しました。初めての経験でした。農家さんたちは、私たちに卸してくれないのではないか、契約を破られるかもしれない、と心配しましたが、みんな私たちに商品を卸してくれました。私たちが農家さんたちの生活のことも考えて取引を続けてきたことが伝わっているからだと思います。
新藤:商品の取引だけでなく、彼らの生活も考えた関係性を結んでいる。信頼されているんですね。
川北:私自身も驚きました。正直期待していないところもありました。高く売り逃げることも可能だったはずなのに・・・。
ここまで信頼されているんだ、と再確認できました。
新藤:とてもうれしいですね!
川北:うれしかったけれど、めちゃくちゃ責任を感じました。
だって、「来年もきっと買ってくれる」と信じられるから、農家さんたちは今年のもうけをふいにしてでも私たちとの契約を守ってくれたんです。
これだけ信頼されている以上、会社を潰すわけにはいかない、と改めて感じました。これからも農家さんと一緒に頑張っていこうと思います。
井上:少し話は変わりますが、なぜ市場が安定しないのでしょうか。
川北:ミャンマー市場はもろい傾向があります。去年市場が乱れたのは、アメリカの企業がジンジャー市場に参入してきたからです。だけど、これはレアなケース。基本的には中国との取引を行っています。けれども、国家間の関係性が思わしくなくなると中国が市場を閉めてしまうことがあります。そうなると、国内で商品が余ってしまい市場価格に影響が出ることがあります。
今年は、コロナの問題があり市場価格が安定していません。
新藤:どんな人たちにハーブティーを飲んでもらいたいですか?
川北:飲むのは誰でも良いとは思います。でも、飲むときに1人でも多くつくられた背景も考えてくれたらいいと思います。だから、私たちが優先して卸している会社さんはそういうメッセージを一緒に発してくれています。そういう会社さんとの関係が良好ですね(笑)。
インタビュー|Buddy'sに一言!
新藤:最後にBuddy'sに対してなにか一言いただけますか?
川北:発信する人がいない状況をなんとかしたいです。良いことをしている人ほど発信力が弱いと思います。目の前のことに一生懸命だから。展示会に出して初めて、お客さんがいることに気づきました。だから、知られるきっかけづくりをどんどんしてほしい。知りたいと思っている人に知られるきっかけづくりをしてほしい。
井上・新藤:ありがとうございました!
インタビューを終えてー
SDGsと聞くと、とても話が大きく感じ一歩目が踏み出せなかったりしそうです。でも、実際は小さな一歩の積み重ねが重要だと感じました。
そして、エコやエシカルな活動をするにあたって
「もし、自分の家族が困難な状況だったら?友達がそうだったら?」
と考えると行動にうつしやすいと思いました。
Buddy'sの試みであるエコやエシカルな購買によって、結果として誰がどう救われるのか、といった点を再認識する必要があると感じました。
ボーダレス・ファーム代表川北さん本当にありがとうございました。
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