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演劇支援プロジェクト比較まとめ(※5/15更新)

新型コロナウイルスによる演劇界のダメージを補填するべく、さまざまなプロジェクトが立ち上がってきました。
より広い範囲で支援を募っているものを簡単に比較しました。(ほぼ自分用)

「演劇を支援したいけど、何が出来るかわからない!」
「この支援プロジェクトしか知らなかったけど、他にはどんなものがあるのかな?」
という方は、是非ご覧ください。

(※5/15に更新しました)

①演劇支援プロジェクト SAVE THE THEATRE

□公演映像のチャリティ有料配信
■支援金額:300円~
■支援対象:公演中止となった団体・個人・劇場の損害金額補填
■呼びかけ人:千葉繁(声優)ほか

声優の千葉繁さんらが呼びかけ人となってスタートしたプロジェクトです。
配信サイト「ZAIKO」内の「SAVE THE THEATRE」カテゴリの映像作品を有料配信し、その売上が支援金となります。舞台作品を楽しみながら、支援も出来るというものです。

一作品につき300円から支援が可能で、別途投げ銭もできます。鑑賞料金と投げ銭のうち、必要最小限の配信経費を除いた収益の50%がプロジェクトの基金となります。
その基金が、主に2020年3月~緊急事態宣言期間最終日に舞台作品を上演予定だった団体・個人・劇場を対象に一律に頭割で分配されます。その内訳は支援後に明示されるとのこと。

同時に、権利関係がクリアになった舞台映像、ライブストリーミング配信者など、配信できるコンテンツも募集しています。現時点では小劇場系の作品が多数参加されているので、この機会に触れたいという方は是非観てみては如何でしょうか。

企業ではなく個人の方々が呼びかけ合い動いているようですが、法律監修や会計監修が入っていることや、最終的にどのようにお金を活用したかを明示されるなど、信頼して支援しやすく、チャリティ配信の試聴料金も手頃なので気軽に支援できるのも有難いです。

吸引力のある映像がどのくらい集まるかが肝だと思うので、このプロジェクトが幅広く周知され、面白い作品にたくさん参加してもらえるといいなと思います。

演劇支援プロジェクト SAVE THE THEATRE


②観劇三昧「Aid To Theater! 劇団応援企画」

□有料配信サービス内での投げ銭・サイト内宣伝
■支援金額:100円~(※別途950円の月額利用料も必要)
■支援対象:有料配信サイト「観劇三昧」にて映像配信中の団体
■運営元:株式会社ネクステージ(演劇関連サービス運営)

こちらは、月額950円で演劇動画が観放題というオンライン観劇サービス「観劇三昧」内で行われている、2020年5月末までの期間限定企画です。

4月中旬より新たに投げ銭機能が導入され、期間中は投げ銭の95%が直接劇団に支払われるようになっています。また、このサイトは視聴時間の割合に応じて劇団にロイヤリティが支払われるレベニューシェア制度を採用しており、特集ページ内に「公演が中止となった劇団の過去作品」をまとめ、より多くの視聴を促しています。

現在、400弱の劇団がこのサイトで公演映像を配信しています。
お気に入りの劇団に直接支援したい方、金銭的に支援しつつ作品も観たいという方は、こちらもチェックしてみてはいかがでしょうか。

観劇三昧「Aid To Theater! 劇団応援企画」


③演劇は生きる力です。演劇緊急支援プロジェクト

□電子署名キャンペーン
■支援金額:なし(電子署名のみ)
■支援対象:コロナによる自粛で負債を負った演劇団体・個人
■呼掛人:日本劇団協議会、日本演出者協会、日本劇作家協会

国・地方自治体・民間企業への要望書提出のための署名募集です。
こちらは、有志からの支援ではなく、公的な補償を目標としています

主な要望内容としては

・新規に「文化芸術復興基金」を起ち上げ、演劇団体の意見が反映された資金援助、助成を行うようにすること。
・既存の「感染拡大防止協力金」等の支援を演劇等の公演・イベントや民間劇場も対象事業とすること。
・緊急措置として、有志の民間の財団や企業家等から一律一定の寄付を募り、演劇関連の公益法人を窓口としての緊急支援を行えるようにすること。

など。(詳しくはサイトを見てくれ。)

中止になった公演の負債をはじめ、学内での芸術指導員の生活保障なども謳っています。補償内容の具体性はまだ乏しく感じますが、まずは一念発起という段階でしょうか。

文化や教育環境の保持を目的としたプロジェクトなので、やや硬く、自分から遠い存在のようにも感じるかもしれませんが、推しのライブエンターテインメントの基礎や土壌がこういった団体に支えられていると思えば、味方として頼もしい存在と言えるのかな?

「演劇も税金で補償すべき」と思う方は、是非参加してみてはいかがでしょうか。無料で参加できます。

→ 演劇は生きる力です。演劇緊急支援プロジェクト


④コロナ禍から芸術を守りたい。“#SaveArts”プロジェクト

□募金型クラウドファンディング
■支援金額:3000円~
■支援対象:コロナによる自粛で負債を負った演劇団体を公募し、事務局による選考の結果、対象となった団体
■実行者:年森慎一(医師)、平田オリザ(劇作家)、桜田ゆみ(劇作家)

4月17日にスタートし、既に目標の200万円を達成したプロジェクトです。
今は次の目標の500万円を目指して、引き続き2020年5月29日まで募集しています。
このプロジェクトで支援されるのは、公募ののち演劇部門として平田オリザ氏、歌劇部門として桜田ゆみ氏がそれぞれ選考し「より支援が必要とされる」と判断された団体です。

個人的には、この支援団体がどんな基準で選ばれるのかはものすごく気になるところではありますが…。
「文化的な価値が高いから支援される」というのも何か違う気もしますし(文化の価値観は人それぞれだと思うので)、明日の生活が立ち行かない人から支援するといっても、その判断ってとても難しいと思うんですよね…。

しかし、多くのお金が集まれば、それだけ支援できる団体が増えるということで、より多くの支援があるに越したことはないというのは確かですし、公募ということは、困っている方なら誰でも受け取れる可能性がある。そう考えれば、支援間口が広いプロジェクトとも言えるのかも?

実行人の方々に信頼を寄せ「支援によって救われる芸術がある」という方は、是非参加してみてはいかがでしょうか。

→ コロナ禍から芸術を守りたい。“#SaveArts”プロジェクト


⑤アーツ・ユナイテッド・ファンド(AUF)芸術文化を担うフリーランスを救いたい!

□募金型クラウドファンディング
■支援金額:3000円~
■支援対象:コロナによる自粛で負債を負った芸術文化活動従事者を公募し、財団による選考の結果、対象となった者
■発起人:落合千華(コンサルティング会社取締役)

芸術分野で活躍している方々が多く立ち上がっている中、データを武器に事業展開している組織が主体となっているのがこのプロジェクトです。

発起人が所属するケイスリーが独自に調査したアンケートを元に立ち上げられ、最終的にはこの基金のデータを有効活用し中長期的に機能する組織を作ることを目標に掲げています。

支援を受ける対象は、舞台関係者に限らず、コロナによる活動自粛で経済的損失を受けた芸術活動従事者(営利・非営利問わず)(所属・フリーを問わず)です。

目標としては20万円×100人の支援を予定しており、④“#SaveArts”プロジェクトと同様に公募ののち審査によって支援対象が決まるもので、財団が「未来の社会を新しく作っていける」と判断された方が支援対象となります。その判断として、応募者は(1)過去実績やポートフォリオ(2)未来ビジョンについての作文(3)推薦文を提出する必要があります。

こちらもまた、一筋縄ではない判断基準だなと思いますが……母体組織が「未来」という言葉を多用していることから、将来性が期待できる人材を救おうとしているのを感じます。(何をもってしてそれが決まるのかは私にはよく分かりませんが…)

金銭的な支援以外にも、作品を発表するメディアを設ける(Yahoo!などを予定)ことを謳っています。こちらは非金銭的支援となっているのでギャランティが発生するものではなく、あくまで表現の場を作るという意味合いだと考えられます。ただし、批評家・ライターの執筆については支援金から謝礼が支払われるとの記載もあるので、一部その限りではないのかもしれません。発表を取り上げる規模感が分からないので、支援対象者にとってどの程度メリットがあるものなのかは現時点では何とも言いにくいところですが、他のプロジェクトにはない特性がありますね。

舞台だけに留まらず幅広い芸術分野の方々を支援したいと考えている方、金銭だけでなく情報という財産を提供することで未来の芸術に繋げたいという方は、是非チェックしてみてはいかがでしょうか?

→ アーツ・ユナイテッド・ファンド(AUF)芸術文化を担うフリーランスを救いたい!


⑥舞台芸術を未来に繋ぐ基金=Mirai Performing Arts Fund

□募金型クラウドファンディング
■支援金額:3000円~
■支援対象:コロナによる自粛で負債を負った舞台芸術関係者や任意団体を公募し、規定条件を満たし対象となった者
■実行者:(公財)パブリックリソース財団(寄付推進組織)、conSept合同会社(映像・舞台プロデュース)、杉本事務所(経営コンサルタント)

こちらも募金型のクラウドファンディングプロジェクトです。
2020年8月25日までという比較的長い期間で受付を実施しており、目標金額は今のところ明示されていないようです。

このプロジェクトは支援対象の規定を明確にしているのが特徴で、条件を満たしていれば誰でも助成金を受け取れるという仕組みになっています。また、応募者多数の場合は個人→団体→法人の優先順位で分配されるとのこと。所属事務所から給料を貰っている方は対象外など、頼るところのないフリーランスの方を優先的に救済出来るよう配慮されています。

条件も、
・活動歴3年以上
・活動拠点は日本
・反社会勢力やマルチ商法目的でない
といった難しくないもので、個人の方でも支援を希望し易そう。
※ただし必要提出書類を揃える必要があるので、応募する方は要チェック!

事務局手数料10%と、決済手数料5%以外の運営費はかからないとも明示されています。また、支援者には公益基金による税制優遇措置も取れる仕組みとなっていて、税務署に申請すれば控除金が受け取れます。
経費を最小限に抑え、多くのお金を支援対象に渡せるということですね。

劇作家の板垣恭一さん、俳優の伊礼彼方さん、井上芳雄さん、良知真次さん、その他、音響や照明などの裏方の職人の皆さんも賛同人として名前を連ねています。
賛同人も助成金の対象になる可能性があるということなので、お気に入りのキャスト・スタッフさんのお名前がある方は要チェックです。

演劇を創っている方の多くはフリーランスで活動されています。

「よりダイレクトな形で創り手を支援したい」と思う方は、是非参加してみてはいかがでしょうか。

→ 舞台芸術を未来に繋ぐ基金=Mirai Performing Arts Fund


⑦小劇場エイド基金

※以前ご紹介した「小劇場支援プロジェクト【ENGEKI HEROS】」はこちらのプロジェクトと連携されることになりました。

□募金型クラウドファンディング
■支援対象:小劇場(劇場主)
■支援金額:(劇団)500円~ (一般)1000円~
■実行者:ステージチャンネル(演劇専門サブスクリプション動画配信サービス)、サンモールスタジオ(劇場運営)、MOTION GALLERY(クラウドファンディングプラットフォーム)

こちらは、小劇場運営支援の為のプロジェクトです。演劇にとって必要不可欠なはずが、実は中々目を向けられない劇場運営側の補償問題。そこに特化してサポートしようというものです。

俳優の八嶋智人さん、篠井英介さん、劇団かもめんたるの岩崎う大さん、劇作家の高橋いさをさんをはじめとする小劇場出身の方々が賛同人として名を連ねています。

全ての募金型プロジェクトに言えることだと思いますが、特に劇場の特性上、状況によってはこの支援を待たず・また支援があったとしても、支援対象の劇場が閉館・休館してしまう可能性がある(その場合も返金対応は出来ない)というリスクが伴っていることをご理解の上、参加して頂きたいとのことです。 (そんな厳しい状況下だからこそ、支援を必要としているとのこと。)

集まった金額から[決済代行会社手数料5%+振込手数料]を差し引いた金額が、支援対象劇場に均等割りで配分されます。(※一部コースを除く)

高額支援者名へのリターンとして、支援者名が記載されたポスターが支援対象劇場に配布・掲示されたり、プロジェクトの母体である「ステージチャンネル」(有料配信サイト)が無料で視聴できたり「ステージチャンネル」内のバナー枠を獲得出来るなどの一部の有償サービスを利用できるオマケが付いてきます

まだ始まったばかりの為、プロジェクトの宣伝だけでも協力に繋がるとのこと。SNSでの「劇場に纏わるエピソード」とともに 「 #小劇場エイド 」の情報シェアを積極的に呼び掛けています。

また、⑤でご紹介した「新型コロナウイルス感染症被害対策:舞台芸術を未来に繋ぐ基金=Mirai Performing Arts Fund」とも連動して宣伝活動を行っているようです。

「劇場あっての演劇。演劇は劇場で観てこそ!」と思う方、是非その劇場に自分の名前の載ったポスターを貼って支援してみては如何でしょうか。

→ 小劇場支援プロジェクト【ENGEKI HEROES】


⑧“舞台専門プラットフォーム”シアターコンプレックス

□新規サービス立ち上げの為のクラウドファンディング
■支援対象:シアターコンプレックス
■支援金額:2500円~
■発起人:松田誠(演劇プロデューサー)

こちらは、2.5次元ミュージカル協会のネルケプランニング松田誠氏が発起人となってるプロジェクトです。多くの2.5次元関連のキャストたちがSNS上で賛同しています。

このプロジェクトはコロナ自粛で仕事を失った人のために新しい仕事を作ることを目的としています。支援金は、あくまで「シアターコンプレックス」というSVOD(定額制動画配信)/TVOD(都度課金型動画配信)の動画配信サービスの新規事業立ち上げ費用という位置づけになっています。つまり、他のクラウドファンディングとは違って、直接的に既存の2.5次元舞台作品や、SNS上で賛同しているキャスト・スタッフに支援金が渡るわけではないということです。(※義援金の一部は新規コンテンツのギャラとしても使われるようなので、その内容によってはキャスト・スタッフに渡る可能性はあります。)

既存の配信サービスと同様に公演映像の配信も行うようですが、メインとしてはシアターコンプレックス独自の新規コンテンツを据えているようです。目標として、オリジナル30作品の制作・配信、600人程度のキャスト・クリエイター・スタッフへの還元を掲げています。

また、支援金額に応じてロゴ入りの缶バッジやTシャツなどのグッズ特典があり、高額支援者のリターンとしてオンラインイベント参加券シアターコンプレックスの無料視聴権などもラインナップされています。

普通にクラウドファンディングではなくネルケが独自に立ち上げた方が色々と手っ取り早いのでは?と思うのですが、ネルケは主催ではなく協力企業として名前が入っていますので、これは恐らくネルケとは別の組織が母体になっていると考えられます。また、支援金の使用用途の具体性が乏しい割に収支報告の記載が無いのも気になるところです。協力企業に漫画やゲームの大手各社の名前が羅列されていますが、2.5次元舞台の会社でも参加していない企業もあるようです。

肝心の新規コンテンツの内容(誰が何をやるのか)など、現時点の情報は未定な部分も多いようですが、随時応援トークライブという生配信が行われているとのことなので、支援を考えている方はチェックしてみてはいかがでしょうか。

→ 舞台専門プラットフォーム”シアターコンプレックス


いかがでしたか?

演劇を支援したいと考えている方も、支援を受けたいと考えている演劇関係者の方も、参考にしていただければ幸いです!
新しい情報を見つけ次第、また記事を更新したいと思います!

最後に。

こんな状況だからこそ、本当に必要な支援をしましょう。

どのプロジェクトもピンと来なかったら、それでいいんです。
盲目的に、躍起になって、お金を貢ぐことはないのです。

「推しが賛同してるからとりあえずたくさんお金入れなきゃ!」
「みんなが応援してるから私もやらないと!」

ではなく、そのお金が誰の判断でどこに渡るのかをきっちり見定めてから支援しても遅くはありません。

今回紹介したプロジェクト以外でも支援の方法はあります。(劇団単独のクラウドファンディングやチャリティーも多数行われていますので、興味のある方は是非調べてみて下さい!) 対象によっては、既存のグッズや有料コンテンツを買う方が直接的な支援になる場合もあると思います。

ただ何となくいい感じだったから応援するのではなく、推しが本当に救われるために、きちんとしたお金の使い方をしましょう。

こんな非常時だからこそ、慎重になりましょう。。

その判断が、今後の演劇を支える強い力になると思います。


皆さんの力が、よりよい形で支援に繋がりますように。

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