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本の取次苦境 ほころぶ流通網

朝日新聞6月12日(水)朝刊の記事より抜粋 
うーん、なんか出版流通に関するまともな記事が出た、という感じ。

内容は、
零細出版社の幻戯書房が自らマージンを下げたこと。取次への卸値を68%から60%に引き下げた、という画期的なこと。
あとは出版業界のみならず巷で語られている配送危機について。
取次会社が書籍の値上げを求めている、ということ。
あとトーハン・日販の大手2社も新たなビジネスモデルを模索中で、結びは出版業界に詳しいライター・永江朗さんの「(略)書店という販売拠点を使った、総合流通業への衣替えを目指していくしかないだろう」のコメント。

雑誌が不振、コミックの売上低下が出版業界凋落の一因とされているが、ちょっと気になる一文がありました。
「日本の出版流通は大量の雑誌を発売日に合わせて一斉に全国の書店に届ける際、『ついでに』送ることで書籍の配送コストを吸収する仕組みで機能していた」
……そんなことはありません。
ボクは物流センターで業務に携わっていました。ここでは書籍の既刊本の注文をうけたモノをピッキング・梱包・配送まで担っていました。雑誌配送の『ついで』はそれほどの物量でない。新刊本の配送もそうだ。
ちょっと誤解されていますね。
やはり物流や配送などの業務について取材してもどうも部分的にしか理解されていない。
メーカーがモノを売る際、膨大な物量の場合、やはり物流センターが必要だ。本という重たいモノを流通するのならなおさらだ。

Amazonは創業の頃からモノを流通して売るために、物流センターに重点を置いていた。物流センターに優秀な人材を配置している。
時間対効果や費用対効果の『効率』だけでなく、その先を見つめていた。だから制覇できたといえよう。
取次会社は3,000〜4,000社あるという出版社の商品を全国津々浦々の書店にほぼ同時期日に届けていた。96年は2兆6,000億円分の商品を配送していた。
これってスゴいことなんです!
ただコレが通用したのはネット時代の到来までだ。ずっと右肩上がりで来た業界。世の中の変化に全く対応できてなかったというほかない。
ただ、もうちょっと分かってほしいのは、出版流通を大きく支えてきたのが取次会社の物流センターなんですよ、といいたい。


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