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「できるだけ助けない」はサボりか。

ドクター・ストレンジの最新作を観に行きまして、マルチバースを誘導されるがままに放浪していたら、また軽く三半規管をやられました。

さて、

私はカナダの学校スタッフです。
カナダに来てからずっと学校で仕事をしているため、かれこれ12年以上経ちました。

この歳月を経て、日本の留学生や親御さん、留学エージェントさんが求めることは、ある程度把握していると思います。

その中で、『サポート』について聞かれることがよくあります。

私は日本人で、日本語が第一言語ですから、日本からの留学生がカナダで困ってしまった時、日本語で『サポート』ができることを期待されてのことです。

以前の記事で、学校スタッフの仕事について少し触れさせていただきましたが、これらの、ホームシック、英語の勉強法、ホームステイの悩み、銀行口座開設や日本からの送金、滞在資格やビザ、アルバイトや仕事の探し方、友達のつくり方、放課後の過ごし方、交通手段や旅行・観光、進学やコープの相談、学習の進捗、一時帰国や休暇、人間関係やトラブル、進路や滞在延長などについて、すべて日本語で留学生とやり取りができることが『よいサポート』とされます。

日本からの留学生は英語力に不安があるので、現地の日本人スタッフが日本語でサポートすることにより安心が得られるから、という理由です。

転ばぬ先の杖、というわけですね。

この『サポート』を、私は個人的に過保護だと思っています。

親御さんや留学エージェントさんの勧めであれ、本人が留学をしようと決めたのであれば、まずは自分でやってみる、というのが基本でなくてはいけないと思っています。

根性論を振りかざすつもりはありませんが、自分で調べたりやってみたりする前にスタッフに日本語で聞いてしまっては、学習する機会を損失してしまうだけです。

学校スタッフは、同じ質問をたくさんの留学生から受けますので、受け答えは的確で、留学生が失敗しないようにアドバイスします。

もし間違ったアドバイスをしてしまい、留学生がトラブルに巻き込まれたらスタッフの責任ですので、しっかり調べた上で、正しい情報を提供するよう常に心掛けています。

ですから、スタッフに質問すれば正しい情報が与えられ、その通りにやってみて失敗したらスタッフのせい、というわけです。


以前、こんなことがありました。

生徒さんの対応をしている日本人スタッフへのクレームが、上司である私にきたのです。

「あの日本人スタッフは、質問をすると、『自分で調べてみた?』と言って、まったく答えを教えてくれない」と。

私は、日本の留学生にガッカリしました。

もしかすると、言い方や言い回しの問題はあったかもしれません。
でも、私が信頼するスタッフの真意は私の思うところと同じで、答えを教えることが助けになっていないから、自分で調べるように伝えたのです。

仕事の負担を軽くするために自分でやるように伝えたのではなく、スタッフの手助けなしでもできること、できないことを見極めた上で、自分でできるだろうと判断したものは、自分でやってみるよう勧めたのです。

これが本当の『サポート』ではないでしょうか?

とは言え、その学校に日本語を話すスタッフがいるかどうかは、留学先を選ぶ判断基準として重要度が高いようです。

よく、英語がうまくなりたいなら、日本語を話せる人がいない地域に行くのがよい、と言われます。

それを実行できる方は、様々な困難にぶつかっても、日本語に頼らない覚悟があるのだと思います。

覚悟はとても大事ですね。

日本語を話すスタッフがいる学校が『安心』と選んでいる時点で、日本語に頼らない覚悟は見られません。

でも、留学生活が始まったらハッとする方もいます。

日本人とばかりつるんでいてはいけない。

日本語ばかり使ってはいけない。

そこから覚悟が生まれることもあるので、日本人スタッフがいる学校を選んでくださったことはありがたいですし、私たちにしかできないサポートもあると捉えた上で、私たち学校スタッフは敢えて、できるだけ助けないのです。

私は、日本に住む中高生のためのオンライン国際交流サークルを運営しています。

週末はカナダの中高生と直接話せるセッションをしています。

私は毎回セッションに参加しますが、カメラも音声もオフにして、中高生だけの空間をつくっています。

カナダの中高生は英語が第一言語ですので、話すスピードが速いですし、友達と話す感覚でペラペラと話します。

日本の中高生は内容を理解できなかったり、内容は分かっても、言葉が出てこず答えられなかったり、それをカナダの中高生が、質問の内容が分からなかったのか、答えが分からなかったのか分からなくて質問を繰り返したり、色々な場面に出くわします。

その度に、私が間に入って訳したり、カナダの中高生に説明をすればセッションはうまくいくのかもしれません。

ですが、答えを教えることは助けにならないので、ぐっとこらえます。

そこで少し様子を見ていると、コミュニケーションを取りながら何とか乗り越え、その時は完璧に理解できなくても、次のセッションではよりコミュニケーションが円滑になっていて、私が何かを説明しなくてはいけないことは、ほとんどありません。

それって、とっても凄いことだと思います。

誰にも助けを借りずにできたことが、中高生の自信にも繋がります。

自信が持てるようになると、英語力は格段に上がります。

英語力だけでなく、コミュニケーション力や質問力も上がります。

自信が自信を生み出して、セッションに参加することがより楽しくなります。

たとえ間違えたとしても、誰も責めませんし、たとえ分からなくても、何も悪びれる必要はありません。

また全力を尽くせばいいのです。

こんな風に準備をした中高生が、将来留学することになったら、きっとまずは自分でやってみる、という気持ちで挑戦してくれるのではないかと期待しています。

できるだけ手伝わないことがサポート。

分かっていただけるといいな、と願っています。

続きは次回。ちょっとアピール。こんなことやっています。👆

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イラストは、みんなのフォトギャラリー、ソエジマケイタ(キャラ・写真・似顔絵)さんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございます!

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