マジで時間がないときに、ちゃちゃっと文章をよくするワザその2

その1はこちら。

適度にひらがなとカタカナを使おう

漢字は、6文字以上続くと読みにくくなってしまいます。また、文章の文字量のうち4割ほどが漢字で占められると、難しそう、読みにくそう、と感じてしまうそうです。ある単語を漢字で書くか、ひらがなにするかを「閉じひらき(漢字にする=閉じる、ひらがなにする=ひらく)」と言ったりします。これに加えて、カタカナも少し混ぜてみましょう。

×:其れは君、無闇矢鱈と漢字で書けば善いと謂う物では無いよ。

〇:それは君、むやみやたらと漢字で書けば良いというものではないよ。

◎:それはキミ、むやみやたらと漢字で書けば良いというものではないよ。

統一表記を作っておくと便利!
ちょっと準備がいるけれど、判断が難しいときにどうするか、自分のなかで決めておくのも手です。時間がないときにはできませんが、あらかじめ準備しておけば、いざというときに時短できます。
参考までに、私の統一表記の例を一部だけ示します。

物……物体、物質。実体があって、さわれる物。
者……人、人物。
もの……「そういうもんだし」=「そういうものである」のような、「もの」という単語事体は意味をもっていない場合。
モノ……雰囲気や概念。神霊妖魔や触れられないモノ。あるいは、対象物を強調したいとき。
中……物理的に存在する物に対して、別の物体がその内側にある場合。
なか……「〇〇のなかでは、これが一番!」など、物理的な物ではない場合。概念や、集合のなかの一部であることを表すとき。
作る……工作など、図工的で少し小規模なハンドメイドな物を作るとき。
造る……構造物や建築物など、土木工事的な大きな物を造るとき。
創る……「新しい仕組みの創造」「世界の創生」など、大仰なものを創るとき。
つくる……制作や創作など、多少アーティスティックなものをつくるとき。
※「工場で自動車を作っています」とかだと、ちょっと微妙なところです。「作る」だと思うけど、ちょっと雰囲気に合わないかも。そういうときは「工場で自動車を製造しています」とかで言い換えたりしています。
時……「何時何分」と時刻で示す場合。または「何分後」など、時間経過が重要なとき。あんまり使わない。
とき……「〇〇したとき」など、その瞬間であることが重要であるとき。
刻……カッコつけるとき。ポエットに使う!
言う……発言者が明確にわかる、または発言者が重要であるとき。
いう……発言者が不明確なときや、伝聞のとき。「一般的には〇〇といわれています」というような使い方。
持つ……物理的にそれを所持しているときや、所持できる物に対して。
もつ……物理的ではない場合。性質がある、概念が備わっているなど。
※土地の権利は「持つ」だけど、基本的人権とかは「もつ」な気がする。

上記が絶対に正しい、というわけではないですし、私自身もやむを得ず自分ルールを乱しちゃったりしています。自分で作ったくせにね。
一番は、その場の最適を選び取って柔軟に書くこと。でも適当に書かないように、統一表記のような一定の指標があると便利。
そして時間がないときのチェックリストとしても有用です。

オススメのカタカナ
キミ
(「君」だと、前単語とつながって、「〇〇くん」みたいになるから。)
カッコいい
(かっこいい、恰好良い、カッコイイ、と比べて一番文字の並びがカッコいいから。)
オススメ
(勧、薦の意味的な区別が難しいく、漢字も読みにくいから。加えて、ひらがなでおすすめだと、ひらがなが多くなって読みにくいから。)
オチ
(話の落ち。現代語化して、元々の文意である「落ち」から変化してきている気がするから。)

どの語を漢字・カタカナ・ひらがなで書くか、あらかじめ手に馴染ませておくと、いざ時間がないときに急いで書いても、なんとなーくいい感じで仕上がってくれます。
書き終わってから修正するときの時短だけでなく、書いている最中の時短にもなります。

読みやすいリズムって大事

文脈のなかで、削ったほうがいい言葉、残したほうがいい言葉、残してもいい言葉、残さなければいけない言葉があります。

↑別ページの文章をもってきました。
残さなければいけない言葉があります。の箇所は当初、
残さなければならない言葉があります。でした。
「ならない」から「いけない」に変えたのは、そのほうがリズムが良かったからです。

文脈のなかで、
削ったほうが「いい言葉」、
残したほうが「いい言葉」
残しても「いい言葉」
残さなければ「いけない言葉」があります。

↑なんか、ポンッ→ポンッ→ポン→ポポーン! って感じで、いいと思いました(暴論)。

文章を読む際、多くの人は黙読します。つっかえたり、読みにくかったりすると、実際に声に出していないはずなのに、黙読のリズムが崩れてしまうのです。
文章を書き終わったら、サッとで良いので読み直して、詰まった箇所は一度、音読してリズムを確かめてみましょう。音読してもやっぱりヘンだったら修正しましょう。

箇条書きが読みやすいか

同じような情報が並列して複数あるときは、箇条書きを活用しましょう。
箇条書きの注意点は以下です!

【1】3項目以上、5項目以内にしよう。
【2】短い文章で言い切ろう。
【3】情報は、視点を固定して示そう。
【4】情報に補足があるなら、個別解説をしよう。

箇条書きで示す理由は、そもそも情報を整理して、わかりやすく示すため。「この箇条書きで、読者の理解を助けられるか?」という視点をもつと良いでしょう。

【1】3項目以上、5項目以内にしよう。の理由は、項目を適切な情報量にし、読者の理解を助けたいから。項目が少なすぎるとショボく見えるし、そもそも箇条書きにする必要がありません。項目が多すぎる場合は、読みにくくなってしまうので5項目以内になるまで削りましょう。

【2】短い文章で言い切ろう。ができず、箇条書き内の文章が長くなってしまう理由は、そもそも自分で情報を整理できていないから。もう一度、自分のなかで理解を深めるか、いっそ箇条書きを止めて全部文章で書ききってしまって、あとから編集して文章を短くしましょう。

【3】情報は、視点を固定して示そう。は、例えば上記の「箇条書き注意点の箇条書き」であれば、すべて「こうしたほうがいい」という視点で書いている、ということです。もし箇条書き内に、こうしたほうがいい/しないほうがいい、という注意の仕方が両方あったら、読みにくく感じます。どんな視点で、誰目線での箇条書きかは、統一したほうが理解しやすくなります。

【4】情報に補足があるなら、個別解説をしよう。は、補足がない完全なる箇条書きができれば良いのですが、なかなかそうはいかないので、やむを得ず行っている感じです。番号を付けるなどして、読み返しの際に混乱を防ぎましょう。

時間がないなかで修正するなら、既存の箇条書きに対して【3】情報は、視点を固定して示そう。を重点的に行うのがオススメ。少し言い回しを変えるだけの少ない労力で修正でき、全体的に洗練された印象に変わるからです。

余裕ができたら、そもそも箇条書きを入れる時点で意識してみてください。

意図を誤解されない羅列にする

単語や言葉を羅列して示す際は、意味合いを全部そろえるか、全部変えるといいでしょう。
以下は、別ページからもってきた例です。

・一発芸
・リズム芸
・あるあるネタ

↑「笑い」に関する話の一部です。
一発とリズムがカブっています。こうすると、3種の笑いの手法を並列で示したかったのに、「一発とリズム」+「あるあるネタ」というように、並列に感じなくなってしまいます。
上の例なら、「あるあるネタをいじる話が始まるのかな?」と、読者が先入観をもってしまうかもしれません。

・一発芸
・リズムネタ
・あるある
・一発ネタ
・リズムネタ
・あるあるネタ

↑このように、完全に並列である項目を羅列する場合、意味合いを全部そろえるか、全部変えるかしてみましょう。

読み手は、書き手が意図していない場所から、ありもしない意図を読み取ってしまいます。
ユーザーインターフェイス(UI)デザインを知っている方であれば、いかに人が無意識のうちに情報の組み分けをしているかをご存じのはず。
並列化できない場合もありますが、読み直した際に気づいたら、可能な限り修正してみましょう。先入観をもった状態で読み始められる可能性を減らし、誤読されにくい構造になります。

文脈に依存しすぎない

この前、電車で学生たちが話しているのが聞こえてきました。
「アレさぁ、まさに! って感じだったよな!」
「ああ。THE! って感じだよな」
「ああ。THE! それ!」

何も伝わってこなさ、過去最大級。
それでも彼らは、電車に乗るまでにしていた会話の内容、彼らのなかで通じるスラング、「お約束の表現」などでコミュニケーションが成立していたのです。

このような、共有されている前後の状況や背景のことを「文脈(コンテキスト)」と表現したりします。国語で習った、文脈を読む、みたいなアレです。

文脈を共有していれば、面倒な前段や詳細の説明なしに、最低限のやり取りで濃密なコミュニケーションがとれます。
一方で、文脈を共有していないと一切伝わりません。

これは、文章も同じです。最初の書き出しで文脈(コンテキスト)を示したとして、読み終わるまで覚えていてもらうのは難しいこともあります。

「この文章の、この単語。ちゃんと伝わっているか?」
文脈がわかっていれば伝わる。それは、大前提。では、その文脈の共有は十分になされているか? 不足はないか? 忘れられていそうだから、再周知したほうがいいか?
そんな視点で読み返してみましょう。

まだまだあるけど、ひとまずここまで!

続きはまた今度!
急いでいる人の文章を少しでも良くできていたら、幸いです。

それでは、みなさんに良きクリエイターライフがあらんことを。

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