「 未定 」#42 Imagination

 夕暮れ時、ブローボは街の外れにある大樹がある場所に向かっていた。
彼は先程イズコが大樹の下で休んでいるという噂を聞いたからだ。
連日、イズコと接触をした冒険者が数匹のバトルビートルに襲われて負傷したという被害が相次いでいた。バトルビートルは『銀の鬼』が差し向けるモンスターの一種だ。まったく奴が現れてからというもの、この街は引っ掻き回されっぱなしだ。『銀の鬼』の一味に目をつけられ仲間だと思われたら、どんな刺客を差し向けてくるかわかったもんじゃない。ここらでイズコをこっぴどく痛めつけておく必要がある。この街のため、ここの冒険者達のため、そしてこの俺ブローボ自身のためにもだ。

 歩いていくと大樹が見えてきてその下にイズコらしい男が座っているように見えた。夕暮れ時なので薄暗く本人だとよく確認ができない。彼は更に近づいていく。オレンジ色の夕日が目に刺さり眩しさを感じる。体格、服装からして奴に違いない。ブローボは薄暗がりの中、座っているイズコを見下ろすまでに近づいて言った。

「おい、イズコだな」

「誰だ?お前、ブローボか?」

瞬時にブローボは彼を軽々と頭上に掴み上げると地面に強く叩きつけた。そして大きな足でその体を踏みつける。なにか変だ。叩きつけたときの音はなにか乾いた音がして踏みつけた体は肉体の感触がなく硬い物体のようだ。
彼は足元の体を掴み上げ確認すると、それはただの木製の人形であった。

「ちっ、この野郎。駆け出しの魔術師のクセに小癪な芸当を・・・」

バサバサと木の周りを鳥が飛んでいる。
「おい、聞こえるか、ふふふふふふ」

「!!!!」
どこからか声が響いてくる。イズコの声のようだが、なんとなく別人のような感じがする。彼の姿はどこにも見当たらない。

「何しやがるんだよ!ブローボよ。なあ、このほうがゆっくり話せそうだな、そうだろう?」イズコの声が響き渡る。

「お前を殺らないとこっちが危ねえんだよ」彼は姿なき声に返答をする。

「なあ、なぜオレたちが憎み合い争わなければならないんだ。そんな理由は本来どこにも無い筈だぜ。力の強いやつがどっかりと椅子に腰掛けてタバコでもふかしていやがるのさ。俺たちは弱い犠牲者だ、お互いにな」

「御託を並べたところで、戦いの場では殺らないとこっちが殺られるんだぜ。そういうルールになっている。おい!!どこにいるんだ!」

「さあね、考えてみな。想像力だ」

「なにぃ!?」

「想像力。極めればそれが超能力になるんだぜ。ふはははははははははははは〜」

「貴様、本当にイズコか?」
笑い声は次第に遠ざかっていった。夕日はもう沈んだようだ。辺りはすっかりと暗くなり静けさに包まれた。


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