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「花祭り」をご存知ですか?-2 伊東崇啓

「花まつり」という名前は明治34年(西暦1901年)の4月8日に
近角常観ら18名がドイツにて降誕会を開く機会を得て、
その時に日本語で「花祭り」という訳になる”Blumen Fest”の名を
使ったことが始まりと言われています。


この日は先述したようにお釈迦様の誕生日
我々僧侶にとっては勿論大切な日です。
何せお釈迦様がお生まれにならなければ、仏教はないのですから。
しかし一般の方は特に何でもないでしょう。
宗教的なものですし、お寺でやることは
いつもより長い法要が行われるだけですから。


ですが昔の中国ではお祭り騒ぎでした、
様々な出店もあったかも知れません。
皆さんもお祭りというと何だかわくわくしませんか。
きっと昔の中国の人達もそうだったでしょう。
それに今より娯楽が少なかったでしょうから、
よりわくわくしていたかも知れません。


日本では華やかに着飾った稚児行列が
大きな白い象を引いて
その後ろを地域の人や僧侶が続いて
町中を廻り、最後にお寺で子供達はお菓子や甘茶を貰う。
こんなことを昔はしていたようです。


またこの日にお寺に水筒を持って行くと
甘茶が貰えたようで、今のように甘味やお菓子が少なかった
時代では、大変なご馳走だったでしょう。


『修行本起経』というお経にはお釈迦様の産まれた時のことを、
右脇から生まれ、七歩歩いてから手を挙げて
「天上天下唯我独尊、三界皆苦我当安之」言った。
その時大地は大きく動き、龍がやって来て
その誕生を祝って、とても良い香りのする甘露の雨を降らせ、
天からは花が舞い降りてきた、というように記されています。


「天上天下唯我独尊、三界皆苦我当安之」
とは解釈が色々ありますが、
「私はこの世界に“たった一人”の尊いものとして生まれ、
全ての世界の苦しみを救うことを約束します。」
といった意味になります。


お寺ではその時を再現するように小さなお堂を花で飾り、その中に
天地を指さすお釈迦様の像(誕生仏)を置き
甘茶をかけることが行われています。


花まつりは、クリスマスと比べると少々地味かもしれませんが、
私はこの日、お釈迦様の誕生をお祝いするとともに
自分の命も含め、全てのものに感謝と慈しみを感じる日と考えています。


僧侶は日々、お経を読み、その功徳を全ての人々に廻らしています。
そしてこの日は、僧侶達がお釈迦様の為にお経を読み、
その功徳を皆様に廻す日です。


雨は全てのものに平等に降りそそぎます。
この日皆様の功徳が、お釈迦様に降りそそいだ甘露の雨のように、
全てのものに降りそそぎますことを願って。


もしよろしければ、お近くのお寺に行かれて、
一緒にお釈迦様のお誕生日をお祝いしませんか?
それでは皆さま、またお会いしましょう。


崇啓 合掌



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