「 未定 」#41 Aromatherapy

ブローボはソイールの街にあるアロマセラピーを受けに来ていた。
最近戦闘の質が落ちていて、心身両面からのパフォーマンスの向上について悩んでおり僧侶のホルトスに相談していた。そこでホルトスからこの店の紹介を受けたのだった。何やら街でも評判のセラピストらしくホルトスも利用しているらしい。ブローボは正直セラピーを受けるのは柄にもないと思いながらも、自分の戦闘能力をレベルアップさせるために新たな取り組みを試みるつもりであった。
彼は店の薄暗い個室で待っていると、店の女セラピストが現れた。

「いらっしゃいませ。私がこの店のセラピストのクラルでございます。今回はご利用ありがとうございます。」

「あぁ、俺はブローボだ。ホルトスから勧められたんだ、なにせこういうの受けるの初めてなもんでな。よろしくたのむよ。」

「ホルトス様から伺っております。冒険における戦闘パフォーマンスを向上させたいとのこと。心身両面から深いリラックスを得ることによってご自身の能力がより発揮されるようになります。料金はすでにホルトス様より頂戴しております。」

「そうかい、あいつもいいとこあるなぁ」

「それではセラピーに入りたいと思います。そちらのベッドの上に横になってください。」

ブローボは言われたとおりに横たわり目を瞑った。
室内に不思議な香りと蒸気が充満しているようだ。段々とリラックスしてきた。鼻からゆっくりと蒸気を吸い込んでみる。う〜ん、なるほど〜。なかなかいいもんだなぁ。
「ところで、随分と変わった香りがするが、どういうものを抽出したのだ?」

「はい、こちらは様々な薬草用いていまして、その他に私の股間のエキスを混ぜ合わせております」

「へ?」

「ちょっと特殊なものなのですが、ホルトス様のご要望により特別に私の股間のエキスを配合しております。」

「・・・・・なにぃー!!」
ブローボはリラックスしていた気分だったのが、何やら落ち着かなくなってきた。
ゴホッゴホッ
股間のエキス、股間、股間・・・

「すまないが、ちょっと急に用事を思い出してな。悪いが失礼するわ」
彼は急に起き上がり帰りの支度をし始めた。

「え、もうお帰りで・・・まだこちらのオイルマッサージもあるのですが?お気に召しませんでしたか?」

「もしかして、それも股間の?」

「はい、オイルにも配合しております。」

「いや、もう大丈夫だ。十分にリラックスしたんだが、ちょっと用事がな。早く行かないと」

「そうですか・・・次回はお時間に余裕を持ってお越しください。ありがとうございました」

ブローボは、素早く身支度をして店の扉を開け外に出ていった。
「まったく、股間のエキスっていったい何なんだよ。ホルトスの奴、、あれでもホントに僧侶なのかい」
道を歩きながら大きくため息を付いた。

前方から二人の男が慌てた様子で走ってくる。
よく見ると二人はグストフとスネアだった。
「おう、二人ともどうしたい?」

「ブローボ、これを見てくれ!」
二人は上半身の服を脱いで肌を顕にした。
グストフは腹に、スネアは背中に大きなやけどのようなミミズ腫れができている。それはなにかの印のようにも見える。イズコという文字がサインをされたように見える。二人とも同じミミズ腫れだ。

「これは何なんだよぉ〜」半分泣き声で叫ぶグストフとスネア。

「もしかして、あの野郎か、、、イズコめ」
絞り出すような声でブローボはつぶやいた


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