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いつまで続くのやら

道は思いの外歩きにくい 紫外線は此の身を容赦なくいたぶり 変色した箇所から異臭も放ち始めた 虚ろなこの六十三キロの躯体 見送ってきた数多のそれと同じく 皆の視界からやがて消えてゆくのか 分かっていながら 分かっていながら 待ちきれないこの凡庸 性懲りもなく天に向かって叫ぶが 言葉が雨と共に凡庸の額を濡らし嗜めようとする だが直ぐに微笑ましく世界が切り替わる 極みに立ってもこうして赦しを乞わねばならぬ 人間はそんな罪深き存在か 足枷は何処にある ただそれに依存するほかなかった

    • Campagne mixte

      与えるだけ 見返りなどありません 返してもらえる そんな特典や保証などありません 自らの存在を前提にしてはいけません 影すらも据えてはいけません ただ与えること 自らを度外視すること それを額面通りに実践すれば 相手のエゴを助長し 互いに破滅に到るでしょう それは 進化論的に 生物学的に 歴史的に 社会的に 倫理的に そして 情緒的に わたしは これを口にしていいのでしょうか

      • 気難しい貝たち

        小さな貝 少し口を開けた 大きな貝  まだまだ   木の上の景色は 立ってみなければ分からないよ あな 塩加減の難しい貝たち 此の貝たちに 拍手

        • 아버닙

          ベランダで野菜や花の手入れをし 腕が鈍るとパンを焼き 俳句や短歌、詩を書いて 風に誘はれ投稿し くだらぬものと悔やんでは 淹れたての香に諭される 明治のMILKチョコレート 御茶のお供はこの子だけ 地位も名誉も金もなし 学の歴とて無き居士も 学ぶ心は止水なり 名もなく貧しく美しく 道を語りし父の背は 病の果てに骨と皮 言葉無くとも口元の 笑みの語りし人生よ 吾も罷るまで迷いなく 名もなく貧しく美しく

        いつまで続くのやら

          1975年の迷子

          あの人の肩の景色を私は知らない 掌の座り心地も 足元に漂う体温や匂いも 許される場所を探して歩いてきたけど 今いる場所も分からなくなった はて、 どこへ行けばいいのか 教えてくれるものはいない 分かってるよ 畑の畦を 白いブーツで一人歩いてた頃から 父がいなくなった 祖母もいなくなった 一番の理解者である祖父は 生まれる前にいなくなった 鏡の中の人たちはまだいるけど そ知らぬ顔で時々こちらを見る 視線を逸らし不意に振り返ると 笑ってた 口

          1975年の迷子

          或るセールスマンの一生

          いかがですか、 今のご気分は 誰も助けてくれなかったようですね そういうものです おっと、 ひょっとして期待していましたか? いやはや、 それは虫が良すぎるというものです だって、 その世界にはあなたしか居ないんですから 違うって? あらあら、 どうやらそこからのようですね まあ、先は長いと思いますが、 まだ間に合いますよ ああ、これは当にできませんね  だって此の後、それがやって来るかも 知れないんですから それって? またまた、とぼけないで下さい 口

          或るセールスマンの一生

          あなたの足下に在るもの

          私に期待しないでください 私はあなたではありません 私に要求しないでください 私はあなたではありません 私に落胆しないでください 私はあなたではありません 私を蔑まないでください 私はあなたではありません 私を傷つけないでください 私はあなたではありません 私を褒めないでください 私はあなたではありません 私にプレゼントしないでください 私はあなたではありません 私に勧めないでください 私はあなたではありません 私を生きないでください  私はあなたではありませ

          あなたの足下に在るもの