終わりなき戦い~学振DCの先にあるもの~(短文・メンタル系)
学振についての記事を書きながら、ふと横道に逸れたくなりました。学振申請関連の記事はまた改めて近日中に公開します。
私はM2の時にDC1に落ち、D1の時にDC2に採択されましたが、当時の心境は「とにかく学振に採択されたい!」この一点でした。この若かりし自分を今振り返って一喝したい。そんな思いがふつふつと沸いてきました。
学振に採用されると、オカネが貰えます。素晴らしいことです。しかし、それ以上に、「若手研究者としての最低限の品質保証」が得られます。運も絡む審査でおかしな話ではあるんですがね。
無論、学振に採用されなければ優秀でないというわけではありません。学振に縁はなかったが非常に優秀な研究者を私は何人も知っています。
一方で、とりあえず学振に採用されることで、「日本中の博士課程の学生を格付けしたときに上位ウン%に入っているんですよワタクシは」という、客観的な称号を得られることも事実です。私は、オカネよりも何よりも、この点が学振DCの最も美味しい点であると思います。
しかし果たしてこの称号を手にすることがゴールなのでしょうか。ここを見誤っている方が非常に多い気がします。
何のために、研究者としての最低限の品質保証を得るのでしょうか。それは、目前(遠くとも2,3年後)に迫っている大学教員の公募戦線に少しでも有利に臨むためではないでしょうか。
学振HPで、DC、PD採用者の就職状況が公開されています。令和2年のデータによりますと、DC採用終了者が直後に常勤職に就いている割合は45.3%、ポスドクフェローの割合が19.2%です。これだけ見れば、今日の大学教員公募戦線の中では確かに申し分ない割合です。しかし、その他、すなわち非常勤で食いつなぐ人、学生を続ける人、無職の人は、35.5%もいるのです。学振ホルダーが10人いれば、うち3~4人は、採用期間終了後に渋い思いをすることになるのです。みなさんは、その3~4人にならない覚悟があるでしょうか。
学振採用の先にあるものを見据えつつ、学振の申請に臨むことが重要です。燃え尽き症候群にならないためです。あくまで学振DCは通過点。研究をさらに発展させること、業績を積み重ね続けることに意識を向けながら、申請書の作成に臨んでください。
私が後輩達に残せることは、少なくないかと思います。今後も自分自身の経験を少しずつ綴っていきます。さしあたっては学振関連・教員公募関連でしょうか。乞うご期待。
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